Inside Mac OS X: System Overviewのp.20にある「Multiple Users」では、Mac OS Xでのマルチユーザ環境についての解説がある。そこでは、NetInfoを用いたネットワークアカウントの管理を行うということが明記されている。 マルチユーザの1つの側面は、1台のマシンを複数のユーザで利用し、それぞれのユーザのフォルダや初期設定を別々に管理できるという点だ。Mac OS 9にも組み込まれているが、一般には家庭内のような利用や、管理の手間をかけられなかったような組織での利用が中心だと考えられる。企業や学校などの組織で求められるマルチユーザ機能はやや様相が違うだろう。それは、ネットワークサーバでユーザ管理が一元化されていて、どのマシンからも同一のアカウントでログインができるという「ネットワークアカウント」だ。初期設定やあるいは文書フォルダなどをネットワーク上で管理しておき、どのパソコンからログインしても、同じデスクトップ環境が再現するというものだ。この意味でのマルチユーザを、NetInfoを利用して実現することがInside Mac OS Xに書かれている。なお、Windows NTでのドメイン、あるいはWindows 2000でのActive Directoryではすでに実現しており、「移動プロファイル」などの名称で、こうしたどのマシンからログオンしても同じデスクトップが再現される機能が利用できる。 NetInfoは、NeXT時代からあるネットワークディレクトリシステムで、情報を階層的に管理できる柔軟性などで注目されている。Mac OS X ServerではNetInfoのクライアントになる機能があり、メールアドレス管理やアカウント管理などでもNetInfoが使われている。強力な機能ながら使いこなしにノウハウがいることも指摘されているが、ディレクトリシステムの使いこなしについてはNetInfoに限らず他のシステムでも同様に困難さはつきまとう。 ネットワークアカウントをNetInfoで実現するには、NetInfoのサーバを何らかの形でたてないといけない。どういう形でサーバを提供するのか、あるいは管理ツールはどうなるのかなど興味はつきないが、Mac OS Xのネットワーク環境はNetInfoが1つの軸になることは間違いなさそうだ。