WebObjects 4.5の発表が発表されたことを受けて、2000年3月15日にアップルが主催して、セミナー「WebObjects最新情報セミナー」が開催された。無償のセミナーとは言え、やや広い目のホールが相当埋まっており、300〜400人ほどは来場していたと思われ、かなりの注目を集めていると言えるだろう。半分ほどは、WebObjects利用者のようだ。 まず、全体的な話として、アプリケーションサーバの市場を分析し、CGIなどでのソリューションはすでに時代遅れであり、生産性を高いWebサーバ構築のために利用されはじめていることを指摘していた。アプリケーションサーバのマーケットを4つに分類し、それぞれ、小規模型(ColdFusionなど)、基本コンポーネント型(WebSphereなど)、機能拡張型(ASP、OASなど)、そしてWebObjectsを全機能包括型とし、1つのシステムで必要なものを全部含まれて、小規模から大規模サイトで対応できるWebObjectsをアピールした。WebObjectsの利点としては、パフォーマンスやコンポーネント化を挙げ、デザイナと開発者で分担できることなどを紹介した。 WebObjectsでの開発ツールとしては、4つのツールを提供している。基本的なプロジェクト管理を行うProjectBuilder、ユーザインタフェースを開発するWebObjectsBuilder、Javaアプレットなどを開発するInterfaceBuilder、データベース情報を管理するEOModelerが主なものである。3月末に出荷開始が予定されているWebObjects 4.5では、XMLやLDAPなどオープンスタンダードのサポートと、開発運用ツールの拡張を行った。また、WebObjects自身がさまざまな情報をXMLで書きだすようになっている。開発ツールについてはユーザインタフェースを改良し、SwingやDirect to JavaなどJavaクライアントの機能を強化した。運用環境では、セットアップをよりやすくし、パフォーマンスを高め、信頼性を高くしている。なお、Windows 2000については現在検証中で、対応状況は改めて報告するとのことだ。今後はEnterprise JavaBeansサポート、さらなるパフォーマンス向上、プラットフォームの拡大、日本語版を検討している。 日本では日産自動車のような導入事例が出されるため、WebObjectsは巨大サイト向けとみられがちである。しかしながら、エンタープライズ向けだけでなく、中小のサイト向けにも売り込みを強化させ、小さなところから使い始めて拡張していっていくという使い方を提案していく考えだ。 デモとしてデータベースにアクセスして、Webブラウザに表示するというものを示した。プロジェクトを作成し、DirectToWebの機能を利用して、OpenBaseLiteを使用し、テーブルにある映画の情報をクエリするところをやってみせた。
WebObjectsの導入事例の紹介も行われた。フレームワークスソフトウエアの桝室裕史氏より、WebObjects上で動作するパッケージアプリケーションの紹介が行われた。同社は日産自動車のサイト開発を行ってきたメンバがもとになって昨年に設立された。その成果から汎用パッケージ化を行い、さらにはカスタマイズやインテグレーションのサービスを展開している。パッケージの1つは、Webサイト構築運用ツールの「WebRelease」だ。これはHTMLのテンプレートをもとにブラウザで情報を入力することでページ作成し、アップロードする。デモでは商品カタログページを追加することが行われた。また、電子メールでの問い合わせをデータベース化し、複数の担当者によって対応処理をすることができる「MailCenter」についても紹介された。 サイバーラボの加藤康之氏より、WebObjectsをベースにした開発環境が紹介された。ユーザ開放型として、ユーザ自身が日曜大工的にソフトウエアコンポーネントをニーズにあわせて組みたてるような環境をMac OS X Serverなどで提供している。マウスの操作だけでアプリケーションが構築できるフレームワーク「CyberFramework」だ。部品を組み立てることから説明を行ったオブジェクト思考の考え方が印象的なプレゼンテーションであった。電子カルテの例として、クリティカルパスやデータの管理をドラッグ&ドロップだけで作れることを説明した。デモではカルテに含まれる臓器の情報から3Dレンダリング情報をデータベースから取り出して画面表示するようなアプリケーションを、ドラッグ&ドロップだけで作って行った。また、データの集計を行うようなアプリケーションも、データベース内のデータをオブジェクトとして定義し、即座にExcelでグラフを書かせるといったデモや、部品アイコンを線で結ぶことでアプリケーションをコントロールするといったことも行われた。さらにはWebサイトをさまざまに作ったアプリケーションを統合するデモも行われた。アイコンを結んで行くだけでどんどんとアプリケーションが作られる様子が強く印象に残ったデモであった。 |