Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年12月9日発行号 - MOSAのミーティングが開催(続き)



2通目です。よろしくです。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


【MacWIRE配信予定】MSM2001》懇親パーティとコンテストの受賞者発表

2001年12月8日の夜、MOSA Software Meeting 2001の会場は、湘南国際村センターに移った。到着後、立食形式での夕食、そしてコンテストの発表、プレゼントの抽選会が行なわれた。
プログラムコンテストは、「MOSA Contest‘FIRE!’2001―Free Software & Idea Revolution」として、シェアウェアないしはフリーソフトとしてリリースされているソフトウエアの部門と、ソフトウエアのアイデアの部門を設けて、コンテストが開催されている。応募は10月1日に閉め切られたが、その後に審査を経て、MSMでの発表となった。結果は以下の通りだ。(お名前等は敬称略とさせていただく。)

◇製品アイデア部門
最優秀賞:書道(毛筆およびペン習字練習ソフト)/村山信浩
優秀賞:らくらくオートインストール/松本昭一
    いきなりテキスト/曽我悟
    レイヤー機能付きワープロソフト/佐藤正和
    オリジナルパッケージメーカー「正楽くん」/鈴木和雄
佳作:つけ足しディスプレイ/佐藤正和
   Air Tunes/松尾嘉英
   老年者対象 Eシステム/砂糖暢治

◇シェアウェア/フリーウェア部門
最優秀賞:VisualMonster/宗藤理子&T23
優秀賞:ClockTime(クロックタイム4.9)/棚田真純
    mc(matrix calculator)Ver.2.3.6/西村弘美
    NewNOTEPAD Pro/久浦広樹
    MoovStar/杉本達應
    TopicMonitor/三輪英二
    一人で百人一首/武石嗣一
佳作:UDPDebugStr/山中秀一
   PowerTrash/半田義信
   PicCop/尾藤賢治(B.S.W)
   おひらきくん/金本憲二

製品アイデア賞の最優秀賞である「書道」は、ペンタブレットを買ったときに、こうしたソフトがあればいいのではと思い付いたそうだ。ペンタブレットで文字の練習ができるが、その文字の上手下手を判断して、良ければ二重丸がかかれるといったインタフェースを想定したものである。タブレットの応用例として実用的になるのではないかといった意見も聞かれた。
シェアウェア/フリーウェア部門のVisualMonsterは、ネットワーク対戦型のカードゲームであり、美しいグラフィックスが見られる。また、公開後にかなりのダウンロード数があり、早くからコミュニティが形成されて数多くのユーザがネットワークで日夜カードゲームを楽しむといった実績を買われての受賞になった。
なお、最優秀賞の目玉となる商品は、iBookであった。来年も同様なコンテストを開催して、Macintoshの開発の世界を盛り上げたいとの話もあった。

カテゴリ:イベント


【MacWIRE配信予定】MSM2001》キーノート「デジタルハブの希望とiPodの野望」

2001年12月8日、MOSA Software Meeting 2001も夜のプログラムに入り、大谷和利氏によるキーノート「デジタルハブの希望とiPodの野望」が開催された。プレゼンテーションのためのOHPが段ボールで囲われ期待を高まらせる中、プログラムコンテストの話題にからめて、昔のImageWriterではインクリボンをなしにして印刷すると、ミシン目を紙に作れるほどだったという話を紹介した(コンテストの受賞アイデアでミシン目をプリンタで作るというのにからめた話題だ)。未来はMac OS Xにあるのだが、今年がMac OS 9の最後の年になるのではないかと考え、Mac OS 9へのレクイエムということで、HyperCardを使ってのプレゼンテーションを行うと紹介し、拍手喝采を浴びた。実際にHyperCardの画面をiPod風に作り、プレゼンテーションに利用した。
まずは、Appleの製品戦略の変遷の説明から行われた。黎明期には、ハードとソフトの統合化が図られたプラットフォームであったが、GUIということについてはユーザもデベロッパも分からない時代であった。サードパーティの手本となるコンセプトやアイデアをAppleが示していた時代でもあった。続いての低迷期では、技術のインフラを整備した時期でもあり、QuickTimeなどが登場した。その時期はアプリケーションの開発をサードパーティからの圧力もあってAppleからは行わなかった。Apple純正の技術しか受け入れられない状況でもあり、技術的には進んだけども孤立化も進み、アプリケーションにとっては受難の時代でもあった。復活期としてiMovie、iTunesなどのアプリケーション(iアプリケーション)をJobsの復活とともに開発してきたが、外部の技術を導入して新たなユーザエクスペリエンスを構築してきた。これからの再飛躍期では、iPodなどのiデバイスが登場し、すべての技術を統合化することでの新たなパーソナルコンピュータ環境を模索することになる。
従来型の個人で利用するアプリケーションは、ローカルなネットワークに対応したグループウエア的なものに進化してきた。そして、Webをはじめとしてグローバル化した場合にビジネスやクリエイティブ向けにネットワーク対応し、さらにデバイスへの対応ということへの道筋を進んで行く。いったんは外に向かってグローバル化したものの、それが個人向けに集約される。たとえば、Kasis Publisherを使うことで本を書くと、そのままiPodでシンクロして読めるといった個人への集約と、サーバにあるものを製本するといったグローバル化といった方向になるのではないかと予測した。
電子メールやWeb主体の利用といったユーザが増え、結果的にアプリケーションの伸び悩みが発生した。その原因として、Appleによって用意されたものですべてまかなえるようになってしまっている点を挙げた。そこで、デジタルデバイスの連係と、インターネット対応で、アプリケーションソフトの復権が行われるのではないかと、デジタルハブへの希望を説明した。そこで、ユーザインタフェースの進化が重要になる。
Character User Interfaceについては、記憶してタイプする、無次元的なものとして、単純だが修得が難しいが開発者負担は少ないとした。Graphical User Interfaceでは、ポイント&クリックで、2次元的なものであり、冗長度は増すものの修得が容易になったとした。ただし、開発者への負担が大きくなった。一方で、Pen-Base GUIもあった。そして、初代のNewton Message Padを実際に動かして見せた。特徴的な機能は、文字は文字として、図形は図形として自動的に認識するといった機能であるが、後に動作は違うものになってしまった。さらに、Palm(Visor)へと進化している。Newtonに似たものとして、電池のいらない(笑)Figというユニークな紙の手帳も紹介した。さらに、紙の手帳のPalmも「対抗製品」として紹介した。さらに、ソニーのPalmTopも実機で紹介したが、冗長度を高め過ぎても使いやすいというわけではないことを紹介した。
さらに、mGUI(Motion GUI)としてアニメーション的な動きのあるGUIが、Aquaとして登場してきている。2.5次元であり、冗長性が増してエンタテインメント性が高まっていると特徴を説明した。従来のGUIは誰でもが見てすごいことが分かるけど、現在はすごいアプリケーションでも一般ユーザは当たり前になっているが、そうしたところの理解を深めるためのエンタテインメイント性の導入であることを解説した。そのままのGUIデザインでは古臭く見えてしまうというのと同じ感覚で考えれば、最近のOSのGUIの流れを新鮮味を持たせる意味ので、動きを持たせるなどのさまざまな要素があるということである。そして、ゲームボーイの動きのあるユーザインタフェースを紹介して、そうしたエンタテインメント性の要素が使う人の興味を掻き立てるという努力を強く感じる製品ということだ。
さらに、iUserInterfaceとして、iPodのようなスクロール&プッシュの形態であり、1次元的にリニアな画面構成となっており、クリック音があることからユニバーサルデザインとなっているという側面もある。読み上げ機能を組み込めば、視覚障害がある場合でも使えるのではないかとも考えられる。
iPodに関しては、PC対応のプレイヤのeDigital Treoのように縦型になったなど、他の製品への影響も見られる。また、Danger HipTopという小型の通信デバイスについても紹介し、キーボードの操作や電子メールなどの画面を見せ、シンプルで有効なデバイスも出てきている。
iPodは性能は初代iMacやNewtonをしのいでいる。応用例としては、現仕様のままでも、オーディオ文庫や英会話教材、電子番組表といった使い方がある。インターネットの番組表についても、論理的にはiPodのユーザインタフェースでの録画予約と行ったことが可能になるのではないかと示した。さらに拡張を行うとすると、リモコン付きイヤホンやFireWireマイクによるボイスレコーダ、FireWireカメラにいよって携帯ビデオ、FireWireビデオインタフェースによりプレゼンテーションツールやムービーのビューアやiTunesのビジュアルエフェクトなどなど、さまざまな使い方もできることが想定できる。
iPod発展の可能性としてはPDA的な要素もあるので、iPodからPIMの項目があって、住所録やスケジューラとメモが利用できるといったことも可能ではないかということで、HyperCardのシミュレーションで見せた。文字入力としては、FireWireキーボードやPOBox予測入力といった手法が使えるのではないかということを示した。
今後の課題としては、PixoのOSについてのAPIを含む情報を公開する必要がある。開発環境の整備もあり、CodeWarrior for iPodやJava対応なども必要となるのかもしれない。最後に、カラーのビデオ画像が再生できる“新型iPod”を披露したが…実は小型の液晶ビデオに枠を貼付けたものだった。

カテゴリ:メディアプレイヤ, ユーザインタフェース, イベント