Mac OS X Public Betaがリリースされ、新しいプラットフォームでの開発環境についての注目もまた集まりつつあるところだろうか。いろいろな開発スタイルが考えられるが、今から1からアプリケーションなどを作るのであれば、互換フレームワークではなくMac OS X本来の機能をふんだんに使えるCocoaでのアプリケーション作成をしたいと考えるだろう。従来はYellow Boxなどと呼ばれていて、開発環境はObjective-Cであった。しかしながら、Mac OS Xの進捗に合わせるようにJavaを言語として開発するスタイルが登場してきた。Objective-Cのメリットもあるが、Javaになじみがあるプログラマの方が多いのは確かだ。しかしながら、じゃあどうやって開発を行うのかといった具体的な話ができなかったのであるが、以下のリンクあるPDFファイル「Developing Cocoa Java Applications」はいろいろな具体的な解説によって、さまざまな疑問はかなり晴れるだろう。この文書はタイトルとおり、Java言語でCocoaアプリケーションを作成しようという場合のチュートリアルである。Mac OS Xの開発環境がなくても図や手順がしっかりあるので、感じはかなりわかると思われる。76ページのPDFで大きく分けて、「Building a Simple Application」「Creating a Custom View Class」「Debugging Java Applications」の3つのパートがある。「Building a Simple Application」ではProject Builderを利用したアプリケーションのプロジェクトの用意やInterface Builderを使ったユーザインタフェース部分の作成、コントローラの定義や利用、そしてアプリケーションビルドといった一連の作業が紹介される。「Creating a Custom View Class」ではViewを拡張して機能を組み込むといったフレームワークでの代表的な作例が示される。「Debugging Java Applications」ではProject Builderを使ったデバッグの方法が示される。いずれも、Java言語を使ってCocoa対応アプリケーションを作成するための基本中の基本がまとめられている。英語ではあるが、図も多くありざっと眺めることもできる。ADC会員であれば、Developer Toolsで書かれていることをトレースすることもできるだろう。全く同じではないものの、WebObjectsでもある程度は同様な作業ができるかもしれない。 CocoaはJavaを言語として開発に利用できるが、フレームワーク自体は独自のものを利用する。JavaのAWTやSwingを使ったものではない。しかしながら、Cocoaのフレームワークでは、Javaの標準ライブラリよりも高い機能を提供する場面は多い。たとえば、文書ファイルや文書ウインドウといった枠組みがCocoaで用意されているため、アプリケーション作成においては同じJavaでもCocoaの方が多くの機能を提供していると言えるだろう。このPDFでは文書ファイルのフレームワークまでの解説はないが、Cocoaをベースに開発を進めることは、ある意味ではMac OS Xのメインストリームにつながると言える。とにかくCocoa開発の様子を知りたいという人、開発作業がどんなものになるかを知りたい人など、Cocoaに注目している人は要チェック文書だと言える。 |