Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年11月1日発行号 - iPodの発表会



また、説明会会場から執筆即発行ですので、MacWIREのみなさんは、少しまじめに文字チェックをしてください(笑)。
一昨日の謎のメールは、やっぱりウィルスでした。Nimdaの亜種とかで、ちょうど、その後にシマンテックからも警告のお知らせがきました。お知らせいただいた関係者の方々にお礼を申し上げます。しかしまあ、WindowsへのHTMLによる攻撃は執拗に来ますね。個人的にはHTMLメールでもいいじゃないかと思っていたけど、世間的にはこれでHTMLメールはかなり立場上厳しくなるかもしれませんね。まあ、テキストですむものをHTMLメールされてもちょっと…とは思いますが、メールのメッセージが多様になるのならまあHTMLもいいし、デファクトにのっとった方法でいいかなと思っていたのですが…。ただ、いずれにしても、シンプルなテキストで、普段のやりとりの95%はOKだということもあります。思うに、そろそろ次世代のメールについてのプロトコルなんて誰か考えていないかなとも思うのですが、どうなんでしょう? 現状のインターネットメールの手法はそれなりにうまくはいっていますが、文字コードの問題とかもあったり、複雑怪奇でもあり、後からいろいろ規則を付け足してうまく行っているという感じです。個人的には、1メールには1アイテムに限定するような仕組みの方がうまくいかないかなともおもっています。たとえば、テキストならテキストだけ。ファイルを送る場合には、ファイルを送るということだけができるというものです。ファイルに対してメッセージが必要なら別々に送りましょうということです。もちろん、アプリケーションを工夫すると、背後では別々だけど、実際にはメッセージとファイルいくつかみたいな送り方もできるかもしれません。そして、セキュリティ的なガードや、送信者を認証して、送信者、さらには受信者がオーソライズされるという枠組みもあればいいなとも思います。相手先で自動的に起動するとかいった形態は、アプリケーション側でサンドボックス的なものを用意して、そこで行うという感じかな。どんなもんでしょうね。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


iPod、iTunes 2、iDVD 2についての説明会が開催(1)

2001年11月2日、アップルコンピュータは、新発売される携帯オーディオプレイヤのiPodと、プレイヤアプリケーションのiTunes 2、そして発売されたiDVD 2に関するプレス向け説明会が開催された。(以下は講演者の話として記述する。)まずは、マーケティング本部長の大宮哲夫氏の話から始まった。久々に新しいカテゴリーの商品の発表となるが、新しいイノベイティブな商品となるものである。コンピュータの歴史として、文字だけの時代、グラフィカルユーザインタフェースによるデスクトップパブリッシングの発達、さらにここ3〜4年のインターネットの波があると説明した。そして次の大きな波になると考えたのが、デジタルライフ、デジタルハブというコンセプトである。身の回りにはデジカメ、ビデオ、携帯電話などたくさんの種類のデジタル機器がありそこにデータが保存されている。こうした機器を単独で使うのでは使いにくい面があるが、パーソナルコンピュータの存在によって使いやすくなる。また、再生専用だった機器が、自分でコンテンツを作るという方向にも向く。こうした使い方を促進するために、iTunesなどのアプリケーションを開発してきたが、デジタル機器側がコンピュータを考慮して動いているわけではない。そこで、デジタル機器についてももっといいものが作れるなら作りたいということで、音楽プレイヤを作った。すでに発表されて、好評でもあるが、MP3プレイヤとしては高いという声もある。しかしながら、iPodは新しいカテゴリの機器であり、従来の機器と比べるのは自転車とバイクを比べるようなものでもあってあまり意味はない。そして、新しい機器でのリーダーシップをとりたいと考えている。
続いて、マーケティング担当の柳原友明氏よりの製品についての説明に移った。Appleはデジタル機器の中心にMacintoshを据えることでのデジタルハブというコンセプトを提唱している。Macintoshと親和性の高いiPodというミュージックデバイスを発表した。まず、ミュージックライブラリの1000曲がポケットに入る。そして、縦横10cmと6cmで厚さが2cm、185gのサイズの実物を見せた。表の白い部分はポリカーボネート、裏はステンレスで鉄の2倍の強度となっている。CD品質で160kbpsの曲を1000曲保存でき、MP3ではなく、AIFFやWAVEなどにも対応している。今までのMP3プレイヤはCD盤1枚程度しか記憶させられないし、MDプレイヤでも80分程度である。MDやMP3プレイヤで1000曲を保管するためのコストを計算した結果を示し、iPodのメリットを説明した。MDだと1.6kgとなり35,000円のコストとなる。MP3プレイヤだと200gだが高いメモリのために350,000円となる。iPodはそうした比較からバランスが良いと強調した。iPodの充電は10時間連続再生ができ、1時間でチャージができる。また、音飛びを発生しないようにするスキッププロテクションは20分もの長時間が可能となっている。そして、iTunesから自動的に曲のダウンロードやなど、つなぐだけでOKというシンプルさも特徴であるとした。スクロールホイールで選択の操作をし、視認性のいいバックライト、日本語を含む多言語対応といったユーザインタフェースの良さも示した。日本語を表示できるMP3プレイヤは少ないが、この機能はぜひ実現したかった機能である。選曲はプレイリストやアーチストによる選択もできる。音質についても力を入れており、ネオジウムトランスデューサーマグネット採用のヘッドフォンを搭載した。そして、FireWireでの接続により、CD1枚を10秒、1000曲の転送も10分で済み、USBの30倍のスピードとなっている。プレイヤにFireWireを採用したのはAppleが最初である。さらに、FireWireケーブルからの充電も可能となり、接続して1時間で充電できる。さらに、FireWireディスクモードにより5GBのハードディスクとしても使える。大容量なので、ファイルの持ち運びにも使えることを具体的に説明した。続いて、接続ポートや操作ポイントを示しながら使い方の説明も行った。オン/オフについては、再生ボタンを長押しすることでできるようになっている。価格は\47,800であり、確かに高いが、幅広い用途を考えれば決して高くないのではないかと提案した。MP3プレイヤとFireWire HDDを両方買うことに比べれば安くて軽く、便利であるので、パソコンを分かっている人は理解してもらえる価格だとした。
続いて、iTunes 2の話になった。新しいバージョンでは、20種類以上のプリセットを装備した10バンドイコライザを装備し、サウンド拡張機能や、曲間の切り替えをスムーズにするクロスフェードの機能が追加した。また、CD作成では、オーディオCDだけでなく、150曲以上が入ったMP3 CDの作成もできるようになった。また、CDDB2からの日本語情報に対応し、Unicodeを対応したことで、文字化けはしなくなった。
そして、iPodとiTunes 2を使ったデモに移った。出荷された製品は最初は言語を選ぶ画面になる。そして、iPodを実際に使って、曲をさまざまな方法で選択するところを示した。日本語の曲ではきちんと日本語が出てくる。再生が始まると、スクロールホイールはボリュームになる。いずれにしても、片手で操作ができる。続いて、曲が入っていないiPodを用意し、Macintoshと接続した。接続を行うとiPodはすぐに充電を始める。Macintoshの側は自動的にiTunes 2が起動する。転送も1曲あたり1秒もかからないくらいのスピードで行われる。また、FireWireディスクとして使用するところも示したが、iTunes 2での関連する設定も示された。iTunesのクロスフェードの機能や、イコライザで自分で新たにプリセットを作成できること、CDDB2対応しているところを見せた。CDDB2では今までのiTunesでは文字が?マークになっていたが、iTunes 2では正しく取り込まれる。
iPodの名称の意味についても説明された。iは今までのiと同じである。Podは「小さくて何かつまっている」という意味で、植物の種などを指すような言葉である。これから、いろんな使い方ができるという可能性も含められたネーミングなのである。最後に、iPodのCMを上映した。また、立方体のiPodのパッケージを見せて、クリスマスギフトに最適な感じで、パッケージングについても凝ったものであることが示された。

カテゴリ:メディア制作, メディアプレイヤ


iPod、iTunes 2、iDVD 2についての説明会が開催(2)

続いてiDVD 2の説明に移った。担当はマーケティングの古村秀幸氏が行った。7月のMacworldでプレビューされたiDVD 2がリリースされた。「時代はDVD」とし、ビデオテープが徐々に現象しているのに対して、DVDは急速に増えており、2001年末には逆転している。DVDのメリットは、耐久性や品質、パソコンではなくDVDプレイヤでも視聴ができるという点を挙げた。ただ、DVDの制作はプロなど一部の人しか作れなかったもので、そのプロセスを紹介した。こうした作業をiDVDにより個人でもできるようになった。iDVDはテーマというテンプレート的なものでメニュー画面を手軽に作成できる。編集したムービーファイルをiDVDにドラッグ&ドロップすればよく、SuperDriveにメディアを入れれば書き込みができてしまう。iMovieについても紹介があり、今ではOSに付属している。iDVDは世界でもっとも簡単なDVD制作ソフトであり、ドラッグ&ドロップでDVD制作でき、デザインが優れたテーマを用意してあり、ワンクリックで書き出しができるのが特徴であるとした。iDVD 2は、Mac OS X 10.1版であり、Mac OS 9では使えない。そして、モーションメニューやモーションバックグランドに対応した。さらにBGM付きスライドショーができるようになり、収録時間が60分から90分に延長された。iDVDは基本的には個人のホームユース向けの商品である。ビデオライブラリ、結婚式や旅行、子供の成長記録、オリジナルミュージッククリップなどの用途を示した。また、ビジネスユースでも、プレゼンテーションやイベントの記録ビデオ、製品紹介やトレーニングといった用途にも使える。
デモに移った。流れを示すためにまずはiMovieでビデオ編集をまずは行った。ムービーの書き出しではiDVD向けのものを選択すればよく、圧縮しないDV形式で書き出す。iDVDを起動すると、全画面を使わないタイプのアプリケーションである。テーマの選択では、ウインドウの左側にせり出すタイプ(Mailのフォルダ一覧と同じようなもの)のユーザインタフェースとなっている。そこから選択して背景を決める。そしてムービーをドラッグ&ドロップして、サムネイルの画像を決める。さらにモーションバックグランドとして、ムービーとなる背景を示したが、モーションかどうかはテーマの選択時に分かるようにマークがついている。メニューではフォルダを作って階層的に構築することができる。続いて、デジカメで撮影した静止画をドラッグ&ドロップして登録する。そして、MP3ファイルをドラッグ&ドロップして、スライドショーのGBMを設定した。MPEG2へのエンコードは今までは書き込み時に行っていたが、iDVD 2ではドラッグ&ドロップ直後からバックグランドで行うようになった。テーマのカスタマイズについても、自分で用意したイメージやムービー、オーディオを設定できる。また、メニューのボタンの位置も自由に配置できるようになった。また、タイトルやボタンの形などカスタマイズでき、自由度が高くなった。作成したDVDをDVDプレイヤで実際にプレイしてみた。
最後に、DVD制作環境としてMacintoshがベストであることを強調した。Super Drive搭載モデル、堅牢でマルチタスクが可能なMac OS X、マルチメディアを扱えるQuickTime、iMovieとの連動をその理由とした。今回はアップデートのみの対応となっており、2,500円の実費で行う。

Q&Aは次の通り。
Q: iPodをプレイヤとHDDの両方で使う場合、HDDの振り分けはどうなっている? A: ハードディスクの中をそれぞれのデータに応じて自動的に振り分ける。パーティションをあらかじめ切って使う必要はない。
Q: CDDBの日本語のコードは2種類あるが、どっちもサポートしたのか? A: これはCDDBのデータベース次第で、Unicodeの1種類で受け取っている。
Q: iTunesでの日本語表記されたものは、iPodでも日本語でちゃんと見れるか? A: そうなる。
Q: iPodの販売目標は? A: 公表できないが、マーケットリーダになる数を見込んでいる。
Q: 5GB以上のデータがiTunesにある場合は? A: もちろんiPodには全部行かない。環境設定で、選択したプレイリストだけをアップデート対象にするといいのではないか? また、プレイリストごとの容量もきちんと出るので管理はできるだろう。
Q: iPod側に搭載されているフォントは? A: Osakaで日本語を表示している。たぶんビットマップだろう。
Q: Macを持っていない人がiPod単体で使えるのか? A: 当面はMacでしか使えない。従って、Macを持っていないとiPodは使えない。他のプラットフォームについては可能性としては考えているが、FireWireとオートシンクロをWindowsで供給するのは難しく、同じスマートな結果は得られない。また、APIの公開も考えていないので、AppleがWindows版のiTunesを作るしかないが、それについては具体的な予定は公開できない。(つまり、iPodを使うにはMacを買ってもらいたいということである)
Q: iPodにはイコライザがあるのか? ファームウエアのアップデートは? A: iTunesでの設定したイコライザ結果はiPodでもイコライズをかけて再生する。ファームウエアのアップデートは可能である。
Q: iPodの保証期間が90日だが、長期の保証はあるのか、それから修理については? A: サービスについては発売時期に改めて公表する。
Q: 中国語や韓国語の表示がiTunes 2では可能だが、iPodに転送するとどうなるのか? A: 中国語はiPodでは表示されない。
Q: ラジオチューナーに変更はあるのか? A: どこを使うかは言えないがKerbangoという表示は消えて、Tuning Seviceという表示になる。
Q: 1000曲入れると音楽ファイルの検索はホイールだけでは大変だが、検索はどうなるか? A: 1000曲は目安であり上限ではない。また、アーチスト名アルバム名という階層で表示されるので、通常の操作でも十分に検索しやすい。
Q: Macの電源が入っていないときにはiPodには充電できないのか? A: できない。スリープ中などは電源アダプタでiPodを充電してほしい。
Q: スキッププロテクションの20分は長過ぎないか? A: 実際の長さはデータのレートによって変わる。20分に1回のアクセスしかしないことで節電を計っているというところを見てもらいたい。
Q: iPodの収録物について? iPodのACアダプタを本体に接続すると壊れないか? A: Mac OSのアップデータは入っていない。ケースは付属していない。iPodのアダプタを本体に接続した場合については今晩調べてみる。FireWireの規格を考えれば多分大丈夫だと思っている。
Q: iPodのディスクモードのフォーマットは? A: HFS+で再フォーマットするとiPodにはならなくなってしまう。初期化した場合にはiPodに付属のツールで初期状態に戻すことができる。
Q: iDVD 2の外部ドライブサポートは? A: 予定はない。iDVDはコンシューマだけのものではなく、仕事でも使われている。

カテゴリ:メディア制作, メディアプレイヤ


倉橋浩一のWebObjects Practice》再利用可能なコンポーネントで“台紙に埋め込む”(1)

【MDOnline読者様限定コンテンツ】

さて、WebObjects Practiceの第三回です。今回は、前回お送りするはずだったコンポーネント再利用について、ご説明します。

□概要と機能
コンポーネント再利用は、共通する要素などをコンポーネントとして作り、それを他のコンポーネントに貼付けることによって(この記事では「台紙コンポーネント」と呼ぶことにします)、実現します。再利用されるコンポーネント(「埋め込みコンポーネント」と呼びます)は、台紙コンポーネントからhtmlページを生成する時に展開され、一つのhtmlページとしてブラウザに返されます。

まず、WOBuilderを立ち上げて、空のコンポーネントを作ってみてください。WOBuilderのView切り替えボタンをクリックしてSource Viewでソースを表示させると、〜までのタグが表示されます。View切り替えボタンで"Layout View"に戻してからInspectorを見ると、"Full Document"と表示されたプルダウンメニューがあります。これを"Partial Document"に切り替えると「これを実行すると、BODYとその外側のタグは全部消してしまいますが、いいんですかい?」というダイアログが現れます。ここでContinueをクリックしてから再度Source Viewに切り替えると、すべてのタグがきれいさっぱり消えています。埋め込みコンポーネントとして使用するためには、必ず"Full Document"から"Partial Document"に切り替えて、台紙に貼付けた際に邪魔になるタグを消してやる必要があります。

埋め込みコンポーネントといえども、普通のコンポーネントと同様に、WOComponentをスーパークラスとするインプリメントクラスを持ちます。すなわち、LoginBox.woというコンポーネントには、LoginBox.javaが必要です。Login.javaを書く場合でも、特に普通のコンポーネントと違いはありません。actionメソッドを呼び出したり、アクセサメソッドを使ったりして、実装します。

このようにして作った埋め込みコンポーネントは、WOBuilder上で普通のエレメントと同様に扱うことができます。Add Custom WebObjectsアイコン(右端にある星印のようなアイコン)をクリックするとパネルが開きますので、WebObject class to use:に埋め込みコンポーネントとして使用するクラス名(先ほどの例では、LoginBox)を入力し、OKをクリックします。これで、埋め込みコンポーネントが台紙の上に配置されました。なお、埋め込みコンポーネントを台紙の上で使用する場合、台紙の上で「右寄せ」「センタリング」「左寄せ」などを設定してもWOBuilderでの表示には反映されません。ですが、実行結果にはちゃんと設定が反映されていますので、ご安心?ください。

なお、普通のエレメントと同様に扱うことができる、と書きましたが、足りないものがありますよね。そうです、普通のダイナミック・エレメントは、Attributeとして定数やkeyを設定することができますが、埋め込みコンポーネントをクリックしてもInspectorウインドウはからっぽです。でも、大丈夫、ご安心ください....ちゃんとAttributeを設定することができます。WOBuilder上で埋め込みコンポーネントを開いたら、アイコン列の下段、左から2番目にあるジグソーパズルのピースのようなアイコン"Show API Editor"をクリックしてください。"API Editor"が開きます。ここでは、Attributeの名前と、必須か否か、どのような値をセットすべきか、を設定することができます。例えば、"needPassword"という名前のAttributeを作ってbooleanの値を設定したい場合には、プラスマイナスアイコンから"Add binding"を選んで、Nameに"needPassword"を入力しValue Setとして"YES/NO"を設定します。ここで一旦OKをクリックして埋め込みコンポーネントを保存し、台紙コンポーネントを開いてその上に貼付けた埋め込みコンポーネントをクリックしてからInspectorを見ると、Attributeに"needPassword"が登録されているのがわかると思います。もう一度、埋め込みコンポーネントに戻って再度API Editorを開き、RequiedをcheckしてOKし保存してみると、今度は台紙の上のInspectorで"needAttribute"が必須をあらわす赤い字になります。このようにして、埋め込みコンポーネントと、台紙コンポーネントとの間でやりとりするためのAPIを設定してやることができます。なお、埋め込みコンポーネント側でAPIとして設定したNameは、埋め込みコンポーネントのインプリメントクラスの上でメンバかアクセサメソッドとして定義されている必要がありますので、注意しましょう。

また、API Editorでは、例えばWORepetitionなどのように複数のAttributeの組み合わせをチェックできるように設定することもできます。が、WebObjectsにしてはイマイチこなれていないというか、わかりにくい仕様になっています。ので、埋め込みコンポーネントを作る場合には、ここで悩まなければならないような複雑なAPI仕様にするよりも、極力シンプルなものにして仕様に合わないものは新しく作る、ぐらいの気持ちでつき合った方が、かえって生産性が高くなると思います。

以上が埋め込みコンポーネントに関する一般的なオペレーションです。次に、これをどのようにして活かすのかを見てみます。

□埋め込みコンポーネントの使い道
どんな時にコンポーネントを再利用するのでしょうか。

(1) 繰り返し使用する部品を作る
一番簡単な例としてメニューバーがあります。例えば10本程度Entityを持つ、データベースメンテナンスのためのアプリケーションを作っていて、ページ間をスムーズに移行するために全ページの最上部にメニューバーを設けたいとします。そのままですと、全部のコンポーネントにWOHyperlinkとアクション関数をcopy & pasteで貼付けてまわることになってしまいます。ですが、埋め込みコンポーネントを使えば、一つメニューバーを作った後は、これを各ページに配置するだけで共通のメニューバーを実装することができます。Entityが追加になったり、この部分のデザインが変更になった時、埋め込みコンポーネントならそれだけをいじれば済みます。埋め込みコンポーネントには、普通のコンポーネントとまったく同様にして使うことができますので、例えば会社のロゴを埋め込んだり、全ページにショッピングカートの簡易表示をしたり、ユーザへの注意を喚起するメッセージをデータベースから読み込んで自動的に表示させたり、というような「高機能な」部品を作ることができます。

私の会社には、このような埋め込みコンポーネントのストックが1000個ほどあります。まぁ、さすがに1000個もあるとさがすのが面倒でよく使うのはせいぜい50個程度なのですが....ID/PASSWORDでのログインとか、データベースからの自動メッセージ表示とか、カレンダー表示などの決まりきった処理は、これらを使いまわすことであっという間に実現することができてしまいます。

そのせいか、最近の私はどんどんコーディングする機会が減ってきています。これは生産性が上がるだけでなく、ミスをおかす機会も減るということです。活用しない手はありません。
(続く)
[倉橋浩一/テクニカル・ピット]

関連リンク:WebObjectsのページ
カテゴリ:WebObjects, 倉橋浩一のWebObjects Practice


倉橋浩一のWebObjects Practice》再利用可能なコンポーネントで“台紙に埋め込む”(2)

(2) 複雑なページの個別の要素を隠ぺいする
繰り返し使用には明確なメリットがあります。ですが、一度しか使わない埋め込みコンポーネントでも、例えば非常に項目数が多くてデザインも複雑なページで個別の要素を隠ぺいするために使ったりすると、十分メリットがあると思います。

私はある顧客のために、Webによる購買システムを作りましたが、このシステムでは一画面に200以上のエレメントが配置されることもあり、そのために10個程度のEntityや50ものAction関数を使ったりします(Webアプリの常識としては、そんなにたくさんのエレメントを一つの画面、少なくとも単一のFORMの上に配置するのは得策ではありません。しかし、端末操作に慣れた事務部門のユーザから、「Submitした後や再表示で少し待つことになっても、TABと数字キーだけで一度にたくさん入力/表示できるほうがいい」、という要望があったため、このような仕様としています)。これをそのまま単一のコンポーネントとして実装すると、WOBuilderでコンポーネントを開くのに何秒もかかってしまいますし、クラスブラウザ上でバインドしたいAction関数を見つけだすだけでも大変です。

こういう場合には、デザイン上の要素ごと、あるいは入力/表示に使用するEntityごとに埋め込みコンポーネントにしてしまい、台紙コンポーネントには埋め込みコンポーネントがパラパラと素っ気なく並んでいるだけ、という構成にしてしまいます。そして、台紙では他のページとのNavigationやediting contextの管理、各埋め込みコンポーネントとの協調を主な仕事とし、埋め込みコンポーネントごとに入力チェックとエラー表示などを分担させることによって、view(見た目)とcontrol(制御)を融合させることができます。

また、例えば相手の頭文字かコード番号を入力するとそれにマッチする取引先をWOPopupButton上に一覧表示させて、選択した結果を台紙コンポーネントに引き渡すというような埋め込みコンポーネントを作ってしまえば、WOPopupButtonに使用するlistやitemは台紙コンポーネントからは隠ぺいすることができ、単にselectionの対象となるeoだけを設定してやればいいので、台紙コンポーネントがさらにすっきりすることになります。

欠点としては、埋め込みコンポーネントそのものは、どんなに凝ったデザインをしたとしても、台紙コンポーネント上には一つのオブジェクトとして表示されるだけなので、全体としてどのようなものになるかをWOBuilder上で確認することができなくなる、という点が上げられると思います。そのため、デザイン性を重視したページで埋め込みコンポーネントを使うには、最初に全体をスタティックなhtmlで作ってしまって、その後から、各部分を切り取って埋め込みコンポーネントにしていく、という手順で作業を進める必要があります。

□その他
埋め込みコンポーネントと台紙コンポーネントとの間のデータ受け渡しにはAPIで定義したkeyを使いますが、それとは別に埋め込みコンポーネントから台紙コンポーネントのメソッドなどを呼び出したいことがあります。この場合は、parent()を使います。parent()を埋め込みコンポーネントで使うと、その台紙コンポーネントのオブジェクトを得ることができます。もちろん得られるのはWOComponentクラスのインスタンスなので、台紙コンポーネント上に実装したメソッドなどを呼び出すためには、そのクラスへのキャストが必要になります。

ところが、3つの台紙A, B, Cの上で埋め込みコンポーネントを使っていて、それぞれにあるactionNextPage()を呼び出したい場合には、そのままでは埋め込みコンポーネントの側でA, B, Cごとにキャストを用意して呼び出してやらなければなりません。これはちょっと美しくないですよね。こういう場合のテクニックとしては、A, B, Cに共通したスーパークラスX(仮名)を用意します。つまり、WOComponentからXを派生し、XからそれぞれA, B, Cを派生します。こうすれば、parent()から帰ってくるWOComponentに(X)でキャストをかけてやることにより、無事共通のメソッドを呼び出すことができるようになります。このように、WOComponentと実装クラスの間に一つクラスを挟むことで、さらにソースの見通しがよくなり、保守性/生産性が高くなります。

どうぞお試し下さいませ。
[倉橋浩一/テクニカル・ピット]

関連リンク:WebObjectsのページ
カテゴリ:WebObjects, 倉橋浩一のWebObjects Practice


Mac OS XネイティブのMicrosoft Office v.X日本語版は2002年1月に発売

マイクロソフトは、Mac OS Xでのネイティブ稼働に対応したOffice v.Xの日本語版を、2002年1月に発売すると発表した。具体的な日付や価格については未定となっている。また、2月には、ExcelとWordの単体製品を発売する。パッケージだけでなくライセンスの販売も行う。これに先立ち、2001年11月2日以降に現状の製品であるOffice 2001を購入したユーザは、\2,000でOffice v.Xにアップグレードできる「Office v. X パスポート キャンペーン」を行う。
Office v.Xは、Mac OS XのCarbonに対応したネイティブアプリケーション群で、ワープロソフトのWord X for Mac、表計算ソフトのExcel for Mac、プレゼンテーションソフトのPowerPoint X for Mac、電子メールおよび個人情報管理のEntourage X for Mac、さらにはインスタントメッセンジャーのMSN(R) Messenger 2.1 for Macから構成される。Messenger以外はOffice 2001にもあったアプリケーションである。Entourage Xは郵便番号からの地名入力や、MapFanとの連動といった新機能がある。MessengaerについてはMacintosh版は従来からあるものの、日本語版はなかったので、初めてMacプラットフォ?ム向けに日本語版が登場することになる。ただ、現在もMSN Messengerはフリーで配付されているので、Mac OS X版もフリーで入手できる可能性は十分にあるだろう。

関連リンク:マックトピア
カテゴリ:文書作成アプリケーション, 各種プロダクツ


アプリケーションに「ウィンドウ」メニューを自動的に追加する方法

「ウィンドウ」メニューを自動的に構築する方法について、Technical Q&Aに紹介されている。1つは、CreateStandardWindowMenuというAPIを使うことで、「ウィンドウ」メニューを構築でき、それをメニューバーに追加すれば良い。別の方法として、メニュー項目を加えておき、
SetMenuItemCommandIDでメニューをアクティブにする方法も紹介されている。いずれも、Carbonフレームワークでの機能となっている。

関連リンク:QA1080: Adding an automated Window menu to your application
カテゴリ:Technical Q&A, ユーザインタフェース


Dialog ManagerのSetDialogItemTextをCarbonで利用する場合の引数

Dialog ManagerのSetDialogItemTextが、Carbonアプリケーションで正しい動作をしない点についてのTechnical Q&Aが掲載された。SetDialogItemTextには、GetDialogItemAsControlによって返されたControlRef型の値を引き渡す必要があり、GetDialogItemで返された値を与えるのでないということである。

関連リンク:QA1082: The intermittent behavior of SetDialogItemText
カテゴリ:Technical Q&A, ユーザインタフェース


KBase》AppleWorksで表計算フレームを埋め込んだワープロ文書でのスペルチェック

Mac OS X対応のAppleWorks 6.2と、Mac OS 9対応のAppleWorks 6.1.2において、表計算のフレームを埋め込んだワープロの文書でスペルチェックをすると、応答しなくなったり終了してしまうという現象があることについて、Knowledge Baseに紹介された。スペルチェックを行う場合、埋め込んだ表計算フレームをクリックするなどしてアクティブにしておけば、スペルチェックは行われるという対処方法が紹介されている。

関連リンク:AppleWorks 6: Stops Responding or Quits When Checking Spelling
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), 文書作成アプリケーション


KBase》新しいiBookやPowerBook G4ではMac OS Xの音声認識は動作しない

2001年5月以降に発売されたiBookのDual USBとLate 2001モデル、および、2001年10月に発売されたPowerBook G4のGigabit Ethernetモデルでは、音声認識の機能がMac OS X 10.1では動作しないことが、Knowledge Baseの文書で公開された。USBマイクを使うか、Mac OS 9では音声認識が利用できるということであるが、その他の解決策については調査中であるとしている。

関連リンク:Mac OS X: No Speech Recognition
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), Power Mac, iBook


アダプテックのSCSIカードのMac OS X 10.1対応ドライバが公開

アダプテックは、同社のSCSIカードのMac OS X 10.1対応版のドライバを公開した。Mac OS XおよびMac OS X Server 10.1で利用できる。ドライバが公開されたSCSIカードは次の通り。「PowerDomain 29160」「PowerDomain 29160N」「PowerDomain 39160」「PowerDomain 2930U」「SCSI Connect 2906」

関連リンク:Mac OS X サポート情報
カテゴリ:周辺機器