タイトル | 米国の日本向け暗号輸出規制が撤廃、暗号化製品がより利用しやすく | カテゴリー | ライブラリ, 暗合化 |
作成日 | 2000/7/18 23:33:17 | 作成者 | 阪倉 一 |
米国政府は、米国時間2000年7月17日に、EUおよびオーストラリア、チェコ、ノルウェー、ハンガリー、ポーランド、日本、ニュージーランド、スイス向けの暗号の輸出規制を事実上撤廃した。これまで、米国政府は、暗号技術(および実装したソフトウエア、ハードウエア)を武器とみなし、強度の弱いもののみを輸出可能としたり、輸出に許可が必要にするなど、輸出を厳しく規制していた。今回の政策の変更に伴い、前記の国への輸出は、届け出だけで良く、事実上自由化されたと言って良い。これまで米国では自由に使えていた強度の強い暗号ライブラリが日本国内で使えるようになるため、Internet向けの商用システムを構築する際の暗号利用が容易になる。 現在、日本で情報システムで暗号技術を利用する場合、RSAやDESのような業界標準のアルゴリズムを使うことなる。この場合、暗号強度が弱められたものしか使えない場合がほとんどである。Javaにおける標準の暗号環境であるJCE(Java Cryptography Extension)は、最近まで米国、カナダ以外では利用できなかった。最近登場したものも、輸出可能バージョンは別製品になっている。Java用のRSAライブラリであるJ/SAFEも、日本向け製品は暗号強度が限られている。今回の規制撤廃によって、日本で利用可能な商用暗号ライブラリが格段に増えることが期待できる。JCEのフルバージョンが日本で使えるようになる日も近いだろう。 今回の規制撤廃は、アメリカ以外の暗号の輸出規制がない国からの暗号製品の輸出により、米国内の暗号製品ベンダの市場が奪われることを懸念するための措置である。かねてより米国の暗号製品ベンダは暗号規制の撤廃を求めていたが、これでより自由な暗号製品の流通が図られることになる。 [阪倉 一/Java Security Report] | |
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