Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年5月17日発行号 - REALbasicがX対応



WWDCの内容は機密になっているのではありますが、MacNNにはその内容が一部掲載されています。現地では「海外のメディアには機密であることは伝えられてない」という噂もあり、つまりは日本のメディアにだけ機密ということにしたという可能性が高いわけです。MacNNから実際に報道がなされたことからも、やはりそうだったのかと言えるところでしょう。それでも、MDOnlineは日本のメディアですので、アップルの方針に従うことにします。
とは言うものの、MacNNのI/O Kitの報道はやや誤解を招くでしょう。それをもとにしたMACお宝鑑定団のページのレポートの内容も、さらに誤解を招くと思われます。I/O Kitの特定のデバイスのサポート、非サポートは、デベロッパに公開した段階での状況からは一概には言えないところです。サポートしているかどうかという割り切りをきめる必要があるのはユーザサイドの問題であり、開発段階では意味合いが異なると思います。つまり、それら両極端の間の段階があると言えるかと思います。私の聞いた限りでは、SCSIについては現状では限定的なサポートであるという意味だと思いました。少なくとも、現状ではDarwinではある条件でSCSIカードによるハードディスクは使えるようにはなっていますから、サポートしていないとは言いがたいと思います。また、ベータ版ではおそらくはきちんと対処してくるか、あるいは稼動するSCSIボードの記述がなされるか、いずれにしても、はっきりとさせるものと期待します。USBモデムのドライバがないのは、AppleにUSBモデム製品がないからとも言えるわけです。USBモデムのドライバを書く仕組みは存在するというところで、話はとめておきましょう。本質的な問題は他にあって(言えませんが)、そのことは、日本人向けのQ&Aセッションで質問した人がいて、しっかりアップルに伝わっています。とにかく「Mac OS XがSCSIをサポートしない」というような誤解は避けましょう。だけど、情報の一人歩きってそういうことで起こりがちなんですよね。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


REALbasicのMac OS X対応版がダウンロード可能に

REAL Softwareは、同社の開発ツールREALbasicを、Mac OS Xに対応させることを正式に発表した。Mac OS Xで稼動するバージョンがベータ版としてダウンロードできるようにした。「Technology Preview」としており、具体的なバージョン番号は設定されていない。WWDC 2000の会場で配付されたMac OS X DP4が動作対象OSだ。Mac OS XのCarbon環境で稼動するIDEとなっており、生成したアプリケーションもCarbon対応である。ユーザインタフェースのAquaももちろん利用できる。REALbasicでは、今後も、Mac OS Xのテクノロジーをサポートするとしている。

関連リンク:REALbasic beta
カテゴリ:Mac OS X, REALbasic


Tangoの開発メーカがオンラインチュートリアルサイトを公開

Tangoなどの製品を開発するPervasive Software社は、同社の製品を含むWebアプリケーション開発関連のチュートリアルサイト「The University of Pervasive」を立ち上げた。フリーで6〜8週間の講議をオンラインで受けることができるが、実用的な情報を求める人たちを巻き込むことで同社の製品の浸透を図る。メトロワークスがすでに同様なサイトを立ち上げており、自社製品への囲い込みの手段として、フリーのチュートリアルサイトが相次ぐことになる。講議のコースは「Introduction to Tango 2000」「Introduction to XML」「Introduction to C++」「Introduction to Java: Test Drive」「Building Your First Web Page」となっており、同社製品をからめたものもあるが、WebページやJava、C++といった一般的なネタもある。Pervasive社のTangoは、データベースとWebサーバを結ぶ、Webアプリケーション構築ツールだ。他には、Pervasive.SQL 2000というSQLデータベース製品も開発している。

関連リンク:The University of Pervasive
カテゴリ:サービス


【WWDC2000】Javaという視点で見たWWDCの基調講演

2000年5月15日から開催されたMacintosh分野での開発者会議、WWDC 2000(Worldwide Developers Conference)で、Mac OS XやWebObjectsについての発表があった。Mac OS Xは夏にベータ版、2001年1月に正式版というスケジュール変更があるなど、開発者にとっては大きなニュースがあったが、基調講演内容を、Javaという切口で紹介しよう。
まず、Mac OS X Developer Preview 4が基調講演後に参加者に配付されたが、これはJava2 SEに完全に対応したものとなっている。Developer Preview 3でもすでにJava2としておおむね利用できていたとの話もあるが、完全対応という点ではDP4ということになるとのことだ。一方、Java2はVer.1.3が正式に登場しているが、Mac OS Xの正式リリースでは、Ver.1.2なのか1.3なのかも小さな点ではあるが、注目すべきポイントだろう。なお、Internet Explorer 5のCarbon対応版もDP4に含まれているが、アプレットの動作についての情報は得られなかった。
もう1つはWebObjectsのJavaだろう。大きなところでは、今年の末までにリリースされるWebObjects 5は、完全にJavaで記述されていて、Enterprise JavaBeans(EJB)や、JDBCをサポートする。つまり、Java VMがしっかり稼動するサーバ環境では、OSを選ばなくなったと言える。これまでも、Linuxで動かすなどの裏技もあったものの、Javaというベースでさまざまなプラットフォームに対応することで、システム構築の自由度が高くなる。さらに、$699という低価格も魅力を増す1つとなるだろう。現在のWebObjectsは、Webサーバのモジュールとして動かす部分などがあるものの、一種のCGIのような形態の稼動環境と言える。オブジェクトがインスタンス化されると、サーバのインスタンスとクライアントのインスタンスで直接通信が行われるような形態なのだ。その点を考えると、Servletという形式ではないだろし、Java Server Pagesでもない。WebObjectsという独自の実行環境であり、EJB対応ではあるもののJava2 EEとは異なる枠組みになると考えられる。
WebObjectsのデモでは、Javaで作ったクライアントのアプリケーションを稼動させた。アプレットではなく、アプリケーションなのだ。そして、サーバのモジュールも含めて、すべてJavaで作られた検索アプリケーションが披露された。Mac OS Xの開発ツールであるプロジェクトビルダが自動生成したアプリケーションを使ったデモである。WebObjectsはアプリケーションサーバと呼ばれ、サーバ開発のツールであり、それは1つの顔である。しかしながら、Direct To Clientの機能を利用して、クライアントでJavaアプリケーションを動かすという方針は、クライアント/サーバ型のツールであるとも言える。また、オブジェクトの設計が柔軟なので、負荷分散をサーバとクライアントでかなり自由に設計ができるものと考えられる。こうして作成されたJavaアプリケーションも、Mac OS Xの特徴的なユーザインタフェースであるAquaのルック&フィールを持っており、さらにムービ再生がアプリケーションのウインドウ内でできるなど、メディアの統合も可能になっている。
WWDC 1999でのプレゼンテーション内容からすれば、Mac OS Xでは3つのJavaに分けて考えると分かりやすい。1つは、Java2対応という点からのPure Javaアプリケーションの利用だ。もう1つはWebObjectsという開発環境をベースにしたJava利用だ。以上の2つはWWDC 2000の基調講演での重要なトピックとなった。さらにもう1つは、Cocoaの開発言語としてのJavaである。CocoaはMac OS XのネイティブAPIであり、以前はYellow Boxと呼ばれていたものが進化したものだ。WWDC 2000の基調講演では、Cocoaの開発言語としてのJavaについては言及されなかった。
いずれにしても、Java2が整備され、WebObjectsもPure Javaの方向に向かっている。Mac OS Xは、Javaを積極的に利用したプラットフォームになりつつあると言えるだろう。

カテゴリ:イベント, WebObjects, Java


正規版へのアップグレード可能な試用版ソフトを作成するツール

Preview Systemsは、試用版のソフトウエアを作成するツール「Vbox Builder and SDK for Macintosh」をリリースした。試用版として配付され、費用を払うことで正規版にアップデートするメカニズムを組み込むことができる。オンラインで配付されるようなソフトウエアで利用できる。これまではWindows版しかなかったが、Macintosh版も発売された。価格などは問い合わせることになっており、サイトには記載されていなかった。

関連リンク:VBox Bulider
カテゴリ:開発ツール


オーディオ機能拡張やビデオドライバがアップデート

ソフトウエアアップデートに「Multimedia Update 1.0」がアップロードされている。内容は、Apple Audio Extension 1.0.5、ATI Resource Manager 2.5.1、ATI Graphics Accelerator 4.9.9、ATI Rage 128 3D Accelerator 5.8.5、ATI Video Accelerator 4.5.2、ATI 3D Accelerator 4.9.8となっている。Audio Extensionは仮想メモリをオンにしたときのCD再生の改善や、USB入力機器のサポートの追加などが行われている。他はビデオドライバのアップデートで、ATI Rage 128 Proに対して、OpenGLを使ったゲームのパフォーマンス向上や、Final Cut Proでの表示機能の向上などとなっている。北米地域の英語版が公開されているが、現在のところ、日本語版はリリースされていない模様だ。

関連リンク:Multimedia Update 1.0
カテゴリ:Mac OS 9


LassoでXMLを利用するためのツールが公開

Blue World Communicationsは、同社のWebサーバからデータベース処理を行うソフト「Lasso」向けに、「Lasso XML Developer Kit」をフリーで公開した。Lassoで組み立てるアプリケーションでXMLで利用するようにするきっとで、ドキュメントや利用例、サンプルなどが含まれている。データベースのデータをXMLとして記述したり、DTDを作成するなどの機能も持つ。コマースデータの記述などにXMLが使われはじめているが、Webサーバを利用したアプリケーションでXML処理を組み込む必要性が増えてきている。

関連リンク:Blue World Communications
カテゴリ:サーバー関連


Final Cut Proと特定のシステム設定でキャプチャ後にノイズ

Final Cut Pro 1.2.1を、Mac OS 8.6、QuickTime 4.1の上で動作させると、ビデオキャプチャ後にオーディオの雑音が発生することがTech Info Libraryで明らかになった。対処法としては、Mac OS 9以降にアップデートするか、QuickTime 4.0.3に戻すことになる。QuickTimeのダウングレードの方法も記載されている。

関連リンク:Final Cut Pro 1.2.1: Audio Blast at End of Video Clip
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), ビデオ編集