タイトル | 東急ハンズ池袋店のWebサイトを運用するのはWebObjects 4.5 | カテゴリー | WebObjects |
作成日 | 2000/11/10 15:36:33 | 作成者 | 新居雅行 |
東急ハンズに買い物に行く…と言えばなにかいいものを買いに行くのと同じような響きがある。その東急ハンズ池袋店のWebサイトは、Appleが開発・販売するアプリケーションサーバの「WebObjects」を使って運用されている。どのようなシステムを開発し運用しているのかを、システムを開発した千明社のシステム開発課の倉持哲也氏にうかがった。 千明社:http://www.senmeisha.co.jp DIY用品や文房具などを扱う東急ハンズは東京圏に7件、大阪と名古屋にそれぞれ2件、神戸、広島、札幌に各1件の主力ショップを構えている。大型店であることが特徴で、大きなものから小さな素材も含めて圧倒的な品揃えである。クラフトの材料やあるいは金物類、携帯電話関連グッズなども扱い、東急ハンズに行けば必ず何かあると言わせるくらいなのである。プレゼントになるような商品も取り揃えるなど、買い物に出かけるときの目的地ともなっているような店鋪である。 Webサイトは店鋪ごとに運用されているそうで、池袋店のサイトを千明社が開発し、運用しているのである(記事の最後にアドレスを記載している)。売れ筋商品の告知や、あるいは通信販売を行うといったコマース機能も備えたものであり、商品情報をリアルタイムで更新するなど、東急ハンズの1つの売り場機能を果たすものだ。お勧め商品の一覧から商品説明のページに移動し、そこでボタン1つで買い物カゴに入れるという手軽にショッピングできるユーザインタフェースが構築されている。購入時の送付先の入力では郵便番号から住所の自動入力ができるなどの工夫も見られる。イベントの告知や、「レシピ」として手づくり豆腐の作り方などを掲載するなど、単なる販売サイト以上の情報提供も行っている。 運用システムは、PowerMac G4 Server(450MHz、512MBメモリ)にMac OS X Server 1.2を搭載したアプリケーションサーバを設置して、ここでWebObjects 4.5を稼動させている。さらに別のデータベースサーバを設置していて、こちらはPentium III Xeon 500MHzのCPUに512MBのメモリを搭載したマシンで、Windows NT 4.0を稼動させている。データベースエンジンには、Oracle8i(r8.1.5)を利用している。さらに、Webサーバとして333MHzのPentium II、256MBのメモリのマシンにredhat Linux 6.2Jを搭載し、Apache 1.3.12を稼動している。合わせて3台のマシンで運用しているが、Webサーバとその他のマシンの間にファイアウォールを入れてセキュリティ面の強化を行っている。WebObjectsを採用した理由としては、倉持氏は「オブジェクト指向が隅々にまで行き渡っているので生産性が高く、少人数でもシステム構築ができること。それに成功事例も多くあり、負荷分散も容易であること」を挙げている。設計から納品まで1ヶ月で完了させており、PerlのCGIで開発していたら倍の時間がかかったかもしれないと見積もる。また、他社のアプリケーションサーバに比べて価格が安いため、コストパフォーマンスは比較にならないくらいWebObjectsの方がいいこともあった。安定性についても申し分がなく、5ヶ月間運用をしているが、過負荷やアプリケーションエラー、OSの問題でのリブートは1度もないという。 一方、開発に必要な情報については英語がほとんどであることや、テキストなども少ないこともあって、トレーニングや情報取得の点での問題はあった。そこで、開発から運用においては、WebObjectsコンサルタントで著名な有限会社テクニカル・ピット代表の倉橋浩一氏に広範囲にわたってサポートしてもらったそうだ。 有限会社テクニカル・ピット:http://www.techpit.co.jp/WO/ WebObjectsの全体像を理解するのに時間はかかったものの、EOF(Enterprise Object Framework)は高く評価しており、「使いこなせれば鬼に金棒というくらいの強力なもので、他アプリケーションサーバーのデータベース接続環境が貧弱に見えてしまう」(倉持氏)というほど評価をしている。開発においては当初はアプリケーションでの日本語処理の問題が懸念はされたが、これについては何の問題もなかった。一方、Javaで開発を行うもののメモリ管理の必要があり、その点に注意を払う必要があったそうだ。また、千明社ではSQL Serverでの開発経験はあったが、Mac OS X ServerのWebObjectsからはSQL Serverに接続することができないために、結果的にOracleを使ったという経緯もある。「Mac OS X Server版のWebObjects4.5で安心して利用できるRDBMSはOracleとOpenBaseだと感じた」そうだ。 今後についても、情報掲載をやりやすくするなどの改良を考えているそうだが、Java2に対応したWebObjects 5のリリースを待って、Java2を駆使したアプリケーション開発に取り組む考えもあるとのことだ。 | |
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