Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年3月22日発行号 - Mac OS Xには開発ツール付属



暖かくなってきたかと思ったら、今朝は窓の外でウグイスが鳴いていました。うちの辺りはいくらかでも森があるので、いろいろな鳥が飛んで来るのですが、きれいな声の鳥はいいものです。
さて、明後日に迫ったMac OS Xの発売ですが、開発ツールが付属するそうです。いろいろな見方ができるでしょうけど、私的にはやや複雑と言ったところでしょうか。もちろん、開発に目が向くのだから、MDOnlineも注目されると言えるかもしれません。それも1つの商機と見るわけができるのですが、一方でこうしてMDOnlineにお金を払っていただいているような方々とは違った層の人たちにもProject Builderが目に触れるわけですから、必ずしもこちらの利益になるとも思えません。むしろ、何も知らない人がワープロとかメールソフトと同じ感覚で使ってしまい、何もできないことで印象を悪くすると言うことの方が危惧されます。オープンであるべきだとは思いますが、開発ソフトは「生産者」のツールであるべきで、言わば大規模な農業だとか工場で使うようなツールだと思います。もちろん、家庭菜園やメカマニアという人たちもいらっしゃるわけですが、DevTools付属は、誰も彼もに耕耘機を配っているという印象は拭えません。
1984年にMacintoshが発売されたとき、当時としては珍しく、開発ツールが組み込まれていませんでした。Byte誌はそのことを挙げて低い評価をしたものですが、時代は「プログラミング不要」の方向へどんどんと流れていきました。一方で、お仕着せをよしとしない風潮はHyperCardのようなツールが注目を集めました。Mac OS Xが正式に発売されるに至って、Macintoshのシェアは低い水準となり、なんとしても開発者を増やしたいという意図があるのかもしれません。その意味では、HyperCardのバンドルとも意味が違うと言えるでしょう。いずれにしても、MDOnlineとしては、「ちゃんと開発をする方々」を中心に据えた情報提供を行うというコンセプトを明確にしたいと思います。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


2001/3/24に発売されるMac OS Xには開発ツールも含まれる、iTunesなども当日より入手可能

米国Appleから、Mac OS Xに関する発表があった。予定とおり、2001年3月24日出荷されるということである。そして、iMovie 2、iTunes、そしてAppleWorks 6.1については、3月24日よりダウンロードできるようになると発表された。これらの主要アプリケーションは「間に合わない」とされていたが、CD-ROMには含まれないととしてもぎりぎりセーフというところだろうか。AppleWorksはプレビューバージョンとなっている。Mac OS Xのさまざまな特徴が発表資料で述べられているが、それらはこの記事では割愛させてもらうとして、目についた特徴を上げておこう。
まず、QuickTime 5が搭載される。日本語フォントについても、英語システムでも組み込まれる模様だ。ネットワークについては、PPPoEもサポートされる。PowerBookやiBookでのスリープ状態もきちんとサポートされる見込みだ。さらに、プリンタドライバとして、PostScriptプリンタだけでなく、HPやEpson対応のものも含まれる。さらに、Mac OS Xには、Mac OS 9.1だけでなく、開発ツールに関してもパッケージに含まれることが正式にアナウンスされた。つまり、誰もが開発ツールをインストールできるということになるわけだ。

□Virtual PCやMicrosoft Officeのリリーススケジュールも
10,000以上のデベロッパーがMac OS X向けのソリューションを開発しているとのアナウンスもあった。主要メーカーの動きについての記載から興味深い点をピックアップしておこう。
4Dは4th DimensionとWebSTARのMac OS Xをすでに公表している。Aladdin SystemsはStuffIt関連プロダクツのMac OS X対応はすでに周知のところだ。Alias/WavefrontのMAYAの対応も、基調講演などでは大きくクローズアップしているのでよく知られている。Avidについては具体的な製品名までは記載されていない。Connectixは、Virtual PC for Mac OS Xをこの夏に出荷するとしている。DantzはRetrospectを3週間以内にリリースするとしている。Digidesignは、ProToolsなどをMac OS X対応にするとしている。IBMは、ViaVoiceの英語版を年内にリリースしており、ヨーロッパ言語および日本語についての評価を進めているとしている。Macromediaは、FreeHandの次期リリースより順次各製品をMac OS Xに対応させるとしている。Microsoftは、秋にMicrosoft Office 10 for Mac OS Xをリリースするとしている。会計ソフトのMYOB AccountEdgeもMac OS Xに対応する。Palmは、Palm DeskitopとHotSync ManagerのMac OS X対応に現在力を注いでいるということだ。Thursby Software SystemsはDAVEやMacSOHOを対応させる。
その他、FileMaker、EarthlinkがMac OS Xに対する対応を表明している。SunはJavaをアピールしている。一方で、目についたところでは、Adobe SystemsやQuark社の名前が上がっていないことがある。

◇Mac OS X Hits Stores This Weekend
 http://www.apple.com/pr/library/2001/mar/21osxstore.html
◇More than 10,000 Developers Working on Mac OS X Solutions
 http://www.apple.com/pr/library/2001/mar/21osxdev.html

カテゴリ:Mac OSテクノロジー


Mac OS Xの製品版はそのままではsuコマンドでrootにはなれない

Technical Q&Aに、Mac OS Xでのrootアカウントでのアクセスについての文書が掲載された。この文書によると、Mac OS Xでは「su root」コマンドで、rootアカウントへの移行ができないようになっているとしている。Public Betaではsuコマンドで利用できたので、製品版ではそうしたrootアカウントへの移行ができないのであろう。また、アカウント名root、パスワードは管理者と同じ…というログインもできない模様だ。一般のユーザがrootになる必要はないものの、デベロッパーは時としてroot権限が必要になる。そのための方法が2つ用意されており、1つはNetInfoManagerを使ってrootのアカウントを有効にする方法である。その方法はDeveloper向けの文書に解説されており、文書のディレクトリが示されている。もう1つの方法は、sudoコマンドを使う方法だ。Terminalでsudoコマンドを使って、root権限でコマンドの実行を行える。詳細は、Terminalで「man sudo」とコマンド入力して、sudoコマンドの解説を参照してほしいとしている。
なお、こうしたアカウント関連の情報については、Mac OS Xの正式発売後に改めて記事をお届けしよう。上記の記事はAppleのサイトから得られた情報だが、これ以上の情報は製品発売前なので、今現在は残念ながらお届けできない。

関連リンク:Mac OS X and root access
カテゴリ:Technical Q&A, Mac OS X


TIL》Mac OS X ServerのAppleShareサーバにファイルコピーする時の中止処理について

Mac OSのAppleShareクライアントから、Mac OS X Serverに対して大きなファイルをコピーしていると途中で、コピーを中止した時、長時間待たされることがある点についてTech Info Libraryに掲載された。Mac OS X ServerのAppleShareサーバ機能は、ファイルをコピーする時、まず、そのサイズの領域をハードディスクに確保する。もし、コピーを途中で中止した時には、確保した領域のデータをすべて消すという作業を行うため、中止後になかなかダイアログボックスが消えないということである。その間は必ず待っておく必要があり、強制リセットなどは行わないようにする必要がある。たとえば、2GBのファイルをコピーしている途中で中止をすると、90秒ほど中止の処理にかかるといった数値が紹介されている。

関連リンク:Mac OS X Server: AppleShare Client Delay After Stopping A File Copy
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), サーバー製品, Mac OS X Server


TIL》iTunesで音楽CDを作成する時には、iTunesが曲間の時間を確保する

iTunesで音楽CDを作成する場合に、曲間の時間が長くなることへの対処がTech Info Libraryに掲載された。音楽CDのトラックには、無音部分をトラックに含めている場合があるが、iTunesでは、トラック間の時間を取るようになっている。その結果、次の曲が流れはじめるまでに時間がかかると思ってしまうこともある。初期設定の「詳細設定」のタブで「トラック間隔」という設定を短くすることで、iTunesが設定する曲間の時間を調節することが可能だ。

関連リンク:iTunes: Long Gaps Between Songs
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), アプリケーション


iTunes 1.0の英語版を削除するプログラムを配付

Appleのソフトウエアアップデートのコーナーで、iTunes 1.1の英語版国際版がリリースされたが、それに伴って、英語版のiTunesを取り除く「Remove US iTunes 1.0」もリリースされた。いずれも英語版の国際版だから、日本語のMac OSでの利用はできないものと思われる(執筆時点ではダウンロードできないため、未確認)。2001年2月にiTunes 1.1の日本語版の配付が開始されたが、英語版のiTunes 1.0をインストールしたシステムでは手作業でiTunes 1.0関連のファイルを削除などしないと、きちんとインストールができなかった。それに伴う措置であると思われるが、やはり、日本語版を出す時にこうしたものがあって欲しかったと思ってしまう。

◇Remove US iTunes 1.0
 http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n12037

◇iTunes 1.1(English-International)
 http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n12072

カテゴリ:アプリケーション


REALbasic 3.1の正式アナウンスおよびベータ版のリリース4

REALbasicの次期バージョン3.1のベータ版がリリース4になった。また、REALbasic 3.1についての正式なアナウンスもReal Softwareから行われた。まず、Ver.3.1b4では、4DのプラグインでのBLOBへの対応や、Mac OS Xのグラフィックス機能をIDEでの動作で利用するなどの新機能や、さまざまなバグ修正が行われている。なお、正式発表では、Mac OS Xのネイティブアプリケーションを作成できることなどを強調しており、価格も据え置きで、Ver.3.0ユーザに対してはフリーアップグレードを約束しているが、正式発売の時期などは明言していない。

関連リンク:REALbasic 3.1b4 Release Note
カテゴリ:REALbasic


USB、FireWireの開発者向けキットがアップデート

「Mac OS USB Driver Development Kit 1.5」および「FireWire 2.8.1 SDK」が公開されている。USBやFireWire対応製品を作成しているような開発者にとっては入手およびチェックの必要があるものだ。USB関連ソフトウエアは、Mac OS 9.1では1.4.6が組み込まれているため、次期リリースのMac OSのUSBソフトウエアに対応したDDKとなっている。また、バグ修正が中心のリリースであるとしている。FireWireについては、記憶装置のドライバを組み込んだVer.4.7以降のFireWireシステムに対応している。

関連リンク:Hardware
カテゴリ:アップルからの開発資料, 周辺機器


TIL》Mac OS 9.1にアップデートすると使用できなくなるUSBモデムもある

Tech Info Libraryに、Mac OS 9.0.4では正しく使えていたUSBモデムが、Mac OS 9.1にアップデートすると利用できなくなるという現象についての解説が掲載された。Mac OS 9.1は、USB Communications Device Class(CDC)という規格に従っているため、初期のUSBモデムがCDCに非対応の場合があり、そのときにはMac OS 9.1でプロバイダへの接続ができないなどの問題が発生する。対処法としては、USBモデムの製造メーカのサポートを頼るか、Mac OS 9.0.4に戻すということが記載されている。

関連リンク:Mac OS 9.1: Connection Issue With Some USB Modems
カテゴリ:ネットワーク, Knowledge Base(旧TIL), Mac OS X Server


TIL》IPアドレスをキー入力する時、各桁は0では始めないようにする

Tech Info Libraryに掲載された情報によると、Mac OS X ServerでIPアドレスを入力するときに、ドットで区切られた各桁は、0で始まらないようにするのが基本だとしている。0で始まると、その桁は8進数と解釈されるので、通常は10進数で記述されているIPアドレスとは異なる。文書では、「010.011.012.013」と入力した場合には「8.9.10.11」というIPアドレスであると解釈すると例を出している。

関連リンク:Mac OS X Server: Do Not Use Leading Zeros in IP Address
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), ネットワーク, Mac OS X Server