タイトル【Mac OS X Public Betaシリーズ】ファイルサーバとしてのパフォーマンスは?カテゴリーネットワーク, Mac OS X Public Betaシリーズ, Mac OS X
作成日2000/10/2 8:41:29作成者新居雅行
Mac OS XはBSDをコアに持っていることから、ネットワークとなるととにかくいろいろな話題が込められている。その中から、AppleShareファイルサーバになる機能をまず見てみたい。Mac OS X Public Betaが稼動しているマシンをAppleShareファイルサーバにするには、System Preferencesアプリケーションを起動し、Sharingの項目を開く。そこで、File Sharing OnにあるStartボタンをクリックすればよい。ただし、この設定項目は、ウインドウ左下のロックを、管理権限のあるアカウントとパスワードを使って解除してからでないと設定できない(管理権限については別の機会に説明する。ここでは、インストール時に最初の登録したユーザと思えばよい)。こうすれば、AppleShareファイルサーバになるが、正確にはAppleShare IPのサーバである。通常のAppleTalkのファイルサーバにはならず、IPモードのみとなっている。

◇System PreferencesのSharing
 

Mac OS 9では公開するフォルダを指定するなどしたが、Mac OS Xではそうした指定が一切ない。Finderで公開するという設定がないわけだ。その代わり、各アカウントのホームディレクトリが公開されるという仕組みになっている。このあたりも、アカウントについてを説明してから回を改めて状況を詳しく説明しよう。

ここではMac OS Xのファイル共有サーバとしての性能を評価してみたい。同一のサーバ上で、Mac OS Xが稼動している場合、Mac OS 9.0.4が稼動しているそれぞれの場合で、ファイル共有機能を使ってサーバとして働かせる。そして、いずれのサーバの場合でもMac OS 9.0.4をクライアントにして、大きなファイルのコピーや、数多くのファイルのコピーをやってみた。以下はその結果だ。グラフが長いほど時間がかかっていることを示す。つまり、短いグラフ程速いということだ。右側がサーバのOSを示している。

◇大きなファイルのコピー(225MBのファイル)
<クライアント→サーバ(書き込み)>
              □□ 35秒:Mac OS X PB
       ■■■■■■■■■153秒:Mac OS 9
   ■■■■■■■■■■■■■238秒:Mac OS 9(IP)
<クライアント←サーバ(読み込み)>
             □□□ 54秒:Mac OS X PB
       ■■■■■■■■■160秒:Mac OS 9
      ■■■■■■■■■■175秒:Mac OS 9(IP)

◇たくさんのファイルのコピー(1000ファイルあるフォルダ、総容量は約2MB)
<クライアント→サーバ(書き込み)>
        ?□□□□□□□123秒:Mac OS X PB
    ■■■■■■■■■■■■213秒:Mac OS 9
■■■■■■■■■■■■■■■■291秒:Mac OS 9(IP)
<クライアント←サーバ(読み込み)>
        □□□□□□□□144秒:Mac OS X PB
              ■■ 42秒:Mac OS 9
              ■■ 40秒:Mac OS 9(IP)
               (□、■=18秒)

サーバ:Power Macintosh G3(Blue & White), 300MHz, 256MB, 6+8GB
  OSとして、Mac OS X PB、Mac OS 9.0.4(AppleTalkおよびIP)で比較
クライアント:PowerBook(FireWire) 400MHz, 192MB, 20GB, Mac OS 9.0.4
ネットワーク:100BASE-T、ノーマルのハブで接続

概して、Mac OS 9のファイル共有よりも、Mac OS Xのファイル共有の機能の方が速いと言えるだろう。大きなファイルではダントツであるが、おそらく、これはネットワークの転送処理が大幅に改善されていることを意味していると思われる。しかしながら、数多くのファイルをコピーした場合には様子が違う。サーバへの書き込みはMac OS Xの方が速いが、サーバからファイルをコピーする場合には、Mac OS 9をサーバにしている方が圧倒的に速いのである。理由はいろいろ想像できるが、システム的な動きがMac OS 9とは大きく違うのは間違いないだろう。
たくさんのファイルをサーバに対してコピーする場合、実はかなり時間のばらつきがあった。最高で90秒くらいから、最高では150秒くらいまで幅があり、条件により違いが多そうだった。グラフでは、起動直後に行った数値を採用したが、いずれにしても、Mac OS 9をサーバにした場合よりも早かった。
Mac OS Xは拡張フォーマットの起動ディスクで実験をした。UFSの場合でもAppleShareのファイルサーバになることができる(Mac OS X Serverではそれができなかったので、インストール後に再フォーマットをした人は多いだろう)。しかしながら、そうして公開したフォルダには、なぜかファイルの書き込みができない。アクセス権は確かにあるのに書き込みできないのである。また、公開ポイントがホームフォルダの中のPublicフォルダになっているなど様子が違う。いずれにしても、書き込みできないので、使いようがない。AppleShareサーバにするにはとりあえずは拡張フォーマットをするということになるだろう。

なお、Mac OS Xの話とはずれるが、Mac OS 9では、IPを利用するよりAppleTalkのAppleShareの方が処理能力は高い。POWERBOOK NEWSの飯嶋氏によると、Mac OS 9のAppleShare IPは、以前からあるAppleTalkによるAppleShareの上にかぶせる形で稼動するものなので、余分に処理が入り、パフォーマンスは悪くなるのだろうということだ。
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