Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年10月6日発行号 - 10.1のファーストインプレッション



いろいろご心配をおかけしましたけど、だいぶんと回復してきました。昨日は腸のバリウム検査なんかでちょっとグロッキーでしたけど、やっぱり悪いところは特になく、「腸が過敏になっているので、薬を飲みながらゆっくりなおすしかないな」ということになった次第です。まだ、食事が満足にできない状態でもありますが、徐々にでも快方には向かっているので、おそらく、来週あたりからニュースは再開できると思います。すみませんが、徐々に再開したいと思います。
Mac OS X 10.1もいろいろ使っていますが、macjavaメーリングリストを御覧の方は御存じのように、Java Web StartもOKな上に、jarファイルをダブルクリックして起動できるなど、なかなか細かいところもフォローされているようです。Javaアプリケーションの起動も心無しか速くなったような気がします。ただ、Swingの動作がやっぱり遅いと感じるところです。ただ、ユーザーインタフェースが絡むものは、CocoaやCarbonで作るということも視野に入れれば、いろいろな手段が使えるMac OS Xのメリットもより強くなったと言えるかもしれません。
で、なにげに豪華プレゼントです。

===============================プレゼント
CodeWarrior for Palm OS Platform Ver.7日本語版(メトロワークス提供-1)
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
申し込み方法:<msyk@mdonline.jp>宛にメールをする
 メールのタイトルは、【CW4Palm希望】
 メールの本文には、送付先の名前(団体部署名)、住所、郵便番号、
          当選時の公開名を記載
 メールは、MDOnlineに登録のメールアドレスから送付してください
   有償での購読者、MOSA会員としての購読者、ヘリオグラフ顧客様
   としての購読者の方々に応募の権利があります。
 日本時間で2001年10月9日(火曜日)までに到着したメールより抽選します
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


小池邦人のプログラミング日記》2001/10/4<Mac OS X 10.1 ファーストインプレッション その1>

今回から2回に分けて、9月29日に発売が開始されたMac OS X 10.1のファーストインプレッションを述べてみたいと思います。そのため、Quartz 2Dの話はしばらく中断します。Appleサイトに登録された最新資料を調べてみると、10.1ではQuartz 2Dについても機能拡張が成されているようです。10.0.4では使えなかった機能が直っているかどうかを含め、そうした新機能については別の機会に紹介したいと思います。

まずは、ハードスケジュールの中Mac OS X 10.1正式版の販売までこぎつけた、Apple社のすべての開発メンバーとサポートスタッフに大きな拍手を送りたいと思います。何はともあれ、さっそく愛機(G4 Cube 450MHz)にインストールしてみました。先んじてMac OS 9.1をMac OS 9.21にアップデートし、続いて別パーテーションに10.1をインストールします。インストール作業や、それに要する時間については10.0の時と大差ないように感じました。今回は、Dockの中にiTunes、iMovie、Acrobat Reader 5.0といった新顔のアプリケーションが登録されています。加えてDVDが再生できるマシンであれば、DVD Playerも登録されるようです。システムを再起動してみると、確かに10.04の時より短時間で立ち上がるようですが、体感的にめっちゃくちゃ速くなっているわけではありません。それと比較して、ログイン後のFinderが起動しデスクトップが現れるまでのタイムラグは大きく短縮されています。

迅速なシステム起動には、アプリケーションの起動が高速になったことも貢献していると思われます。10.0.4ではアプリケーションの起動の遅さだけでストレスが溜まっていたのですが、10.1ではその欠点が大きく改善されました。ちなみに10.0.4では、同じCarbonアプリケーションでも、CFMランタイムの方がMach-Oより倍ぐらい起動時間が掛かっていました。しかし、今回の10.1ではその差はほとんどなく、どちらの場合でも短時間で起動させることができます。アプリケーション起動については、一度目よりそれ以降の起動の方が高速のようです。TextEditやPreviewといった小型アプリケーションであれば、2回目からはほとんど起動を意識する必要はありません。すべてのアプリに当てはまるかどうかは分かりませんが、Mac OS X 10.1でのアプリケーション起動はMac OS 9.2.1並み(それ以上の場合もある)に進化したと言っても良いかもしれません。

Finder回りを色々と操作してみると、メニュー表示やウィンドウズームなど、先んじてAppleから伝えられていた機能は予想通り高速化されています。10.0.4の場合と異なり、「Finder操作でストレスが溜まる」という状況からは脱したのではないでしょうか? リスト表示中にキー入力を行うことでファイル名を選択できる機能も、ちゃんと動くようになりました。ファイルアイコンもドロップした位置にちゃんと置かれます(笑)。コマンド+シフト+3や4で画面をキャプチャーする機能も復活しています。それから、ファイルを選択して編集メニューから「コピー」を実行し、別フォルダーやボリュームへ「ペースト」(複製)する機能も追加されました(ひょっとして10.0.4からあったかも?)。ファイルやフォルダ名は2段まで表示され、分かりにくかった省略記号「...」が入るケースも少なくなりました。私が一番喜んだのは、ネットワークボリュームのエイリアスアイコンをDockに登録し、それをクリックすることでボリュームをマウントできるようになったことです。まあ、Mac OS 9.2なら当たり前の機能がちゃんと動くようになったケースが多いのですが、それでも着実に進歩している点は評価できます。

Mac OS 9.2.1へバージョンアップしたClassic環境のパフォーマンスや安定性はどうでしょうか? 多くのClassicアプリケーションは全く問題なく、Mac OS 9.2.1上と同程度のパフォーマンスで動作しています。しかし残念ながら、すべてのアプリケーションが良好というわけではありません。私の環境だけの現象かもしれませんが、例えばAdobe GoLive 4.0は文字入力で落ちますし、GoLive 5.0は何とか動くのですが、作業にストレスが生じるほどパフォーマンスが落ちてしまいます。逆にMac OS X Nativeアプリケーションのパフォーマンスは納得のいくものです。新しくバンドルされたDVD PlayerではDVD Videoもスムーズに再生できますし、iTunesのビジュアルエフェクトも心なしかスムーズです。こうなると、やはりNativeアプリだけで自分の作業環境を整えたいと強く主張する人が出てくることも予想されます。

まずは、いつものQuickTimeパフォーマンスチェックをしてみました。Sorenso VIdeoで圧縮した640x288ピクセルサイズの「Star Wars Epsode I」のMovieファイル(22.5Mbyt)を2つ同時に再生するテストです。サウンドトラックはQDesigne Music 2で処理されており、ステレオ 44.1KHz 16ビットで再生されます。実行する前に、QuickTime Playerの「Player環境設定」で「Playerが一番手前に表示されているときだけサウンドを再生する」のチェックを外しておきます。これにより、両Movieから音声が流れ、再生処理に最大の負荷をかけることができます。10.0.4で同じテストをした時には、再生がガタガタで見るに耐えませんでしたが、今回は両方ともスムーズに再生されます。ならばと言うことで同時に3つの再生に挑戦してみると、さすがにもたつく場面もありますが、9.2.1で3つ再生するよりは状態が良いようです。QuickTimeのパフォーマンスについては、マルチプロセッサーマシンでも試してみたいところです。しかし、残念ながら未だ手元にマルチプロセッサーのPowerMac G4がありません。次回のバージョンアップまでにはぜひマルチプロセッサーマシンを入手し、心おきなくテストをしてみたいと思っています。

今度は、10.1のOpenGLパフォーマンスをチェックするために、OpenGL SDKに付属している「atlantis」というサンプルアプリケーションを動かしてみました。これは、数匹の3Dクジラやサメが、海の中を泳ぎ回るアニメーションを表示するサンプルです。このアニメーションの3Dレンダリングはリアルタイムで実行されており、OpenGLのパフォーマンス(特定の機能に絞られますが...)を比較するのには最適です。アニメーションを表示するウィンドウ枠を640x480ピクセに固定し、まずはMac OS 9.2.1で再生させてみると210〜220Hz(fpsと同等かな?)という情報が表示されました。これとまったく同じことを、今度は10.1上で行うと260〜270Hzと表示されます。これにより10.1で実行した方が、より高速にアニメーションが表示されていることが分かります。ちなみに10.0.4でこれと同じテストをした時には、170Hzぐらいだったと記憶していますので、10.1ではOpenGLのパフォーマンスもずいぶんと改善されているようです。

続いて、Mac OS X 10.1と9.2.1で、ハードディスク間やネットワーク上でのファイルコピーの処理速度を比較してみました。テストで用いたAppleShare IP サーバマシンは、Mac OS 9.0.4のB&W PowerMac G3 300MHzです。処理時間を腕時計でチェックするラフなテストですが、以下のような結果となり、私の環境ではかなりパフォーマンスが改善されていることが分かります。ネットワーク経由のファイルコピーについては、単独ファイルよりもファイル数が多い場合の方が、両システムでのパフォーマンス差が広がるという話しも聞いています。次のバージョンでは更なるチューニングにより、今以上のパフォーマンスが得られるようになるのでしょうか?

・7000ファイルで総量504Mバイトを内蔵HDから外付けFireWire HDへ
 Mac OS X 10.1...1分04秒  Mac OS 9.2.1...2分06秒

・560Mバイトの1ファイルを内蔵HDから外付けFireWire HDへ
 Mac OS X 10.1...45秒    Mac OS 9.2.1...1分24秒

・550ファイルで総量62Mバイトを内蔵HDからAppleShare IP 6.2サーバーへ
 Mac OS X 10.1...1分35秒  Mac OS 9.2.1...2分07秒

・7000ファイルを捨てて「ゴミ箱を空にする」(おまけ)
 Mac OS X 10.1...07秒    Mac OS 9.2.1...40秒

5日間ぐらい色々と試してみましたが、すべてのパフォーマンスに不満が無いわけではありません。仕様を直してもらいたい箇所も数多く存在します。また、明らかなバグもいくつか発見しました。より細かな不都合は、Mac OS X 10.1を毎日のルーチンワークで使ってみないと発見できないかもしれません。幸いにも、アップル社の「Mac OS Xに関するフィードバック」サイトは健在です。みなさんも何らかのバグや仕様の不備に遭遇したら、迷わずフィードバックをしてください。10.0.4から10.1への多くの改良&改善点に、このフィードバックの結果が反映されていることは間違いないはずですから。どうかよろしくお願い致します。

◇Mac OS X: フィードバック
 http://survey.apple.co.jp/macosx/

次回は、10.1になっても「やはり不満だなぁ」と思う箇所や「追加してくれなきゃグレてやる」と思っている機能(笑)などについて述べてみたいと思います。次なるMac OS X 10.2を目指して...。
[小池邦人/オッティモ]

関連リンク:オッティモ
カテゴリ:Mac OS X, 小池邦人のプログラミング日記