タイトル | Mac OS Xのセミナーが開催、Cocoaの話題を中心に盛り沢山の内容 | カテゴリー | イベント, Mac OS X |
作成日 | 2000/10/8 23:38:35 | 作成者 | 新居雅行 |
アニーズ・クラフトは、Mac OS Xに関する日本で最初のセミナー「MacOS X セミナー in 福岡」を、2000年10月8日(日)〜9日(月)に、福岡市のスカラエスパシオで開催した。NeXTユーザ会を中心に、多くの講師が集まるとともに、全国からセミナー受講者が集まった。アニーズ・クラフトを設立して15年の記念行事でもあり、今後、同社がフォーカスするMac OS Xをテーマに選んでのセミナーに、同社の意気込みを感じることができる。 初日は朝から天候が思わしくない中、やや押しぎみに開始され、はじめにアニーズ・クラフトの案浦浩二氏による挨拶に続いて、午前中に1つ、午後から5つという盛り沢山の内容のセミナーとなった。以下、セミナーの概要と印象に残った点を中心にまとめたい。詳細をメモしてはいたが、それを読むのはあまりに冗長だからポイントを絞って報告しよう。 セミナー終了後は、ダイエー優勝で沸き返る天神の繁華街からバスに乗り、港へ行き、そこから明代皇帝宝船鄭和を借り切っての船上パーティが催された。ライブコンサートやビンゴゲームが行われるのと並行して、船内のあちらこちらでいろいろな話が弾んだパーティであった。ビンゴゲームでの最高の商品は、何とサンフランシスコ往復航空券であった。そして、大雨の中、タクシーに相乗りするなどしてホテルに戻ったのである。明日は、午前に2つ、午後に5つの合計7つのセミナーが開催される。 最初のセミナーはGalapagos Systems代表佐藤徹氏による「Mac OS X概要」で、まずはじめに、「マックを選んだ幸運なあなたをもっと幸せにしたい」というのがMac OS Xによるメッセージだと説明したのが印象的であった。Aquaのウインドウ描画機能を説明し、「ちらつかないデスクトップ」としてグラフィックシステムの優位性を説明した。日本語版のPubic Betaは10月18日にリリースだと大胆に予言すると共に、将来にありうるサーババージョンについても想像であると前置きしながらも、Darwinを生かし、AppleShare IP 6.3と似たようなサービスを提供する製品になるのではないかと解説された。 昼休みの後、午後の最初のセミナーはシスコシステムズの塩崎英司氏による「Ciscoネットワークソリューション」だ。シスコの歴史や主力製品などの話題を中心に、常時接続のためのルータとしての同社のCisco810シリーズの利点などを説明していた。続いて、大座畑重光氏による「21世紀の情報航行支援」では、Mac OS Xとは離れた話題だが、コンピュータの中と外の世界をつなぐものとして研究を続けているNaviGlassesについての話があった。眼鏡に写った現実の人間をジェスチャによってポイントすることで、ネットワーク経由でその人の情報を取り出して写し出すなどといったコンセプトモデルが示された。 ヘリオグラフの渡邊大介氏と札幌医科大学中村氏による「OPENBASE」では、NeXT用のアプリケーションとして開発され、Mac OS X Server、さらにMac OS Xと続けてリリースされたデータベースエンジンOPENBASEについての話題である。Mac OSベースのユーザの間では、データベースと言えばファイルメーカーProが当たり前だったり、アクセス権のないOSだったりとUNIX系の状況とは大きく異なる。そんなMac OSベースのユーザの一部の理解の低さを指摘しつつ、いきなりWebObjectsやOPENBASEを使って低価格で受注するようなことはやめるべきで、それなりに予算と時間を取って取り組むことを勧めていた。中村氏は解剖学の研究のために2次元画像の3次元化やその逆の処理を、顕微鏡や画像ファイル、データベースを連動しての開発を行っている。かなり大規模なシステムを、むしろユーザ再度である中村氏自身が開発をしているという点は大いに注目できる。Cocoaベースの開発環境やデータベースを利用することの優位性をアピールしていた。 NeXTユーザ会竹尾哲也氏による「Cocoaかんたんプログラミング」では、Cocoaの概要とオブジェクト指向についての説明から始まり、実際にDeveloper Toolsとして配付されたInterface Builderを使ったデモが行われ、Mac OS X Developer ToolsのProject Builderで、CocoaのApplicationをひな形として、アプリケーション作成などをデモした。また、パレット作成や、ドキュメントを作成するアプリケーションの作成などのデモが行われた。Interface BuilderやProject Builderを実際に動かし、ひな形の作成やコンパイル、そして実行などを見せた。 NeXTユーザ会水野隆一氏による「Cocoa Over View」では、Cocoaフレームワークの内容についてが話された。Foundationはデータ型やシステムサービスをオブジェクトでくるんだものであり、AppKitはGUIアプリケーションに必要な枠組みを実現するオブジェクト群として紹介された。フレームワークに含まれる重要なクラスの説明に続いて、Cocoaのデザインパターンが紹介されたが、API自体はObjective-Cで書かれたものなので、Javaでプログラミングをする場合でも、Objective-Cの考え方が学習するのは非常に有効であると述べられた。さらにフレームワーク自体はObjective-Cのメモリ管理を行っているため、Javaでプログラミングをしてもメモリ管理が必要になる点を強調していた。こうした機構になっているのは、実行効率が良いからということだ。メモリ管理自体は難しくなく、定型的な規則に従って記述すればいいということが説明された。 | |
関連リンク | Mac OS Xセミナー in 福岡 |