タイトルAppleScriptのセミナーでスクリプトのビデオ編集への利用を披露カテゴリーQuickTime, AppleScript, イベント
作成日2000/2/24 14:10:32作成者新居雅行
2000年2月23日に、前日に続いて、AppleのAppleScrptプロダクトマネージャSal Soghoian氏によるセミナーが行われた。先頃配付が始まったQuickTime 4.1は、QuickTime Playerが大幅にAppleScript対応するなど、ビデオ編集分野でのAppleScript利用が今後のトレンドとして浮上する気配がある。ビデオプロダクションでも、AppleScriptを利用することで、生産性を高めてコスト軽減を図ることが可能なため、業界に向けての現実解として提示できるものである。
セミナーはデモを中心に行われた。QuickTime Playerを利用して、コピーライトやムービー情報のテキストを、ムービーに自動的に入れるドロップレットが紹介された。たくさんのムービーに対して一括でこうしたテキスト情報を入れることができる。また、テキスト情報から、ロールするタイトルバックのテキストトラックを作成するデモも行われた。これらは、AppleScriptによってQuickTime Playerをコントロールして行われたことだ。QuickTime Playerを使ったサンプルプログラムは現在48個も取り揃えられており、日本市場向けにローカライズも進んでいるという。さらに、ムービのエクスポートや、一括でMP3ファイルをムービに変換するなどのデモも行われた。
特に、ムービーを利用したインタラクティブなアプリケーションは興味深いデモだった。Sal氏が話すムービーが登場し、その問いかけに対する答えをダイアログボックスのボタンで応答する。すると、ボタンに応じてその後に表示されるムービーを別々のものにすることができるというものだ。これが、ムービーとAppleScriptのプログラムだけで作られていた。
AppleScript対応のムービー作成ソフトが3つ紹介された。1つは日本のソフトハウスであるソノランブルーによるMovieScriptで、QuickTime Playerよりもより多くの機能がAppleScriptでコントロールできるというものだ。また、Totally Hip SoftwareのLiveStageProは、スプライトベースのアニメーション機能を持ったムービー作成ツールで、インタラクティブなものも作成できる。ここでのムービー作成でもAppleScriptを利用でき、手作業でのたくさんのステップが一気に実行されてムービーの作成ができることが示された。さらに、Media 100、Media Cleaner Pro、Cumulusを連動させたデモも行われた。Cumulusにデータベース化されたムービからキーワード検索を行い、それらをMedia 100で1本のムービーに編集する。とのとき、ムービーの継ぎ目には自動的にトランジションを入れる。さらに作成したムービーをMedia Cleaner Proで圧縮をかけるというものだ。一連の作業が完全にAppleScriptで自動化されている。
AppleEvent Over IP(インターネット経由でAppleScript制御する機能)のデモも行われた。別のMacintoshにムービーを転送して、転送先でムービーを再生するというものだ。転送先でファイル共有をオンにしてムービーを転送し、さらにQuickTime Playerをコントロールして再生を行う。インターネットを経由して他のMacintoshをコントロールすることで、たとえば特定のキオスク端末に、指定したストリーミングを表示させるなど、応用範囲は広いと説明されていた。また、IP経由のAppleEventのやりとりでは暗号化などの手法を用いていて、安全にデータのやり取りができることも説明された。
また、Mac OS XでもAppleScriptに対応することが示され、配付されたばかりのDeveloper Preview 3を使ったデモが行われた。文法的には、Mac OS 9と全く変わらないため、これまでのスクリプト資産は継承できる。Mac OS Xでは、マウス、サウンド、モニタあるいはネットワークの設定は「Preferences」というアプリケーションで行うことも示されたが、その処理もAppleScript対応が可能になっている。
DTPでかなりの利用が行われているAppleScriptだが、次の普及のターゲットはビデオ編集であり、その分野でもAppleScriptの利用環境は整ってきていることを印象づけたセミナーだと言えるだろう。また、AppleEvent over IPについても、何に使ったらいいのか分からないという意見も多かったものの、具体的な事例が示されたことで、今後の利用に大いに参考になるものであった。
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