タイトル | ヒラギノフォントを含んだPDFファイルを印刷できるか? | カテゴリー | グラフィックス, Mac OS X |
作成日 | 2000/10/13 14:50:23 | 作成者 | 新居雅行 |
PDFと言えば、Mac OS XのグラフィックスシステムQuartzで採用されている技術だ。ページレイアウトを崩すことなく再現できるということも大きいが、グラフィックスの汎用フォーマットして採用されたという点も注目できる。一方、フォントの再現性もにらんだPDFフォーマットがどの程度まで利用できるのかということにも興味があるだろう。10月8〜9日にアニーズ・クラフトの主催で行われた「Mac OS Xセミナーin福岡」の期間中に、兵藤氏(MMUJ,NeXus)によって興味深い実験が行われた(以下のサイトでその内容が公開予定であるが、執筆時点ではまだ未公開であった)。 Mac OS XにはSketchというドローソフトのアプリケーションソフトが付属する。上記のセミナーで札幌医科大学の中村氏は、Sketchでプレゼンテーションの1ページずつを作成し、PDFに保存し、さらに自作のプレゼンテーションソフトを使ってプレゼンテーションを行っていた。この作業行程からヒントを得た兵頭氏は、さっそく、Mac OS X Pulic BetaのSketchによるPDF作成を試みた。JPEG画像の取込みはさておき、ヒラギノフォント、Osakaフォント、平成フォントを使った文書を作成し、PDFとして保存したのである。ただし、PDF化以前にOsakaフォントは設定はできても画面には何もでないという状況であった。そして、SketchからPDFを出力し、それをCD-Rに焼き込んで、会場近くのKinko’sに持ち込み、Mac OS 8.6、Acrobat Reader 4.0、PostScript 3対応プリンタといった構成での印刷を試みた。その結果、Osakaフォントは同様に何も表示されないが、平成フォントに関してはとりあえず、ゴシック、明朝体でアウトラインフォントで印刷がなされた。一方、ヒラギノフォントについてはどの書体も、Courierフォントでの化け文字的な印刷がなされただけである。なお、使用マシンには、平成フォントも入っていなかったそうだ。 まず、この結果は、SketchによるPDFファイル作成では、フォントがエンベッドされていないということが言えるだろう。SketchではPDFファイルとしての保存機能があるだけで、Acrobatの各ソフトのような設定ができるわけではない。だがせめて、日本語の代替フォントでの印刷くらいにはしてもらいたいと思うところでもある。これは、Acrobatというシステム的な問題点の可能性もある。一方、平成フォントについては、Acrobatは特別な配慮をしている可能性も考えられる。いずれにしても、Sketchはスクリーン描画のためにキャッシュしているPDFデータをファイル化するだけではないかと思われる。つまり、印刷に適したPDFデータではないということではないだろうか。少なくとも、PDFはすべて同じと考えるのは危険があるということも言えると思う。 もちろん、兵頭氏はそうした事情は熟知の上であり、現状で可能な範囲の実験を行ったのである。ところで、なぜ、兵頭氏はこのような実験をしたのだろうか? その答えは、兵頭氏よりいただいたメールの一部を引用させていたくことにする。 「将来、ヒラギノフォントが標準でインストールされたMac OS XがKinko’s店頭に設置される日が来れば、(フォントをダウンロードしたプリンタがなくても!)、どこでも日本語を出力することができるでしょう。世界中の街角で世界中の文字を、気軽に印刷することができる日を楽しみにしています :-)」 | |
関連リンク | Mac OS Xセミナーin福岡 旅行記 |