第1回目-2004/9/27

講義の準備とプログラミングとは何か

講義に入るための前提知識

パソコンの電源の入れ方、切り方がわかる
ログイン、ログアウトができる
メモ帳でファイルを作成することができる。
作成したファイルがどこにあるかわかる。
ファイルをコピー、移動、削除することができる。
メモ帳で、HTMLファイルを作成することができる。
作成したHTMLファイルをWebブラウザで開くことができる。
フォルダを作成することができる。フォルダの意味が分かっている。

できれば、Windowsの設定として、ファイル名を拡張子を含めて省略しないで表示するように設定をしておいてください。

たぶん、こうすればできると思います→
ファイル一覧を表示するエクスプローラのウインドウで、「ツール」メニューから「フォルダオプション」を選び、「表示」のタブで、「登録されているファイルの拡張子は表示しない」のチェックボックスをオフにする。

プログラミングの基本

コンピュータの重要な構成要素であるCPU

パソコンの中にはCPUがあり、そこでさまざまな処理が行われている。
CPUは、電子部品でたくさんの部品が小さなチップに詰まっている。
そのCPUでは、一定の規則に従った手順書き通りに処理を進めることができる。
その手順の1つ1つは、「機械語」と呼ばれる。実体は、単なる数値の羅列だと思えばよい。
機械語にはいろいろな種類があるが、ごくごく基本的なデータの移動や計算、条件分岐が主体となったもの。文字通り、機械的な処理であるともいえる。
こうした、機械語での一連の手順を「実行オブジェクト」「実行プログラム」などと呼んでいる。

メモリとCPU

データを蓄えたり、実行プログラムを保持するために、記憶装置、すなわち「メモリ」が搭載されている。
一般には、メモリに記録された実行プログラムを、CPUが逐一解釈することで、プログラムの処理が行われる。
実際にはオペレーティングシステム（Windows 2000）などがさらに複雑なメモリ管理を行う。
- 保護メモリ、仮想メモリ
（メモリは「主記憶」などと呼ばれる。これに対して、ハードディスクやCD-ROMなどは「補助記憶」と呼ばれる）

プログラミングの必要性

コンピュータでは、目的の処理をさせるために、「プログラム」を作らないといけない。
もっとも、現在では、さまざまな目的のためにすでに「プログラム」はたくさん作られている。ワープロのWordは、文書を作成するために作られたプログラムの1つである。
しかしながら、個別の目的のためのプログラムは、ずっと作られており、今後も作られ続ける。たとえば、特定の企業での業務処理のプログラムは、その都度作るのが一般的である。
コンピュータの動作をより深く知るためには、プログラミングという世界を体験するのは非常に有効だと考えられる。

プログラミングの歴史

機械語にしたがってプログラムを書けば、もちろん、それはそれでOKだが問題も多い。
- 単なる数字の羅列のため、作成が大変、メンテナンスもしずらい
- 少しだけ、日常言語に近づけた「アセンブラ」という手法も開発されたけども、やっぱり、機械語の1つ1つの要素が基本的過ぎるため、複雑なことをさせるには、多大な労力がかかる
そこで、日常言語に近い言葉で手順を記述できるようにする「プログラミング言語」が登場する
- 数学での数式や変数といった概念を持ち込む
- 処理を、言語（多くは英語）で記述できるようにする
膨大なプログラムをより作成しやすくするための手法が開発される
- 構造化プログラミング、関数プログラミング
- ライブラリ、プロファインリング　など
さらに、より効果的な手法として「オブジェクト指向プログラミング」が開発される。この特徴は一言ではいいようがない。講義の中で随時説明します。

Javaという言語

ここ10数年の傾向として、プログラミング言語としてはC言語が非常に普及した。シンプルかつ効率的なプログラミングができることなどが理由の1つである。
その傾向から、C言語でのオブジェクト指向プログラミングを可能にするC++が普及した。特に、Windowsのアプリケーションを作成する標準的な言語であることから、C++が大きく普及した。
しかしながら、C++はさまざまな機能を盛り込みすぎたこともあって、かなり複雑化した。複雑化することによって、プログラムの安定性やメンテナンス性に限界が出てきた。
そこで登場したのがJava。Cのシンプルさに、オブジェクト志向をうまく組み込んだ。さまざまな特徴があるが、不安定なプログラムを作りにくいという性質がある。
ただし、Windowsを開発するマイクロソフトの政策によって、ある意味では骨抜きにされてしまった。しかしながら、パソコン用はもちろん、サーバや携帯電話など、さまざまなプラットフォームでJava抜きには語れなくなっているほどである。
Javaの解説については、ここの1-1～1-3も参照のこと。少し情報が古いが、ポイントはこの通り。
インターネットにはJavaをテーマにしたページがたくさんある。検索をして、いろいろなページに目を通してみるといいだろう。

Javaの特徴

比較的学習がしやすい言語であり、さらにオブジェクト指向である。また、その意味では、プログラミング教育として用いるのに適している。
さまざまなプラットフォームで利用できる。パソコン、サーバ、携帯、いろいろなOSなど。
C/C++では「ポインタ」という機能があり、これの使いこなしが必須であった。この使い方を間違えると、メモリの使い方がむちゃくちゃになって、一般には暴走する。しかし、実はプロのプログラマでも使いこなしていないやつがいるほどで、要はソフトウエア品質の限界を作り出す要因となっている。しかしながら、JavaはC/C++での「ポインタ」に相当するものはない。メモリをむちゃくちゃにする要因がないため、危険なプログラムを書く危険性がきわめて低い。
ネットワークからダウンロードして実行するプログラムというものが、ある意味では初めて実用化されたのはJavaの世界（アプレット）。
上記の点から派生して、ネットワーク上で安全に使えるプログラムという考え方（セキュリティモデル）も導入されている。
ただし、Javaに限らないのだが、言語だけを勉強しても、思ったとおりのプログラムは作成できない。プログラムの多くは、ライブラリと呼ばれるさまざまなサービスを提供する機能をどう使うのかということに多くの労力を費やす。たとえば、文字列の処理にしても、言語で規定された範囲はごくわずか。文字をつないだり、切り取ったりする作業は、ライブラリに容易された機能を利用する。

この講義で勉強するJava

さすがに、半年ですべてのJavaについては説明できない。基本的なところになるが、ポイントをはずさないように説明をしたい。
プログラム作成は、実はメモ帳と、Java2 SDKという一連のプログラムでもできる。だけど、これだけの素材ではちょっと力量がいるし、余計なことに頭を使うことにもなる。
そこで、JBuilderというJavaのソフトウエアを開発するためのアプリケーションを利用する。すべての作業は、ほとんどJBuilderでできてしまうのであるが、講義ではその背後でどんなファイルが作られているかということは、細かくチェックする。したがって、JBuilderの使い方に慣れるのはもちろんだが、JBuilderの操作を単に追うのではなく、その背後で何が起こっているのかということを、毎回、しっかりチェックを入れるように。
教科書は、アプレットを中心にしている。アプレットはもはや時代遅れなのであるが、プログラミングの学習には最適であることから、アプレットの作成を行う。（テキストのp30を参照）
Javaを通じて、プログラミングというのがどんなものなのかを理解するということを、講義の最終目標としたい。