タイトル【Mac OS 9シリーズ】デザインや出版にもMac OS 9カテゴリーMac OS 9, Mac OS 9
作成日1999/12/14 13:38:24作成者新居雅行
Macintoshがデザインや出版の世界で高い支持を得ていることはよく知られている。デジタルビデオやCGなどの分野では最新のハードとシステムをふんだんに利用できる。一方、DTPの世界ではフォント環境の問題や、アプリケーションの問題などがあって、未だに「安定環境はMac OS 8.1」と言われるほどだ。そのため、最新のG3やG4などの高速機が使えない状態にもなっている。しかしながら、きちんと環境を整えれば、Mac OS 9もDTPに十分に使えるOSであることを、アップルが主催した製品説明会で披露された。DTPの分野では著作物や雑誌などでも活躍をしている菊池美範氏をゲストスピーカに迎え、アップルの担当者とともにMac OS 9をDTP分野でも十分に使えることをアピールした。なお、トークセッションはMDOnlineの筆者である新居雅行が司会を務めた。そのときのプレゼンテーションやトークセッションの要約を今回はお届けしよう。

古いシステムを使わざるを得ない1つの大きな要員は、まずフォントにある。旧来のOCFフォントと呼ばれるメカニズムから、Mac OS 8.5以降はCIDフォントに以降し、Mac OS 9である意味では完成した機能を提供している。Mac OS 9では従来のフォントではなく、CIDフォントを使う必要があり、フォントメーカはすでに供給を行っている。また、Adobe ATMなどのフォント関連ユーティリティもMac OS 9への対応版が出ている。その意味では、フォント環境は概ねMac OS 9でも問題なくそろうようになっていると言える。フォントの細かいバージョンを違わないようにしたり、CIDとOCFの混在を避けるようにするといった配慮は必要なものの、すでに現状ではCIDフォントで環境は作れるようになったと言える。「フォント」フォルダのスーツケース数が1024に増え、フォントファミリ数については、1スクリプトに対して512に拡張されるなど、Mac OS 9ではシステムでより高い機能を持っている。縦書きのグリフの問題として、丸漢フォントの働きによって以前のシステムではグリフがないものでもあたかも見えていたということがあった。それが、Mac OS 8.5ではある意味で素直に動作するようになったため、縦書きのグリフが見えなくなるということになったが、Mac OS 9では以前のシステムの動作も取り込み、縦書きグリフが見えなくなる問題にも対処してある。

ページデザインの分野でもっとも良く使われているページレイアウトソフトのQuarkXPressについても、旧バージョンのVer.3.3はMac OS 9での動作には問題がある。しかしながら、Ver.4についてはMac OS 9では一切問題なく利用できる。プロテクトのドンクルのUSBアダプタは無償で入手できるので、利用するハードウエア的には問題はない。アドビ製品についてもMac OS 8.1以降の互換性を確保しているとアナウンスされているため、主要なアプリケーションについても、Mac OS 9での利用は問題がないと言える。

このように、OS、フォント環境、アプリケーション環境をまとめて移行できるのであれば、現在でもMac OS 9は十分にDTPで利用できる状態にあると言える。ただし、中途半端な移行ではいろいろ問題が出る恐れがある。菊池氏によると、たとえば仕事の変わり目などで環境をごっそり移行するようなことをすれば問題ないのではないかということだ。あるいは年末と正月の休みを利用して環境を移行するのも1つの手だ。もちろん、環境の移行には手間はかかるが、Mac OS 9にすることによる効率化を考えれば、それくらいの手間分はすぐに元がとれると菊地氏は話していた。
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