タイトル【小池邦人のプログラミング日記】2000/6/8<Mac OS Xへの道 Coorbon SDK その1>カテゴリーCarbon/CF, 小池邦人のプログラミング日記
作成日2000/6/9 16:2:8作成者小池邦人
Mac OS Xの最終版が出ていない現状では、Mac OS 9環境で問題なく動くCarbonアプリケーションを開発しておくのが近道です。Mac OS 9で最初にインストールされていたCarbonLibは、バージョン1.00でした。このバージョンにはバグも多く、サポートAPIも不完全ですので、使用するのは止めておきましょう。続いてv1.0.2が登場しました。これはv1.00のバグをフィックスし、TMS(Text Services Manager)やIC(InternetConfig)等をサポートするAPIが追加されています。それに加えて、Mac OS 8.1でもCarbonアプリケーションを起動させることができるようになりました。

CarbonLibの最新バージョン(6/8現在)は1.0.4です。これは、v1.0.2からのバグフィックス版で、最近発売されたAppleWorks 6.0が安定して動くようにチューニングされています。よって今のところ、「Metrowerks CodeWarrior」でCarbonアプリケーションを開発するには、「Carbon 1.0.4 SDK」を用いるのが最善です。フィックスされたCarbon SDK最新版は、Appleの以下のサイトからいつでも入手できます。
◇Software Development Kit
 http://developer.apple.com/sdk/

ただし、フィックスされていない(開発途中)バージョンとしては、「Carbon 1.1d9 SDK」があり、ADCのメンバーサイト(ADC会員のみアクセス可能)からのみ入手できます。こちらは刻々と改良されていますので、みなさんがこの原稿を読む頃には、新しいバージョンに切り替わっているかもしれません。d版と言うのは、デベロッパーバージョンの略で、この後にα版、β版が続き(たまに2階級特進する場合あり)、最終的にGM(ゴールデンマスター)となります。よって、Carbon 1.1d9 SDKの「内容物」はまだまだ荒削りであり、使用するにはそれなりのリスクを伴いますので注意してください。このCarbonLib 1.1に関しては、後々詳しくお話しする予定です。

では「Carbon 1.0.4 SDK」の中身をのぞいてみましょう。
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「Carbon Documentation」フォルダには、CarbonLibで変更や追加された箇所を解説したドキュメント(PDF)が入っています。ドキュメントは各マネージャごとに分かれていますが、とりあえず一読する必要があるのは「Carbon Porting.pdf」です。このドキュメントには、現状のMacアプリケーションをCarbon化する時の手続きや注意点が詳しくまとめられています。これの内容は何度も改訂されていますが、かなり初期のバージョンなら、以下のサイトから日本語版も入手できます。
◇Developer Documentation(日本語)
 http://developer.apple.com/ja/techpubs/

ただし、できれば最新の英語版を熟読されることをお薦めします。現在、私が確認している最新版は、先ほど述べた「Carbon 1.1d9 SDK」に含まれているドキュメントです。表紙に「4/19/00」のタイムスタンプが打ってあるので、ADCメンバーの方は入手して確認してみてください。

ドキュメントの中には、Appleサイト上にしかない物もあります。Core Foundation関係のドキュメントは、ほとんどがAppleサイト上でが、こうしたドキュメントはHTMLで記載されていますので、プリントアウトには不向きなのです。Appleには、早急にPDF版もアップしてもらいたいものです。また、WWDC 2000で「fatbrain.comサイトからMac OS X関連のドキュメントをPrint-on-Demandで購入できるようになった」という発表がありました。
◇Inside Mac OS X
 http://www1.fatbrain.com/documentation/apple/macosx.asp

これは喜ばしいことです。発表の会場からは拍手が起こりました。現在のところ、目新しいものは「Inside Mac OS X: System Overview」(WWDC 2000のお土産でした)しかありませんが、新しいドキュメントが続々登場することを期待したいと思います。(無理でしょうが日本語版も欲しい)

「Carbon Implementation Libraries」フォルダには機能拡張フォルダに入れておくための最新CarbonLib(デバッグ用もある)が入っています。「Sample Code」フォルダには、いくつかのCarbonアプリケーションのサンプルが、「NavServices 1.0.1」フォルダには、CarbonLibをMacOS 8.1で用いる時に必要なNavigationライブラリが入っています。ユーザに配布されている最近の「CarbonLib インストーラ」では、Navigation 1.0.1は自動的にインストールされるようです(Mac OS 8.1の場合)。アプリ開発に必要なファイルのほとんどは「Carbon Support」フォルダに入っています。Metrowerks Cを使ってCarbonアプリケーションを作成する場合には、このうちの「CarbonLib」ファイルと「Universal Interfaces」(C言語用ヘッダーファイル)が必要となります。

次回もSDKの話の続きです。Carbon用のPrefix File(MacHeadersファイル)の作り方や、Carbon用リソース話などもする予定です。
関連リンクオッティモ