Office97とOffice98はここが違う

by Masayuki Nii(Locus Co.)


1998年9月4日、待望のMacintosh版Microsoft Office98が発売されました。それまでOffice 4.2というとてつもなく古いバージョンしか利用できず、その間にWindows版は2度も大幅にアップデートされています。しかしながら、やっとMacintosh版もWindows版と同じバージョンのOfficeを使うことができるようになりました。データベースソフトのAccessについてはMacintosh版がないなどの相違点もありますが、基本的にはWindows版、Macintosh版は同一コンポーネントが機能することになります。

基本的に同一であることは確かにそうです。しかしながら、細かく見ていくといろいろと違っている点があります。深く使う人、システム構築に使う人にとってはこうした小さな違いも見逃せないでしょう。そこで、Windows版のOffice97と、Macintosh版のOffice98の違いを紹介するページを作りました。

また、Macintosh版のOfficeで不具合と思われる箇所についても、見つかったものは指摘します。投稿も募集します。msyk@locus.co.jpまでおよせください。名前入りで御紹介させていただきます。また、「間違っているよ」という御指摘も、あるようなら教えて下さい。



全般的なこと


AccessのMacintosh版が存在しない

いろいろな理由はあるのでしょうけど、やはりMacintosh版の最大のマイナスポイントではないでしょうか。

1998年9月6日


Photo Editorがない

Windows版では、Photo Editorという簡易レタッチソフトがありますが、Macintosh版にはありません。ただこれは、いろいろな画像フォーマットに対応するためのOLEアプリケーションという色彩もあるので、Macintosh版にないからと言ってそれほ困ることはありません。レタッチをしたければ、GraphicConverterをはじめ手軽なソフトはいっぱいあります。

1998年9月6日


7桁郵便番号変換機能は?

Windows版だと、「新7桁郵便番号対応パック」があり、たとえばExcelで、住所から郵便番号への一括変換などができます。この機能はOffice98には含まれておらず、現状では配付もされていません。

1998年9月6日


Word98の違い


セクションにわけられた文書の部分印刷ができない 追加

文書を複数のセクションで作ったとします。たとえば、5ページある文書を2つのセクションで作り、それぞれ1ページから始めるとすると、各ページのページ番号は、1-2-3-1-2のようになります。ここで、2つ目のセクションの2ページ分だけを印刷しようとしても、うまくいきません。印刷ページで「1-2」を指定すると、最初のセクションだけを印刷します。では、「4-5」ページを印刷するようにと指定しても何も出てきません。つまり、2つ目のセクションを指定する方法がないというわけです。選択している範囲の印刷などを使うしかないようです。(ただし、このことはWindows版でも同様です。Wordの不具合と言えるでしょう。)

1998年11月7日


既定のフォルダが機能していない

ファイル保存や開くときのダイアログボックスで最初に開くフォルダを「既定のフォルダ」と呼んでいます。Windowsでは、Officeシリーズで統一した既定のフォルダを指定できますが、Macintosh版では個々のアプリケーションごとに指定します。Excelは正しく機能するのですが、Wordでは既定のフォルダが正しく機能していないようです。

1998年9月6日


テンプレートが機能しない

「テンプレート」として文書ファイルを保存します。そのテンプレートをダブルクリックしたり、あるいは「ファイル」メニューから「開く」を選択するなどして、ともかく開きます。しかしながら、テンプレートとしては機能してくれず、入力して保存すると、開いたテンプレートに編集結果が保存されます。また、そのファイルを「別名で保存」によって違うファイル形式にして保存しようとしても、ファイル形式のポップアップメニューが利用できなくなっており、つまりはテンプレート以外の形式では保存できないということになります。これはたいへん不便です。

1998年10月14日


一部のキーボードで\や|と_、テンキーの,が入力できない

Apple純正品では問題ないようです。サードパーティのキーボードの場合、「\」「|」「_」そしてテンキーの「,」が入力できないという状況になります。たまたま、FILCO製のキーボードを使っていたために気がつきました。

1998年9月6日


逆変換ができない

Windows版Word98は、漢字文字列を再変換する機能が売りでしたが、残念ながらMacintosh版ではその機能は使えません。「MS-IMEじゃないから」ということではなく、Mac OS 8のことえりを使っていてもその機能は利用できません。

1998年9月6日


文書校正機能が働いていない

Word98の便利な点として、文書を書きながらその場で校正をし、まずいところはグリーンの波線で即座に表示される校正機能です。また、メニューから校正をすることもできます。しかしながら、Macintosh版ではどちらの校正機能も利用できません。校正用の辞書として英語しかなく、日本語が入っていません。

1998年9月6日


control+spaceで書式削除するには、インプットメソッドをオフに

スタイルを使ったレイアウトをしていると、個々の文字に設定した書式を削除して、もとのスタイルの設定にしたいと思うこともあります。そのとき、control+spaceが書式削除ですが、インプットメソッドを使用する状態だと単にスペースが入力されるだけです。キーボードメニューでは「U.S.」が選択されている状態でこのキー操作をしなければなりません。

1998年9月6日


グラフィックスファイルをドラッグ&ドロップで挿入できない

文書内にグラフィックスを配置するとき、Finder上にあるグラフィックスファイルを、文書にドラッグ&ドロップする方法は、Windows版ではできます。しかしながら、Macintosh版ではできません。
ちゃんと挿入ポイントはドラッグ中にマウスに反応します。また、別のアプリケーションからのPICTデータはドラッグ&ドロップできます。スクラップブックからピクチャを文書内にドラッグ&ドロップできます。つまり、ファイルからだけできないということになります。

1998年9月6日


画像の扱いが不安定?

一概に言えないのかもしれませんが、フルカラーのJPEGファイルを、3枚ほど挿入するとメモリーが少なくなり、動作が不安定になったり、メモリー不足のメッセージが出てしまいます。

1998年9月6日


Excel98とExcel97の違い


日付入力の解釈が違う

日付の入力のとき、年月日をスラッシュやハイフン、ピリオドで区切ることで、日付データとして入力できます。このとき、2桁の年の扱いは2000年問題の1つとも言える重要なことです。この2桁の年の扱いが、Windows版とMacintosh版で異なります。
Macintosh版は区切る記号に関係なく、00〜29は2000年代、30〜99は1900年代と解釈します。
Windows版は、ハイフンで区切ったときにはMacintosh版と同じ動作になりますが、スラッシュで区切ったときには、より多くの区分が生じます。たとえば「1」は平成元年で、1〜20は平成と解釈し、21〜64は昭和、そして65〜99が1900年代、0は2000年となっています。元号の入力ができるとは言え、ちょっとややこしくなっています。

1998年9月6日


テンプレートの編集ができない

テンプレートとしてブックを保存することができますが、「ファイル」メニューの「開く」から開くファイルを指定するダイアログボックスを表示してテンプレートを開いたとき、Windows版ではテンプレートを編集することができ、そのまま保存するとテンプレートとして保存されます。Macintosh版では、そうしたテンプレートの開き方ができず、テンプレートを開くと必ず新規書類と同じ扱いで、自分でファイル名をつけるひつようがあります。テンプレートの内容を変更したいときには不便です。

1998年9月6日


control+8でアウトライン記号の表示非表示切り替えができない

正確には、キーボードメニューが「U.S.」になっていれば、この機能は効きます。controlキーがインプットメソッドの機能にバッティングするために、ことえりを使っているときなどはこのショートカットは使えなくなるのでしょう。これに限らず、いろいろなキーボードショートカットが、インプットメソッドを使っているときには機能しない可能性があります。

1998年9月6日


データマップの機能がない

地図の上にグラフを書くデータマップはMacintosh版にはありません。もっとも、こうしたグラフィックスを作る必要がある人はあまりいないかと思います。Windows版のExcelでも、1-2-3対抗でつけたような機能なのです。

1998年9月6日


テンプレートウィザードがない

データベース機能としてのDAOが存在しない、あるいはODBCがサポートされていないことの影響かとは思いますが、テンプレートウィザードはMacintosh版にはありません。

1998年9月6日


Webクエリーが動かない

Webクエリーもおもしろい機能ですが、サービスが広がる気配はなく、事実上使われていない機能でしょう。Macintosh版にもメニューがありますが、サンプルのクエリー書類はありません。試しにWindows版のクエリー書類を開いてみましたが、エラーになりました。

1998年9月6日


Webフォームがない

WebフォームウィザードはMacintosh版にはありません。なお、Windows版のWebフォームで作ったワークシートは、Macintosh版でも機能します。

1998年9月6日


PowerPoint98とPowerPoint97の違い


スタンドアロンのプレゼンテーションができない
Macintosh版はビューアもまだ完成しておらず、プレゼンテーションではPowerPoint98が必ず必要になります。Windows版のように、「プレゼンテーションパック」を作成する機能もありません。

1998年9月6日


Visual Basic for Applicationの違い


Visual Basic Editorの機能に差がある

Macintosh版のVisual Basic Editorは、Windows版にくらべるとやはり遜色があります。チップヒントによってメソッドなどの書き方を示したり、プロパティなどを一覧から選択できたり、さらには実行中はマウスでポイントした変数の値を出すなど、Windows版は多彩な機能を提供しますが、Macintosh版はみかけこそ変わったものの根本的な機能はExcel Ver.5と大きくは変わりません。「ローカルウィンドウ」もないので、変数の参照にはやはり手間取ります。

1998年9月6日


Format関数で日付を指定すると、英語の月名

WordのVBAで、Format(Now(),"Long Date")のようにして、日付を示す文字列を得たいわけですが、なぜか「1998年 September月12日」のような文字列が得られます。2つ目の引数を「yyyy年m月d日」のようなフォーマット指定文字列にする必要があります。

1998年9月14日


コンボボックスにRowSourceプロパティがない

コンボボックスのコンポーネントにRowSourceプロパティがありません。これはヘルプにも書いてあるのですが、これがないと不便ですね。
RowSourceは、Excelでフォームを作ったときに、コンボボックスの選択肢が入力されているセル範囲を指定できるものです。これがないので、セル範囲に選択肢を入れたとすると、1つ1つをAddItemで追加するようなプログラムを組まないといけません。

1998年9月6日


フォームのオブジェクト名が漢字だとファイルすら開けない

Windows版でフォームの入ったブックがあるとします。そのフォームのオブジェクト名に2バイト文字が含まれていると、そのブックを開くことができなくなってしまいます。モジュール名などは2バイト文字でも大丈夫なようですが、いずれにしても、プログラミング関連の名前に2バイト文字を使わないようにするのが無難な逃げになるでしょう。

1998年9月6日


フォーム内のオブジェクトのオブジェクト名が漢字だとトラぶる

さらに、Windows版でフォーム内のオブジェクトのオブジェクト名に2バイト文字を使っているとしましょう。フォームのオブジェクト名を英語にすると、確かにMacintosh版でも読めるのですが、プロパティなどの変更はできない状態になります。オブジェクト名を変更することもできない場合もあります。

1998年9月6日


1998年10月13日