Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年5月24日発行号 - Project Builderがアップデート



時差ぼけがなんだか日を追ってひどくなり、今日はちょっと全然パフォーマンスが出ませんでした。セッションでも深く居眠りに入ってしまうしで、グロッキー気味です。ま、それでも、そこそこは聞いているのですが、セッションによっては全然新しいことはなく、機密にする必要もなさそうなものもあります。一方、JBuilderのセッションもあったのですが、これは、Apple社以外の商品だから機密にはしなくてもいいような気もしますが…、まあ、記事に書くのはちょっと怖いのと確定情報ではないので、ざっとここで紹介しておきますけど、いくつか興味深いことがありました。1つは、Cocoaのアプリケーションのビルドができることで、Interface Builderで作ったnibファイルをロードして、Cocoa-Javaのアプリケーションを実行していました。ロードする部分がJavaのコードで書かれていたようです。それから、ダブルクリック可能なパッケージを作るような機能は、JBuilderのプラグイン的な機能を利用し後から追加でできるような話もありました。さらに、JBuilderのビルドをコマンドラインからできるので、シェルスクリプトでビルドから圧縮などの一連の作業を自動化することができるということです。ただ、具体的にどうやっているのかが、実は画面の文字が見えなかっただけに、分かりません。見えても、すぐに次々プレゼンが進んだのやっぱり分からなかったと思います。いずれにしても、JBuilderの製品版が出るころには形も見えてくるかもしれませんので、具体的には改めて記事にできればと思います。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


Project Builder 1.0.1がリリース、メニューや一部の文書が日本語化

WWDC 2001の来場者には、Mac OS XのDeveloper Toolsの2001年5月版が配布されている。Project Builder 1.0.1、Inteface Builder 2.0.1と、ツールが小幅にバージョンアップしている。3月のMac OS X 10.0.0以来、ツールについてはアップデートがなされなかったが、これが最初のアップデートとなる。
Project Builder 1.0.1での変更点は次の通りだ。まず、日本語システムで利用すると、メニューが日本語で出てくるようになった。ただしウインドウ内のメッセージは従来通り英語となっている。現在アクティブな開いているファイルの構文チェックのみ、つまりコンパイルができるようになった。「ビルド」メニューに「現在のファイルをコンパイル」(Command+K)が追加されるとともに、編集フレームの右上に、チェックマークボタンで同じ機能を呼び出すことができるようになった。そして、暗黙に利用するヘッダの指定が可能となり、ビルド設定で指定したヘッダの読み込みはソースになくても行われるようになった。Javaのコンパイル結果のjarファイルを取り込む形式のアプリケーション作成もできるようになった。デバッグ機能などを使っているときに、ビルドの状態を保存できるようにもなった。変更点は起動したときに表示されるリリースノートでも参照できるが、Webサイトにも解説がある。
Interface Builder 2.0.1の変更点は、テスト実行させたときにもシートとして表示されるなど、多数の項目が挙げられているが、細かなバグ修正が中心になっているようだ。なお、メニューは日本語にはなっていないため、ソフトウエアを使う上での見かけは従来とほぼ同じである。
Project Builder 1.0.1を、日本語システムでも英語メニューで使いたいのなら、Project Builderのアプリケーションファイルをcontrol+クリックして「パッケージの内容を表示」を選択してパッケージの中身をFinderで表示する。Contentsフォルダ内にあるResourcesフォルダに「Japanese.lprj」というフォルダがあるので、そのフォルダごとどこか別のところに移動させておけば、英語メニューで表示できる。なお、デフォルト設定の解説書なども日本語化されているので、必要に応じて参照できるようにしておけばよいだろう。
Project Builder、Interface Builderのいずれも近々フリーでダウンロードできるようになる予定であると告知されている。Mac OS XがMacintosh本体にバンドルされるようになる模様だが、ダウンロードなど何らかの手続きは必要になるものの、Developer Toolsは誰でも使えるという点はキープされそうだ。

関連リンク:Project Builder
カテゴリ:ProjectBuilder/Interface Builder


Cocoaのプログラミングを解説する「Learning Cocoa」を出版

O’Reillyより、Cocoaのプログラミングを解説した「Learning Cocoa」が出版された。著者はApple Computer, Inc.で、US価格は$34.95だ。370ページほどの書籍である。Project BuilderやInterface Builderを使ったプログラミングの方法が解説されており、Objective-Cを言語として採用されている。最初にオブジェクト指向プログラミングや、Objective-Cについての解説も行われているので、それらの知識がない場合でも最低限の学習はできるだろう。そして、書籍の内容はシングルウィンドウのアプリケーションと、マルチウィンドウのアプリケーションの作成に分かれている。シングルウィンドウのアプリケーション例としては、単にウインドウを出すだけのものや、通貨のレートに応じた変換を行うといったサンプルがある。ツールの使い方やターゲットおよびアクション、あるいはイベント処理といったCocoaフレームワークの重要な概念を学習する。マルチウインドウのドキュメントの方では、Travel Adviserというアプリケーションを作るが、コントロールがいくつもある比較的複雑なウインドウをInterface Builderで設計する。NSDocumentなどのクラスについて学習することになり、こちらは比較的まとまったアプリケーションを作るといった事例に近い。アプリケーションを生成するための設定や、グラフィックス描画についても説明されている。表紙は犬が1匹だ(これも申し訳ないが種類は分からない)。
この書籍もLearning Carbonと同様にリファレンス的な内容ではないが、ポイントを押さえてあり、一歩一歩学習できるようになっている。初歩から説明をしているので、これからCocoaをやりたいという人でも読みこなせる内容であるし、ある程度知っている人でも知識を整理するのにはうってつけの書籍であると言えるだろう。(なお、この記事は、魚井先生所有の書籍をお借りして作成した。この場を借りてお礼を申し上げます。)

関連リンク:O’Reilly
カテゴリ:雑誌、書籍, Cocoa


アニーズ・クラフトがレンタルサーバをMac OS X Server 10.0で展開

アニーズ・クラフトは、レンタルサーバ業務をMac OS X Server 10.0を使って展開することを明らかにした。2001年7月に移行する予定だ。レンタルサーバでは、容量200MBで、CGIやSSLの利用を可能とし、データベースではPostgreSQLを利用できる。ショッピングカートやクレジット決済も可能とし、オンラインショッピングを開設しやすくしている。サイト管理ツールもMacらしい簡単なものが使えるとしている。

関連リンク:アニーズ・クラフト
カテゴリ:Mac OS X Server, サービス


Carbon Eventに関するより詳しい文書が公開

Carbon Eventに関するより詳しい文書が掲載されている。以下のリンクにある「Carbon Events」のリンクで30ページほどのPDFファイルだ。Preliminaryとなっているため、目次などもないが、イベントのタイプ、イベント属性、イベントのターゲット、イベントループ、デフォルトのイベントハンドラ、イベントハンドラの定義やインストール、マウスイベント、タイマーイベントといった項目が立てられている。最小限のプログラム例や、マウスのリージョン内に存在するかをトラックするサンプルなどが掲載されている。Carbon Eventの文書も徐々に進歩をしていると言ったところだ。

関連リンク:Carbon Event Manager
カテゴリ:アップルからの開発資料, Carbon/CF


Text Services Managerについての文書が公開

Carbonでのテキスト入力とText Services Managerについての利用方法を示した文書が掲載されている。HTML形式だ。インプットメソッドの動作を含むText Services Managerの基本的なところを解説し、さらにアプリケーション側のイベントのハンドリングや、コンポーネントでのイベント処理などが解説されている。エディタやワープロなどの、Text Servicesのイベントを利用してのテキスト入力の必要のあるアプリケーションや、あるいはインプットメソッドの開発をする場合には、基本的な情報収集に参考になる文書だろう。

関連リンク:Understanding Text Input and the Text Services Manager in Carbon
カテゴリ:アップルからの開発資料, テキスト/フォント


TIL》Mac OS 9.1とXのデュアルブートマシンの解説文書

Tech Info Libraryに、Mac OS 9.1とMac OS Xの両方がインストールされたMacintosh向けの文書が掲載されている。起動システムをMac OS 9.1からMac OS Xに切り替える方法や、その逆の方法、iTunesについてなどが記載されている。また、DVDビデオの鑑賞やDVDへの書き込みは現状ではMac OS 9.1でしかできないが、現在、それができるように作業をしていることも記載されている。Fax機能はMac OS 9.1でしか使えないが、Mac OS Xで利用できるようになるといった計画についても記載はされていない。

関連リンク:About Mac OS 9.1 and Mac OS X Installed on Your Computer’s Hard Disk
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), Mac OS 9


iShellがバージョンアップ、QuickTime 5のファイルフォーマットに対応など

トライブワークスジャパンは、オーサリングツールのiShell 2.2.1をリリースした。2.2.1での変更点は、QuickTime 5がサポートするファイル形式の追加、QuickTime 5を利用時の問題の修正、バグフィックスや機能改善、日本語HTMLのサポート強化となっている。

関連リンク:トライブワークスジャパン
カテゴリ:オーサリング系