タイトルCarbonLibの動作に疑問!? まつもとの松本慧氏に聞くカテゴリーアプリケーション, Carbon/CF
作成日2001/1/17 14:35:47作成者新居雅行
Mac OS 9.1に搭載されたCarbonLibはVer.1.1.1である。なぜか、最新版のVer.1.2ではない。しかも、CarbonLibの動作が完全ではないようで、その影響はCarbonLibを使っているアプリケーションに及ぶ。だが、利用者はシステム側の問題ではなく、アプリケーションに問題があると考えてしまうという状況を生み出す。なかなか登場しなかったCarbonLib 1.1ではあるが、一般ユーザに配付されたことで逆に混乱を生み出したとも言えるかもしれない。CarbonLibにまつわる話を、一般ユーザそしてデベロッパの視点から、Jedit4.0などのアプリケーションソフトの開発者であるまつもとの松本慧氏に聞いてみた。

[MDOnline]Mac OS 9.1を入れたとたんにJedit4.0の動きが遅くなってびっくりしました。
[松本氏]そうなんです。その件に関する問い合わせがサポートにたくさんやってきたので困ってしまいました。
[MDOnline]やはり、CarbonLibの問題なのでしょうか?
[松本氏]そうですね、CarbonLibの問題で、アプリケーション側でどうにかなるという問題ではありません。とりあえず、CarbonLib 1.0.4に戻すことで、Jedit4.0はスムーズに使えるようになりますので、問い合わせが来たらそのようにお答えしています。CarbonLib 1.0.4はJedit4.0に添付されているので、「機能拡張」フォルダにあるものと入れ替えていただければ問題なく使えます。ただし、Mac OS 9.1のヘルプビューワーがCarbonLib 1.0.4では動作しません。したっがて、CarbonLib 1.0.4に戻すのはCarbonLibのバグ解消版ででるまでのあくまでも一時待避的な措置として理解してください。
現状では、まだカーボンアプリケーションが多くないので、CarbonLibに起因する不具合がJedit4.0の問題と誤解されてしまうことが多く当社としてははなはだ困惑しています。
[MDOnline]他のアプリケーションも影響があるのですか? CarbonLib 1.1.1と新しい「スクリプト編集プログラム」では少し使った限りではうまく動いているように思えたのですが?
[松本氏]いや、「スクリプト編集プログラム」でCarbonLib 1.1.1で動作せるとキー応答が遅くなります。とくにshiftキーを押しながらアルファベットのリピートなどをさせるとよくわかると思います。G4マシンでも表示がつっかえるようになります。
[MDOnline]CarbonLibのバージョンに応じたアプリケーションの修正が必要なのではないかと思ったりもしますが?
[松本氏]Appleから公開されている情報を見る限りは、CarbonLibのバージョンに応じた修正の必要性はどこにも記載されていません。CarbonLib1.0に対応したアプリケーションは、CarbonLib1.1や1.2でもそのまま動作するはずです。また、今回の1.1.1のキー応答の問題は、1.2では現れないので、1.1.1特有の障害ではないかと考えられます。
[MDOnline]今現在、英語版のCarbonLib 1.2が公開されています。これに差し換えてもやはり同じなのですか?
[松本氏]英語版だからなのかもしれませんが、ことえりの日本語変換中にcontrol+Kのカタカナ変換やcontrol+Jのひらがな変換が動作しないのです。これらのキーコードが直接アプリケーションに入ってくるのです。これはインプットメソッド側の問題でなく、control+Kやcontrol+Jが、CarbonLibのバグのためにインプットメソッドに渡らないためと思われます。たぶん、controlキーを使う場合は、他のインプットメソッドでも同じ症状がでる可能性があります。
それにTSMTE(システムが用意したテキスト編集機能)では、普通はインライン入力変換ができるのですが、EGBRIDGE 11では入力すらできなくなってしまいます。この件については、エルゴソフトさんにも連絡済みで、次期のEGBRIDGE 11.5では解消されるようです。
[MDOnline]すると、開発者としては手も足もでないと?
[松本氏]黙っていても何もならないので、Appleに要望書を送りました。まず、キー応答が十分な速さでできて日本語入力の問題のないCarbonLib 1.2の日本語版を早急に公開してほしいことを記載しました。また、CarbonLib1.0.4からの問題ですが、Printing Manager周りに多くの問題があります。CarbonLib1.1とCarbonLib1.2では、CarbonLib1.0.4で動いていたカスタム用紙設定もまったく機能しなくなってしまいました。プリンタ周りがこんなに不完全では、まともなワープロは開発できないと思います。AppleWorksのカーボン完全対応版が出荷できるくらいのCarbonLib環境にして欲しいものです。
[MDOnline]詳細な情報までいただき、ありがとうございました。
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