タイトルジャストシステムがJavaで作られたオフィススイートを発売、Mac OS Xは対応に含まれずカテゴリー文書作成アプリケーション
作成日2001/9/22 16:56:55作成者新居雅行
ジャストシステムは、Javaだけで作成されたスイート製品「Just Arks(ジャスト アークス)」を2001年11月2日に発売する。すでに、一太郎Arkが発売されているが、プレゼンテーションソフトの「PrezArk(プレザーク)」や表計算ソフトのJava表計算ソフト「CalcArk(カルカーク)」、そして、インターネットを利用した50MB分のディスクサービスを利用するツール「IDisk Tool for Java」も含まれる。PrezArkやCalcArkは、これまでにMuffinやChocoとしてプレビュー版がリリースされていたものであるが、それらが正式版になった。価格は15,000円で、一太郎Arkユーザは8,000円で購入できる。XHTMLなどのファイル形式で保存ができ、XML関連のツールとしての利用も考慮されたつくりとなっている。プレゼンテーションソフトでは、文章の要約から自動的にプレゼンテーション資料を作るなどユニークな機能も見られるが、いずれのソフトも標準的なワープロ、表計算、プレゼンテーション機能を持ったものだ。プラグインによって機能を拡張できるようにもなっている。

残念ながらJust ArkはMac OS X対応を明確にはうたっていない。Java 2 Runtime Environment Version 1.2.2 以降となっており、WindowsやLinux、Solaris版のJREも同梱されている。動作確認OSは、Windows Me/98/95/2000/NT、LASER5 Linux 6.2/TurboLinux Workstation 日本語版6.0、SPARC版Solaris 8/7/2.6となっており、それ以外のOSでの利用はJavaに関する十分な知識が必要とされている。しかしながら、デモ版が公開されているので、Mac OS X 10.0.4での実行を行ってみた。
各アプリケーションは1つの.jarファイルにまとめられており、Manifestファイルもきちんとあるようで、たとえばTerminalで、そのjarファイルのあるディレクトリをカレントにして「java -jar ark-20_Sep.jar」のようにコマンドを入れればとりあえずは実行できる。ただし、これらのアプリケーションはいずれもSwingをユーザインタフェースとして使っているため、Mac OS X 10.0.4では、キーボードメニューで「U.S.」を選択してかな漢字変換を使わない状態にしておく必要がある。そうしないと、起動はしても操作はできない。起動後にキーボードメニューを切り替えれば漢字入力もできるものの、新たにウインドウを開くときに「ことえり」が選ばれていると操作を受け付けなくなる。これは、Mac OS X 10.0の既知の問題であり、Just Arkの問題ではないのだが、これがクリアされない限りは基本的な評価もできないということになるだろう。Mac OS X 10.1でこの問題が解決していることを願いたい。
それでも、恐る恐る使ってみたところ、Mac OS Xでの問題と思われる箇所が見つかった。まず、筆者の環境ではワープロではカーソルが表示されなかった。また、表計算ソフトではアクティブセルを囲むボックスが表示されないなど、表示の問題が見られた。さらに、ドロップダウンリストでは、「java.lang.IllegalArgumentException: Zero length string passed to TextLayout constructor.」というエラーが出て、リストの選択肢が構築されない。これらは、OS側の問題か、アプリケーション側の問題かは判別しにくいが、他の環境できちんと稼動しているとすると、やはりMac OS Xの側の問題の可能性が高いだろう。ただ、メニューのショーっとカットにInsertキーをが使われているなど、頭からMac OS Xの存在は考慮していないと思われる箇所もあり、当初から対応をするつもりがなかったのかもしれないとも考えられる。

Just Arkをいちばん歓迎するのは、Linuxをデスクトップパソコンとして使いたい人たちであると思われる。Mac OS XでもWindowsと同様Microsoft Officeがあることから、こうした製品は1つの選択肢ではあるが、やはりJava2にせっかく対応したのにもかかわらず、Java2対応製品が対応プラットフォームをはずすというのは残念でもある。Mac OS XのJava VMがきちんと動くことが先決ではあるが、Mac OS XはJavaプラットフォームに対して力を入れるはずだったのではないかとも思ってしまう。Mac OS X対応製品が1つでも増えてほしい状況なのに、噛み合っていないという印象を持ってしまう。
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