タイトル【MacWIRE配信予定】Final Cut Pro 3に関する説明会が開催、Ver.3の新機能を紹介カテゴリービデオ編集, イベント
作成日2001/12/18 18:12:25作成者新居雅行
2001年12月18日に、アップルコンピュータはプレス向けにビデオ編集ソフトの新バージョンFinal Cut Pro 3の説明会を開いた。都合により途中からの参加となったが、ちょうどFinal Cut Proについての説明のところから聞くことができたので、その内容をお届けしよう。
まず、これまでのFinal Cut Proユーザに良い点を聞いたところ、さまざまな機能が1つにまとまっていることや、システムと統合とリアルタイム処理と言った機能、複数のネスト化されたタイムライン、DVなどすべてのフォーマット、安定性、使いやすさ、EDL(Edit Disision List)やOMF(Audio Media File)への書き出しといったポイントが挙げられたそうだ。Final Cut Proが使われているのは、プロダクション、ポストプロダクションといった映像業界はもちろんだが、日本独自の傾向としてははドクターのプレゼンテーションといったところにも使われている。
続いて、Final Cut Pro 3の新しい機能についても説明があった。まず、リアルタイム処理は専用ハードウエアを必要としなくなり、DVリアルタイムプレビューがG4プロセッサでできるようになった。さらにオフラインRTとして大容量に対応している。また、これまで高価なハードウエアが必要だったカラーコレクションが可能となった。他に、その場でアフレコができる機能などが追加されている。素材を編集する外部アプリケーションを指定できるようになり、取り込んだPhotoshop素材をPhotoshopで再度編集するということができるようになった。また、オーディオのピークを検出する機能なども追加された。
リアルタイム編集についてはPCIカードは不要にとなるが、DVだけが対応している。処理はプロセッサが直接行うため、PowerBook G4でもリアルタイム編集ができる。RTMacについてはたとえば、外部のセカンドモニタに接続してのプレビューなどの利点は残っている。オフラインRTは品質を落とさないで容量の節約を実現するフォーマットである。1GBで40分ほどのコンテンツを取り込むことができる。また、データ転送レートも低くなっている。PowerBook G4でリアルタイムやオフライン編集ができることを、画期的なことであるとした。
カラーコレクションはこれまでは専用のハードウエアで行っていたが、それをFinal Cut Proの中だけでできるようになった。メディアマネージャでは不要な取込みデータの一部分をカットするなどできるが、使い勝手が良くなった。3Dタイトルやフリッカー除去のフィルタなどが追加されている。また、AfterEffects用プラグインも従来通り使える。23.976フレームのHDTVサポートし、ほとんどフォーマットをサポートした。オーディオ編集では、100分の1フレーム多員胃での編集ができるなど、従来からのメリットを説明した。

続いてデモが行われた。米国のスポーツ番組のタイトルバックを題材にしたものだ。タイムラインのビデオの上に画像を配置したが、従来はレンダリングが必要だったものの、Final Cut Pro 3ではリアルタイムで再生できるので、レンダリングのマークは表示されない。さらに別のグラフィックスを配置し、そのグラフィクスに動きを設定したが、やはりリアルタイムでプレビューができる。さらに2つのグラフィックスに動きを付けてもリアルタイムでのプレビューができた。その上にさらにグラフィックスを追加するとレンダリングがされるようになるが、その間でも別の機能でプレビューができるようにもなっている。
続いてリアルタイムエフェクトのデモとなった。トランジションではCross Desolveなどが実際にリアルタイムで処理ができるが、コマで見た場合にしか適用されない効果がる点についても説明が行われた。さらに、ビデオの中に別のビデオ画像を配置してもリアルタイムでのプレビューができることも示された。さらに、その中のビデオを動かすまではリアルタイムで処理ができたが、ローテーションをかけるとレンダリングが必要になる。
続いて、オフラインRTのデモが行われた。メディアマネージャでオフラインRTにコンバートすることで容量が小さくなることが示された。オフラインRTのプロジェクトが作られるところや情報を表示させた。カラーコレクションのデモに移った。真っ青に写ってしまったビデオにフィルタを適用するが、スポイトで元画像の白、黒の部分を適用し、さらにコントラストを調整することで、普通の色合いに見える映像になることが示された。ただし、NTSCに出すときにはリアルタイム処理はできないが、Sビデオ出力のあるカードを併用することである程度は外部モニタと同じような作業は可能である。また、2つ先のクリップに自動的にフィルタの属性をコピーするといったことや任意のクリップへの適用もドラッグ&ドロップで可能となっている。さらに、セカンダリのカラーコレクションとして、衣服の色だけを変更するということをデモした。さらに、3Upウインドウとして、上部が3つに分割された編集ウインドウの状態を示し、1つのウインドウに、ヒストグラムなどの画像情報を表示させたところを見せた。カラーの範囲としてはブロードキャストセーフの範囲を示して範囲外の部分を削除すると言った機能もある。デモは、800MHzのDual CPUマシンで、英語版のFinal Cut Pro 3を使い、Mac OS Xで行われている。3Dのタイトルの機能や、ボイスオーバーの機能についてもデモが行われた。

Mac OS Xに対応したビデオ編集ソフトCommotion Pro(Pinacle Systems)のデモも行われた。今回、Ver.4にアップデートされ、ユーザインタフェースが改良された。Final Cut Proのプロジェクトをインポートして作業ができるようになる。サンフランシスコの町中の映像の中に、アヒルが横断歩道を渡るような合成が可能だとしたが、カメラの縦揺れをトラッキングして、合成した映像を同期させるところをデモした。G4に最適化されておりトラッキングが高速にできることが示された。影付けや色調整などもコモーションのエフェクトで行ったことが説明された。

なお、RTMacなどのカードのMac OS X向けドライバは現在開発中で、2002年になってから公開される予定となっている。Macのメリットは、FireWireをベースにしてシームレスに統合されている点であることを強調した。FireWireはエミー賞を受賞している。さらに、DVD Studio ProによってMPEG-2への書き出しが可能になり、DVDのオーサリングも可能となっている。そして、Mac OS XやVelocity Engine、QuickTimeなどのMacintoshが最上級のビデオソリューションとなることを説明した。なお、リアルタイム編集は500MHz以上のG4プロセッサ搭載機が必要となる。また、PowerBook G4でDVのリアルタイム編集は667MHz以上のプロセッサの対応となる。日本語版は2002年1月下旬の発売となり、アカデミックやアップグレード版は2月上旬である。価格は98,000円で、アカデミック版は37,800円である。前のバージョンからのアップグレードは29,800円(アカデミックは24,800円)であるが、2001年11月4日以降にFinal Cut Pro 2を購入した場合には、6,000円でVer.3にアップデートできる。
関連リンクFinal Cut Pro