タイトル | Mac OS Xセミナーの2日目、Carbonを巡って意見の対立?! | カテゴリー | イベント, Mac OS X |
作成日 | 2000/10/10 14:56:26 | 作成者 | 新居雅行 |
2000年10月8日と9日に、アニーズ・クラフトが開催した「Mac OS Xセミナー in 福岡」が開催された。2日目は、Skylee Press代表のアーサ・C・カイル氏による「NeXT, Be, MacOS X」は英語でのセミナーとなった。自己紹介を交えながら、NeXTに注目した理由は、Macのいいところや悪いところとしてどのあたりを見ているかを紹介した。また、Beについても同様な考察がなされた。また、「Windows is ugly」と断言し、指示を得ていた。Mac OS Xを使うユーザとしては、旧来のNeXTユーザ、先進的なユーザに加えて、Mac OS 7/8/9に疲れたユーザだと説明した。完全に移行するには時間がかかると予測しているそうだ。普及のために今できることは、いろいろなところでMac OS Xを説いて回る必要があるだろうと話していた。 MDOnline新居雅行による「Mac OS Xのソフトをどう作るか」では、Cocoaだけでなく、Pure JavaやCarbonという選択肢があることを中心に説明した。Carbonでも、アプリケーションごとに独立したプロセスが起動するので、保護メモリやマルチタスクの恩恵も受けられる。また、Carbon Evenet Managerによりループで組むイベント処理は不要となり、不利な点は排除される気配がある。Carbonも1つの確固としたフレームワークになりうると説明した。CFMベースのCarbonアプリケーションの説明だけになってしまったため、来場者の方よりMach-Oだとアプリケーション名がプロセス名になって稼動する点を指摘いただいた。さらに、Pure JavaでもAquaベースのアプリケーションが作成できることなども説明した。講演内容を受けて、「Carbonで新しくソフト開発する理由はないのではないか」といった意見も来場者より出された。 オープンテクノロジーズ小川信幸氏による「X for OS X、iTools for OS X」では、ベータ版として出荷されているX for OS XやiTools for Mac OS Xについての説明が行われた。同社はTenon Intersystemsの日本総代理店である。iTools for Mac Mac OS Xはアパッチなどの管理をやりやすくするツールである。加えて、標準状態に比較し128bitのSSLによるセキュリティ強化や、Squidや独自技術でより高いパフォーマンスを実現している。X Windowサーバについても、すでにMacTenとして販売しており、さらには、Mac OS Xのデスクトップに統合した形で X Windowが使えることをデモした。 続いて、NeXTユーザ会しろやまたかゆき氏による「Darwin, The Base System of MacOS X」が開催された。UNIXの歴史やBSDの系譜を交えながら、DarwinというOSの実像を詳細に説明した。NeXTやRhapsodyとの関わり、どんな機能が実現されてきたのかといったことを説明し、現在のDarwinの位置付けを開設した。また、BSD系の他のUNIX系OSとの比較や、Linux、Solarisなどとの比較も行った。Darwin単体としては取り立てて他のUNIXとの利点はないとはしながらも、NetInfoやCore Foundationなど注目できる機能もあることだ。むしろ、移植実績などが欠如していると指摘した。さらに、Javaさえ動けばWebObjectsの稼動環境にもなりうるもののそうした動きが見られない点については残念なことだと述べられた。なお、休憩時間中ではあるが、しろやま氏が開発しているRubyからCocoaを呼び出してGUIなどを実現するモジュールもちょっとだけ披露された。 ミラクル・リナックス松谷光男氏による「Miracle Linux + Oracleで作るデータベースサーバ」は、Mac OS Xの話題から離れるが、NEC、TurboLinux、オラクルで共同で作った同社の活動や、あるいはLinux市場などの説明を交えた。また、松谷氏が実際にインストールを行って得た感触をもとにしたインストールのノウハウなども紹介された。沖データ下藤和俊氏による「沖データカラープリンティングソリューション」では、展示も行っているカラープリンタに関する説明が行われた。同社はレーザ方式ではなく、LED方式のプリンタであり、そのために、小型でかつ高速なプリンタを製造できるという点を強調し、同社のプリンタについての説明が行われた。また、Mac OS XではPostScriptプリンタのドライバしか現在のPublic Betaでは使えないが、同社のプリンタは多くの機種がPostScript対応であり、Mac OS Xとの相性の良さも示していた。 そして最後は、アニーズ・クラフト案浦浩二氏による「MacOS Xのサーバ構築」では、Mac OS Xで利用できるさまざまなサーバサービスについての紹介や、自社サーバーの構築や、サービスを交えて、同社のサイトをMac OS Xベースでの構築を行う予定などの話がなされた。 なお、次に開催する予定のイベントとして、“Apple IIセミナー”が予告された。2001年中に中身の濃いセミナーを開催する。東京で行う計画で、日程は未定とのことだ。また、同社は2001年2月のMacworld Expoでも出展を行う。 最後には抽選会が開かれ、協賛各社からのプレゼント品に加え、最高賞品は案浦氏所有のLisaが提供された。北海道から来ていた女性が見事にゲットし、記念撮影が行われ無事に終了した。Mac OS Xに関するセミナーとしては、日本ではおそらく最初に開かれたものとなったと思われるが、内容的にはNeXTからの利用者が講師陣の多くを占めるなど、Cocoaにシフトした内容であった。一方、Appleからのメッセージや、現状のMac OSデベロッパーの関心が必然的にCarbonにある中、コミュニティ間での温度差を強く感じたイベントでもあった。 | |
関連リンク | Mac OS Xセミナー in 福岡 |