タイトル【Mac OS 9シリーズ】マルチユーザ機能を使う(3)カテゴリーMac OS 9, Mac OS 9
作成日1999/11/9 16:14:33作成者新居雅行
 これも昨日に書けばよかったことかもしれないが、ログオンのパスワード入力ダイアログボックスで、パスワードを間違えてreturnキーを押すとどうなるかも見てみよう。ダイアログボックスがブルブルと横に震える。首を横に振ったようなユーザインタフェースだ。とにかく、凝っている。
 今日は、Mac OS 9の大きな特徴としてクローズアップされた「音声認識パスワード」について説明しよう。マルチユーザでのログオンで、パスワードをキータイプする代わりに、声でパスワードを話すことで認証される。こちらの話すパスワードのことを「パスフレーズ」と呼ぶことにしよう。すなわち、“開けゴマ”と言えばマックが使えるのだ(例えが古い?)。
 この機能を利用するには、マルチユーザ機能を利用できるようにするのはもちろんだが、既定の状態では使えなくなっている。そこで、「マルチユーザ」コントロールパネルを開き、「オプション」ボタンを押して、次の図のように、「ログイン」のタブのページで、「他のパスワード認証も可能にする」にチェックを入れる。右側のポップアップメニューは「音声認証」だけが選択できるのだが、もしかすると、指紋読み取り機やICカードリーダなども、ソフトウエアを組み込めば、この認証として使えるようになるのかもしれない。
figs/macos9/09/file0001.gif

 音声認識によるパスワードは準備が必要だ。理想的な環境を考えれば、たとえば「boys and girls」とテキストを設定しておく。そしてログイン時に「boys and girls」とスピーチすれば認証される…ということになるが、残念ながらそういう認証ではない。Mac OS 9に組み込まれた音声認証は、あらかじめパスフレーズを何度か話してMac OSに覚え込ませておく。そして、ログイン時にはその記録しているフレーズと、実際に話されたフレーズを比較して、本人であると認証するのである。従って、登録の作業をしなければいけない。
 オプションダイアログボックスで設定しておくと、利用者のダイアログボックスで「音声認証」のタブが選択できるようになる。ここで、「声紋の作成」ボタンをクリックする。
figs/macos9/09/file0002.gif

 こここではパスワードの再設定になるので、現在設定されているパスワードをまずは入力する必要がある。ここでパスワードを正しく入力しないと、登録作業はできない。
figs/macos9/09/file0003.gif

 まず最初に次のようなダイアログボックスが出てくる。ここでパスフレーズの文句を決める。「私の声がパスワード」は既定値だが、これは別に何でも良い。実際にパスフレーズをスピーチする時には、登録時もログイン時もこのテキストを見ながらできる。言わば歌詞カードのようなものだ。もちろん、声色によるなりすましをカードするために、テキストのフレーズと、実際に話すフレーズを別々のものにする…という応用わざもなくもないが、基本的にはこのテキストを読み上げることになる。
figs/macos9/09/file0004.gif

 もし、話すフレーズを違う内容にしたいのであれば、「フレーズの変更」ボタンをクリックし、以下のようなダイアログボックスで設定する。応用わざとしては、「高校卒業時の体重」のようなフレーズをテキストとして表示し、話すフレーズは「52kg」のようにするという手もある。
figs/macos9/09/file0005.gif

 声紋の設定で「続ける」ボタンをクリックすると、次の図のようなダイアログボックスが表示される。この図にもあるように、何と同じフレーズを4回も録音しておく。登録作業は必ず4回しないと先に進むことはできない。さぼっては登録されないのである。
figs/macos9/09/file0006.gif

 「最初の録音」ボタンをクリックすると、次の図のように、録音を実際に行うダイアログボックスが表示される。ここで「録音」ボタンをクリックすると、図のように録音中になって、マイクに向かって話したフレーズが声紋として画面に表示される。手順的には、まず「録音」ボタンをクリックし、マイクに向かってフレーズを話し、そして「停止」ボタンをクリックする。もちろん、あらかじめマイクは使える状態にしておかないといけない。
figs/macos9/09/file0007.gif

 そして、OKボタンを押せばいいのだが、録音内容によってはいろいろとエラーが出るようだ。たとえばフレーズを話している途中で「停止」すればそれが警告となり、録音のダイアログボックスは消せない。つまり、ちゃんと録音しないとOKボタンはクリックされない。次の図は、レベルオーバー気味に録音してみたが、ちゃんとエラーを出す。
figs/macos9/09/file0008.gif

 こうして1回の録音が終わると、元のダイアログボックスに戻るが「最初の録音」の項目にチェックが入っている。そして、ボタンは「2回目の録音」に変わっている。同じ録音作業をともかく4回行う。
figs/macos9/09/file0009.gif

 4回行うと、「試してみる」ボタンになる。ここで、「試してみる」をクリックすると、実際に音声認証を行うダイアログボックスが表示されるので、試しにパスフレーズを話してみる。うまく認証されればそれでいいだろう。この段階ではついさき、何回も話した内容だけに、失敗はまずないと思われる。
figs/macos9/09/file0010.gif

 実際のログオンのとき、まずはユーザを選択する。その選択したユーザが音声認証を利用するようになっているのなら、いきなりダイアログボックスが表示されるので、パスフレーズを話す。録音の時と同じように声紋がきれいなカラーグラフィックスで見えている。
figs/macos9/09/file0012.gif

 音声認証が正しく行われれない場合には、次の図のように警告ダイアログボックスが表示される。3回まで再度行える。周囲にノイズがあるような場合には、なかなか認証してくれないので、掃除機やテレビなどは消して、静かな環境でフレーズを話すのが良いだろう。
figs/macos9/09/file0011.gif

 3回のパスフレーズのスピーチで認証ができない場合には、キータイプによるパスワードの入力を行うことになる。つまり、音声認証がうまくなされないでも、キータイプと言う確実な方法は残っている。逆に言えば、設定したパスワードはやっぱり忘れないでおく方がいいということだ。
figs/macos9/09/file0013.gif

 音声認証の機能は何に使えるだろうか? 利用者を確実に特定するセキュリティの高い認証というイメージはあまり感じられない。それよりも、ログオンという難しそうな作業を楽しくクリアするような機能ではないかと思われる。たとえば、幼稚園くらいまでの子供だと、アルファベットのキーボードをたたくのも大変かもしれない。つまり、パスワード入力が困難とも言えるだろう。だったら、音声認識パスワードを利用すれば、自分の名前を選択して、後はパスフレーズを話すだけで、自分の環境に入れる。こうした用途がまずは思い付くところだ。認証時には静かな環境でないとうまくいかないことを考えれば、オフィスや学校では使いにくい手法だと言える。つまり、家庭での利用が中心になるだろう。
 いずれにしても、実用度が非常に高い機能というよりは、「ここまでOSでできるんだ」ということを示すための機能であるという色彩が強いかもしれない。
関連リンク