Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年6月1日発行号 - FAT+Carbon



昨日はロータスの発表会がありました。やっぱりWindows用なんですが、「ラクラクナビ」という製品が発表されました。Super Officeをはじめ、さまざまなソフトがパックになっているのですが、ユーザにとってはやりたいことをWeb風のインタフェースで選択して行くことで、文書やメールあるいはキータイプ練習なんかができると言うものです。ジャストシステムのジャストホームの競合ですが、ラクラクナビはホームユーザのみならずビジネスユーザも狙っている製品です。これらのソフトは初心者層やパソコンを活用できてない層を狙った製品ですが、ソフトウエア開発者にとっては要チェック商品だと思います。ジャストホームは、昨年から出ていて、私も「なんだこれ?」と思って買ってみたのですが、けっこういい作りをしています。ワープロを立ち上げるとかいった従来のアプリケーションを中心に作られているのではなく、年賀状を作るとかビデオのラベルを作成するというような目的指向なのです。私の知る範囲では、アメリカではこうした製品のムーブメントは発生していないとは思われますが、日本では確実にムーブメントになりつつあります。
Windowsは使いにくいとかバカにされている方も多いかもしれませんが、ジャストホームやラクラクナビのような、目的指向のソフトウエア環境は残念ながらMacintosh環境にはありません。その意味では初心者に優しいという触れ込みのiMac/iBookも、アプリケーション利用となると、すでに後退しはじめています。アメリカでムーブメントになっていないのなら、Appleもこうした製品作りはしない可能性が高いでしょう。となると、Macintosh向けのホーム製品を狙うとすれば、サードパーティにとっては今がチャンスではないでしょうか?
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


68K、PPC、Carbonのバイナリを1つにまとめるリンカが登場

Eric Allen Grant氏は、CodeWarriorで、68KマシンからMac OS Xまでのプラットフォームで稼動可能なアプリケーションを生成するプラグイン「FATCarbon 1.0b4」をリリースした。CodeWarriorのポストリンカとして稼動し、$29.99のシェアウエアだ。ボリュームライセンスも設定されている。現在のMac OSでは、68K向けの実行コードと、PowerPC向けの実行コードを1つのファイルにまとめるFATバイナリという手法が利用できる。1つのアプリケーションファイルが、多くのMac OSプラットフォームで稼動するというメリットがある。FATCarbonは、現在のFATバイナリにさらにCarbonLibに対応したPowerPC向けの実行コードを追加し、合計3種類の実行コードを1つのファイルに持たせることができる。その結果、68K、Mac OSでのPowerPC、そしてCarbonの環境のどれでも実行可能な単一のアプリケーションファイルの生成ができる。Mac OS Xが登場しても、従来のMac OSを使い続けるユーザもいるだろうし、少数ながらも68K利用者も残るだろう。ターゲットユーザによってはFATCabonでアプリケーションを生成するのも意味が出てくると思われる。

関連リンク:FATCarbon 1.0b4
カテゴリ:CodeWarrior, Carbon/CF, 開発ツール


ワイアレスネットワークの情報サイトがオープン

飯嶋淳氏によるPowerBookのサイト「POWERBOOK News」に、ワイアレスネットワーク関連の情報を集めた「PBNews Wireless Mania」というページが新たに登場した。これまでのPOWERBOOK Newsで紹介した、各社のワイアレス製品に関する記事が集められている他、今後もさまざまなノウハウも含めて記事を追加して行く予定ということだ。ワイアレスネットワーク利用者にとっては有用な情報源となるだろう。

関連リンク:PBNews Wireless Mania
カテゴリ:ネットワーク


【Darwinシリーズ】ファイル名の扱いはUTF-8

Darwinを起動すると、HFS+のボリュームが自動的にマウントしていることは以前に説明した。ルート(/)に、ディスク名のディレクトリが存在するが、それがDarwinとは異なるボリュームがマウントされているのである。たとえば、「HDD1-1」というMac OS 9がインストールされたボリュームの中身は、/HDD-1というディレクトリで参照できるのである。それでファイル一覧を見て見た。やはり漢字は見えないで、アルファベットだけが見えている。
◇Mac OS 9が存在するボリュームのルートを見てみた
 figs/darwin/DSC00016.JPG

「Apple」のあとに?がいくつあるかを数えてみる。15個だ。これは明らかに「Apple エクストラ」フォルダであるが、2バイト文字が3つの?で表現されている。HFS+ボリュームはファイル名の管理にUNICODEが使われているのだが、このファイル名や他のファイルから判断できるように、明白にUTF-8が使われている。
UTF-8はUNICODE文字のエンコードの方式の1つだ。非常におおざっぱな言い方を許してもらえれば、UNICODEは16ビットで表すことになっている。UTF-8はそのコードのうち、ASCIIコードで00h〜7Fhの範囲内にあるものは、そのまま1バイトとして表現し、80h〜FFhは2バイト、それら以外は3バイトとなる形式のものだ。2バイト以上になるものは、各バイトの最上位ビットが1になるということで、7Fh以下の1バイト文字と区別できる。日本語(つまり現在の2バイト文字)は1文字あたり3バイトとなる。つまり、UTF-8であるということは、ASCIIコードで使う上ではUNICODEとなっても何ら変化がないという点では問題点が少ないと見られなくはないのだが、日本語を使う上では文字数的に非効率だし、英語に変化がないのに日本語にコードの変換が伴うという不公平感もあるのだが、これは仕方ない。したがって、HFS+の場合、英語のファイル名なら255文字までOKだが、日本語だと、85文字までしか扱えないし、UNICODEの特性を考えるとより条件が悪くなる可能性もある。
プログラムやあるいはアプリケーションのレベルでは、今後はこうしたことを考えないといけなくなることもあるだろう。HFS+の機能をフルに使った時に、ファイル名の長さをチェックする必要があるかどうかという点については異論があるかもしれないが、基本的にはチェックの必要性がある。このとき、UTF-8でエンコーディングされたファイル名の文字列のバイト数をカウントして、255より大きい場合には、文字コードの切れ目を考慮して末尾のカットなどのプログラムを組む必要がある。少なくとも、日本語を2バイトのようにカウントして判断すると、もしかするとHFS+で収まらない長いファイル名で書こうとしてしまう可能性も出てくるわけだ。Mac OSの世界にいると、思考回路がShift-JIS化しているかもしれないが、Mac OS Xに向かって、UNIXの世界、すなわちエンコードがいろいろあるという世界に頭を切り替えないといけないのではないだろうか。

カテゴリ:Darwin, Darwin 1.0


一太郎Arkのソースを公開、製品への利用はライセンスが発生

ジャストシステムは、Java2プラットフォーム向けに作られたワープロ「一太郎Ark」のソースコードの公開を開始するとともに、開発者サイトを公開した。また、「Ark Developersメーリングリスト」の運用も開始し、公開されたソースの利用に関する情報交換の場も設けた。ソースコード公開の諸条件も明らかになったが、結果的には一般的なオープンソースとは異なる。一太郎Arkのプラグインなど関連製品の開発を促すという意味のソース公開であり、また、ソースとしての製品供給をオープンに行っているというものでもある。一太郎Arkのソースをもとに製品を作り配付する場合には、利用形態に応じたライセンス料をジャストシステムに支払う必要があるのである。その価格などは記載されていない。

関連リンク:一太郎Ark開発者向けサイト
カテゴリ:業界動向


MacsBugでのUSBキーボードやマウスサポートについて

Technical Q&Aで、MacsBugとUSBキーボードやマウスについての解説が掲載された。USB 1.4.xでは、MacsBugでのUSBキーボードやマウスの動作が改良されているが、同じような動作をサードパーティのこれらの入力デバイスに適用するための情報が記載されている。これらのデバイスのドライバを作っているプログラマ向けの情報だ。

関連リンク:USB06 - Implementing MacsBug-Compatible USB Keyboard and Mouse Drivers
カテゴリ:Technical Q&A, 周辺機器


機能拡張をオフ、MacsBugをオンにして起動する方法

Technical Q&Aで、システム機能拡張を起動時に組み込まないようにしつつ、MacsBugは組み込むという方法が公開された。起動時に、optionキーとshiftキーを同時に押しておくと、そのように起動する。

関連リンク:PLAT 31 - Extension Off, Macsbug On
カテゴリ:Technical Q&A, 開発情報


WebObjectsのWindows向けのアップデートがリリース

Windows 2000/NT向けに、WebObjectsのバグを修正する「WebObjects 4.5 Update 1」がリリースされた。以下のTILの文書には、アップデータのバイナリへのリンク、アップデート方法、修正点が書かれている。修正点としては、まずホスト名などが大文字で戻されMonitorでの動作に問題があった点を解消した。その他、Interface Builderでのファイル保存の問題や、クラス検索の問題などが修正されている。

関連リンク:WebObjects 4.5: WebObjects 4.5 Update 1 Overview
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), WebObjects