Macintosh Developer Online (MDOnline)


1999年9月28日発行号 - MDOnline-FileMakerはWebに注力



米国でFileMaker Pro5の発表がありましたが、製品技術的に見ても、マーケティング的に見ても、Webデータベースエンジンとして本格的に売り込みを始めたと見てよいでしょう。GoLiveやDreamweaverのようなWebツールが本格的に巻き込めれば、より利用が促進されるでしょう。クラリスが事実上アップルに吸収されるとき、ファイルメーカーProだけでやっていけるのかという疑問はあちこちでささやかれていましたが、Webデータベースという路線は今後はより成長が期待できます。Webベースで業務システムやアプリケーションを開発するとなるとどうしてもデータベースは必要になります。ところが、OracleやSQL Serverなどはインターネット接続のためのライセンスが非常に高価なため、大きなシステムを作る場合でないと使いにくいでしょう。また、アプリケーションサーバーも注目されているものの、大企業の大きなシステム相手という印象が強いものです。そうした状況で事実上無償のオープンシステムも見直されていますが、Web開発のニーズの裾野が広がった時にコスト的な意味も含めてより小さなスケールにもフィットする製品に注目が集まるでしょう。そうした市場への足掛かりをファイルメーカーProは固めつつあると見ました。



アップルは、ソーテックの新製品、つまり色違いのiMacそっくりパソコンについての法的検討を始めたという内容のニュースリリースを発行しました。仮処分の内容に違反していないかを早急に検討するということです。なかなかのスピード対応だと言えるでしょう。ただ、ソーテックの新製品と言われているやつですが、まだ正式発表していませんよね?(今週前半とは言われていますが・・・)
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


ファイルメーカーProがバージョンアップ、Web利用をにらんだ製品系列に

米国FileMaker社は、データベースアプリケーションソフト「FileMaker Pro」をバージョンアップしたVer.5をリリースした。変更点はまず、Microsoft Officeとの共用機能を高めたこと。ExcelのワークシートをそのままFileMaker Proのデータベースに変換する機能や、ワークシート形式にデータベースの内容を表示するTable Viewの機能、そしてFileMaker Pro用のODBCドライバを付属した。ODBCドライバを利用することで、ExcelからFileMaker Proのデータベースに直接アクセスすることができ、解析処理やグラフ作成をExcelで直接的に行える。データベースをWeb公開する機能では、スタイルシートへの対応や、セキュリティ関連のオプションが増えている。さらに、レイアウトやレポートを作成するアシスタント機能も追加された。値リストでのデータ一覧作成機能が強化され、また立体的なコントロールにできるなど、フォーム作成機能も強化されている。QuickTimeのサポートや、PDAとのデータ連携に関連した機能の追加もある。なお、ファイルフォーマットは、Ver.4とは変更されている。

FileMaker Pro5系列として、4つの製品がリリースされる。通常のFileMaker Pro5は、Webでの接続ユーザーが10に制限されるが、FileMaker Pro5 Unlimited($999)では無制限のユーザー接続を可能とする。UnlimitedにはWeb Server Connectorが付属し、これにより、Mac OSやWindows NTベースの各種Webサーバーからの利用もできるようになる。JavaのサーブレットやSSLにも対応している。さらに、FileMaker Server 5($999)という製品もリリースされ、ワークグループサーバーとして提供する。これは従来のサーバー版のアップデートにあたるが、Windows版では、MMCにより管理が行えるようになっている。さらにランタイム版のデータベースを開発できるFileMaker Developer 5($499)もリリースされる。日本語版もリリースされる予定はあるようだが、日本のファイルメーカー社からは現在のところ、何のアナウンスもない。

デスクトップのデータベースソフトとしては、WindowsではAccessという強い対抗馬がいる。直接対抗するのではなく、Officeとの親和性を保つことで、AccessユーザーやあるいはAccessまでも行かないようなユーザーへの浸透を計るものと見られる。一方で、Webベースで利用されるデータベースとしての存在感を高めるような製品ラインナップになっている。特にWebサーバーで利用するアダプターを提供することで、FileMaker Pro自体をWebサーバーに使う以外の使い方もできるようになり、システム構築の柔軟性は高くなるため、性能や機能を要求される現場でのニーズに応る方向へと製品が進化してきていると言えるだろう。さらにWebサイト構築ツールとの関係も強化している。GoLiveのAdobe Systems、Cold FusionのAllaire、DreamweaverのMacromediaが、FileMakerデータベースのサポートを表明しており、こうしたサイト構築ツールからデータベースの利用を記述できるようになることで、Webデータベースの標準的地位を狙っていると言えるだろう。従来でも、HomePage Proでの連携は見られたが、Webサイト構築のプロが使っているツールとの連携を深めることで、ビジネスあるいは業務ベースでのWebサイトで使われるデータベースとしての存在感を強めることを意図しているのだろう。

関連リンク:Introducing FileMaker Pro 5
カテゴリ:開発ツール, 開発ツールその他


Sorensonコーデックによるライブストリーミングツール

Sorenson Vision社は、QuickTime 4ベースのライブストリーミングツール「Sorenson Broadcaster 1.0」をリリースした。価格は$199で、G3以上の機種が推奨プラットフォームとなっており、Mac OS 8.1以降で機能する。製品はソフトウエアだけで、内蔵FireWire端子あるいは各種のキャプチャカードなどと併用することにより、QuickTime 4ベースのライブストリーミング放送を可能にする。同社のページを見る限りは、QuickTime Streaming Serverとのコンパチビリティがあると書かれているだけで、Mac OS X Serverを使うようには書かれていない。つまり、通常のMac OSベースでのストリーミングサーバーのようだ。

また、同社より、ビデオのコーデックソフトウエアとして「Sorenson Video 2.1」がリリースされ、Power Mac G4に対応した。出荷は10月になり価格は$499になる予定だ。

関連リンク:Sorenson Vision, Inc.
カテゴリ:その他のインターネット, QuickTime


ADCメンバー向けにQuickTime SDKと書籍のパッケージをリリース

QuickTime Ver.4のSDKがリリースされたが、SDKのCD-ROMに書籍を加えた3種類のパッケージが用意されADC(Apple Developer Connection)のメンバー向けに販売を始めた。それぞれ「QuickTime 4 SDKムDiscovery Edition」「QuickTime 4 SDKムJava Edition」「QuickTime 4 SDKムDeveloper Series Edition」だ。Discovery Editionには、「Discovering QuickTime」という書籍と、SDKのCD-ROMのセットで$99で提供される。Java Editionは、「QuickTime for Java」という書籍とSDKのCD-ROMのセットで、やはり$99だ。Developer Series Editionは、「Discovering QuickTime」「QuickTime for Java」のいずれの書籍も付属して、$149である。オンラインメンバーは価格が異なる。いずれの書籍も、今年になってから発売されたQuickTimeの書籍である。なお、QuickTime SDKのCD-ROM自体はADCのメーリングに含める予定があるようだ。

関連リンク:QuickTime 4 SDK
カテゴリ:QuickTime


Mac OS X Serverでのメモリリークなどを検知するツール

Omni Development社は、Mac OS X Server向けの開発支援ツール「OmniObjectMeter1.0」をリリースし、正式に出荷を開始した。OmniObjectMeterは、作成したアプリケーションのメモリーリークや、効率の悪い処理、放置されたようなオブジェクトなどを検出する。価格は$1599で、OpenStepやMachでも機能する。WebObjectsの開発にも利用できる。

関連リンク:OmniObjectMeter
カテゴリ:Mac OS X Server


Webサイト構築ツールがアップデート

Stone Design社は、Mac OS X Serverなどで使えるWebサイト構築ツール「Stone Web Tools 1.2」をリリースした。アップデートにより、Y2K問題に対処し、バグ修正や安定度を高めたとしている。価格は$864だが、特別価格として$299で販売している。既存ユーザーは無償でアップグレードできる。

Stone Web Toolsは、次の5つのツールからなる。「Create 5.2」は、ドローグラフィックス形式でWebページなどを制作することが可能なツールだ。「Web Slice & Dice 1.6」は、ナビゲーションバーやイメージマップを作成するツールだ。「Pack Up & Go 1.1.1」は、ファイルのアーカイブユーティリティだ。「Web Colors 1.0」かカラー選択のためのユーティリティだ。「GIFfun 1.5」はアニメーションGIFを作成できる。いずれもファイル自体はダウンロードして入手でき、購入はオンラインでクレジットカードで決済ができるようになっている。

関連リンク:Stone Design Ships Stone Web Tools Suite 1.2 & Create 5.2 For Mac OS X Server, WebObjects & OpenStep
カテゴリ:開発ツール, Mac OS X Server


起動時に常にエラーメッセージが出る時の対処方法

Tech Info Libraryに「25003:Mac OS: "International Utilities Not Present" Error During Startup」という文書が追加された。起動時に「International Utilities Not Present」というエラーが常に出るようなトラブルに対応する方法が記載されている。「一般設定」コントロールパネルで、正しく終了しなかったときの起動時の警告を出さないようにして一度起動し、手作業でDisk First Aidで修復したのちに、コントロールパネルの設定を戻すと良いとのことだ。

関連リンク:Mac OS: "International Utilities Not Present" Error During Startup
カテゴリ:Mac OS 8, Knowledge Base(旧TIL)


PowerBook G3シリーズのメモリ増設方法

Tech Info Libraryに「25002:PowerBook G3 Series: Upgrading Memory」という文書が追加された。PowerBook G3シリーズでの、メモリ増設の方法が記載されている。イラスト入りで、本体を開ける方法が締めされているので、それを見ながら作業ができるようになっている。いくつかのTech Info Libraryのドキュメントへのリンクも設定されている。なお、この内容は、基本的には製品付属のマニュアルにも掲載されているとのことだ。

関連リンク:PowerBook G3 Series: Upgrading Memory
カテゴリ:PowerBook, Knowledge Base(旧TIL)


1999/9/27付けの更新されたTech Info Library

Appleより公開されているTech Info Libraryで、1999年9月27日付けで以下の文書が更新されている。以下のリストの左端が文書番号なので、記事の末尾にあるリンク先にジャンプし、その番号を手がかりに検索をすると良いだろう。

関連リンク:Tech Info Library
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL)