タイトル | “Fortissimo報道”に見るMac OS戦略の延長線 | カテゴリー | Mac OS 9, Mac OSテクノロジー |
作成日 | 1999/9/22 15:54:51 | 作成者 | 新居雅行 |
1999年9月21日に公表されたMacWIRE Onlineの記事によると、コードネームが「Fortissimo」として、Mac OS 9.5、つまり、Mac OS 9の次期メジャーアップグレードの準備に取りかかったとのことだ。これについてはアップルからの正式な発表はコメントはなく、記事にもあるように情報筋から得られたものとしている。また、Mac OS 9についてもマイナーアップグレードを行う予定もあるとしている。Mac OS 9は、10月にリリースが予定されている次期Mac OSのメジャーアップデート版である。なお、いくつかの噂系Webサイトではこうした情報は今のところ公開されておらず、MacWeek.comのスクープであると言えるだろう。公式な情報ではないが、この情報から読み取れるOS戦略について考えてみた。 Mac OS Xのクライアント版のリリース時期が近付いて来てはいるものの、数年がかりのOSの世代交代の間に、コンピュータあるいは特にMacの市場と言うものが大きく様変わりした。iMacやiBookが高く評価されて受け入れられ、ブラウザとメーラさえ動けばいいようなユーザーが増えて来たのである。こうした層は、Mac OS Xの想定ユーザーとはギャップを感じる。折しも、Thinクライアントの進展と、サーバーへの集中化が進む中でMac OS Xは登場するのである。こうした市場の変化は、以前よりも増してMac OS Xへのシフトに時間がかかり、またより大きな困難が予想される。おそらく、現在のOSロードマップを作成した時に考えていた程、Mac OS Xへの移行は行われないと見て、iマーケットで使われることになる従来系列のMac OSへのてこ入れを続けるという新たなロードマップを作りつつあるのではないだろうか。 一方で、Windowsもアップデートの繰り返しと言うジレンマに近い状態だ。少なくとも、Windows 98系列のコンシューマ向けWindowsは2000年にメジャーアップグレードを行うものの、おそらくはその後毎年OSRなどの形式でアップグレードを行うことになるだろう。こちらの世界もNTカーネルへの移行を表明しながらも現実にはレガシーな部分を引きずるOSをマス市場に向けて出さざるを得ない状況が続いている。WindowsとMac OSという戦いは過去には終わったとされているが、それは背後に隠れたに過ぎない。iMacをとりまく訴訟も根底にあるのは、Windows vs Mac OSという世界観の争いでもある。とにかく、iMac、iBookで、価格的にはWindowsマシンと競り合う関係ができてきた。そうなると、OSとしてのWindowsの動向に対する措置も必要になる。それはすなわち、Mac OSのてこ入れを今後も続けるという方策である。 「Fortissimo」というのは、単にアップルの会議室での思い付きであって、実はプロジェクトが動いていないのかもしれない。そのあたりは、噂報道だけに全面的に正しいかどうかは判断できない。しかしながら、数年前に作ったOSロードマップの右端にそろそろ近付きつつある中、次のロードマップを示さざるを得ない時期でもある。そう考えると、Mac OS Xが目処がつくであろう2000年1月のMacworld ExpoではOSに関わる大きな発表があってもおかしくはないと思われる。 | |
関連リンク | MacWIRE Online:Fortissimoで「クラシック」Mac OSは存続 |