タイトルMac OS Xは新しいユーザインタフェースを搭載して夏に出荷カテゴリーMac OS X, Mac OSテクノロジー
作成日2000/1/6 5:37:7作成者新居雅行
サンフランシスコで開催されたMacworld Expoの基調講演で、Mac OS Xの内容がかなり明らかにされた。特に「AQUA」と名付けられた新しいユーザインタフェースと、それを効果的に取り込んだ新しいFinderが実際にデモンストレーションされ、Mac OS 9から大きく進化したOSであることを印象づけた。その進化もこれまでは、マルチタスクや保護メモリと言った技術的なポイントに主眼が置かれていたが、今回のプレゼンテーションではユーザの使用感からアピールした点に注目できる。そして、さまざまな新しいテクノロジーを駆使することでユーザインタフェースをより進歩させた点で大きく評価できる。1月末にはデベロッパーにプレビュー版が配付され、春にベータ版、夏に出荷され、2001年1月の段階でApple製品のOSはMac OS Xにすべて置き換わるというスケジュールを提示した。いずれにしても、2000年中にMac OS Xが出荷されることが明言されたと言って良いだろう。対応機種はG3およびG4を搭載したMacintoshとなっている。以下、基調講演の内容のストリーミング放送から、Mac OS Xの使用感をレポートしてみたい。また、米国Appleのサイトではさっそく画面ショットなどが公開されはじめているので、記事の最後のリンクにあるページもぜひとも御覧いただきたい。
新しいユーザインタフェースのAQUAは、オブジェクトの角が丸く透明感のある感じで、iMacのデザインの基調であるトランスルーセントな雰囲気のコントロール類が利用できる。ウインドウタイトルはシンプルなバーに、赤、黄、緑のボタンがついていて、それぞれクローズ、最小化、最大化のボタンとなっている。アクティブでないウインドウではこれらのボタンがグレーになる。ウインドウをドラッグして移動する時には、ウインドウの輪郭がマウスに連動するのではなく、中の表示内容もいっしょに動く。ウインドウの管理では、タイトル部分からパネルがせり出すような雰囲気で行える。これは従来はあまり見ない独特のユーザインタフェースと言えるだろう。また、メニューをプルダウンした状態でウインドウの作業など他の処理もでき、現在のMac OSのようなメニュー選択時にはメニュー処理しかできなくなるというわけではない。
新しいFinderのウインドウは、ある意味ではブラウザ的だ。ウインドウ上部にボタンが並び、簡単にいろいろなウインドウを呼び出すなどができる。また、ツリー状にファイル構成をブラウズ表示するなど、初心者から熟練者まで、スキルに応じた使い方ができる点をアピールしていた。また、ファイル一覧ウインドウ内でファイルの内容がプレビューできる。ムービーならその場で動画を表示することができる。
さらに開いているウインドウなどを画面の下部にアイコンとして表示するDockという機能も紹介された。ウインドウが最小化して下部のアイコン群に加わるときや、あるいはもとのサイズに戻すときには独特のアニメーションが実行される。また、アイコンのサイズを連続的に変化させるとともに、フォーカスしたアイコンだけが拡大されるなど、高度な画像処理を組み込んだユーザインタフェースを実現しているのが目を引くところだ。
Mac OS Xのアーキテクチャについても、従来のデベロッパ向けの構成ではなく、よりエンドユーザ向けに整理されたものが示された。まず、コアになるのはオープンソースとして展開しているDarwinである。ここで、マルチタスクや保護メモリなどのOS基本機能を実現する。そして、グラフィックスエンジンとして、PDFベースで2D処理を行うQuartz、業界標準の3D処理を行うOpenGL、そしてQuickTimeの3つのコンポーネントで構成される。さらにAPIレベルとして、既存のソフトウエアを動かすためのClassic、Mac OS 9との互換性の高いCarbon、そしてMac OS Xの機能を最も引き出すCocoaの3つの体系が組み込まれている。その上位にユーザインタフェース層のAQUAが来るというものだ。
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  ┃         AQUA          ┃
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  ┃Classic ┃Carbon ┃Cocoa ┃
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  ┃Quartz OpenGL QuickTime┃
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  ┃        Darwin         ┃
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Classicベースで稼動するアプリケーションとして、Excel98が実際に動作された。Mac OS X Serverのように別環境のMac OSが起動するのではなく、Mac OS XのFinderからExcel98が起動しているように実演では見えた。また、CarbonアプリケーションとしてはInternet Explorerが紹介された。電子メールソフトはCocoaのアプリケーションとして紹介されたが、メールをフォルダに移動するところで、ウインドウの左右にパネルがせり出すようなユーザインタフェースが印象的であった。また、マイクロソフト、アドビシステムズ、マクロメディア、クォークなどのデベロッパが壇上に登場し、各社がMac OS X向けの開発を行っている点をアピールしていた。
基調講演の前半は、アップル製品についての実績に始まり、新しいインターネット戦略を説明するといった内容だった。Internet Explorer 5についての話題にも及んだ。後半のほとんどはMac OS Xについてのデモンストレーションが行われた。最後に、スティーブジョブズ氏が、暫定CEOから正式な「CEO」になったことが表明され、スタンディングで喝采を浴びていた。ただ、名称としては「iCEO」を使うようだ。いくらか噂のあった新しいハードウエアについては、基調講演では何も触れられなかった。
関連リンクIntroducing Mac OS X