タイトルJavaアプレットを“ストリーム”して高速化するAppStreamカテゴリーJava
作成日2000/12/6 17:0:55作成者新居雅行
Javaの高速化技術を持つAppStream社は、日本法人の設立などの発表を行なった。Macintosh環境とはやや離れるが、興味深い技術であるので、紹介したい。AppStream社は1999年に設立され、本社がパルアルト、開発をテルアビブで行なっている。現在150人ほどの従業員がいて、このほど日本法人も設立した。同社の特徴的な製品はJavaのアプレットの実行速度を高速化するサーバを販売する。特にAppStream向けに作ったものではなく、既存のアプレットをAppStream社のサーバを利用することで、実行速度が早くなるというわけだ。仕組みは次の通りだ。Javaのアプレットは、たくさんのクラス定義から成り立っている。一般には1つのアプレットを稼動させるのに、すべてのクラスをダウンロードしないといけないので、その間の待ち時間が発生する。しかしながら、AppStreamサーバ経由でアクセスすることで、必要なクラスをダウンロードした段階で実行が開始される。アプレットを細かく分けて、あたかもストリーミングを行なうかのような動作で、クライアント環境に届けるというわけだ。そのため、最初のアクセスで非常に小さいものの、稼動しているプラットフォームに依存したAppStreamのドライバをダウンロードする。そのドライバを経由することで、アプレットの一部分のダウンロードだけで実行できる仕組みができるということだ。さらに、ダウンロードした結果から、次に呼び出されるクラスの予測を行なうことで、最適化されたソフトウエアのストリーミングも行なう。さらに通信経路上では圧縮を行ないさらに時間をかせいでいる。クライアント側では独自にキャッシュを持っていることから、さらに何度も同じアプレットを動かす場合の高速化も図っている。クラス単位でのバージョン管理もできることから、効率的でかつ自動化されたバージョン管理も行なっている。メガ単位のアプレットになると、体感上は数倍あるいはそれ以上の効果を得ることになる。ただし、残念なことに、Mac版のAppStreamドライバは開発されていない。
ただし、携帯電話向けのドライバが開発されており、韓国のLGテレコムの製品にドライバが組み込まれて出荷され始めている。Javaベースの携帯向けアプリケーションを、条件の悪い通信状況でも効率的に動かす仕組みとして機能する。
また、デジタル家電でJavaやリアルタイムOSの機能を果たす基本ソフトである「JBlend」を開発しているアプリックスと、アップストリーム社の提携についても発表された。JBlendにAppStreamのドライバを組み込むことにより、JBlend対応機器でのJavaアプリケーションのより効率的な実行を見込むことができる。また、アプリケーションの必要なところだけをダウンロードして実行することができるため、諸機能を1つに統合したアプリケーションを作っておき、メモリの余裕のあるデスクトップマシンではそのまま稼動させるとする。そして、AppStreamに対応した携帯機では、そのアプリケーションの必要な部分だけを取り込んで実行するということも可能となる。アプリケーションをわざわざ各種の機器向けに改造する必要もなく、また、メモリなどのリソースの少ない機器でも大きなアプリケーションを動かすことにつながるなど、発展性の高い技術として注目できると、アプリックスの代表取締役である郡山龍氏は説明をした。
AppStreamサーバはWindows NT/2000とSolaris版があって、サーバあたり360〜1320万円となっている。同時アクセス数で価格が変動する。AppStream社では、こうしたデータのセグメント化技術や予測技術を利用して、2001年にはHTMLやサーバベースのWindowsアプリケーションの実行を高速化する製品も投入予定となっている。
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