タイトルDreamweaver UltraDeveloper 4日本語版登場とアプリケーションサーバ向け開発ツールカテゴリーオーサリング系, 各種プロダクツ
作成日2001/1/24 16:1:44作成者新居雅行
2001年2月23日にDreamweaver UltraDeveloper 4日本語版が発売される。Ver.3でもUltraDev版はあったのだが日本語版は出ていなかった。いずれにしても、データベースアクセスを伴うWebアプリケーションを開発するという点では要注目の製品でもある。その他の製品とのからみと、Webアプリケーション開発についてをまとめておこう。
まず、Webアプリケーション開発は、現在はさまざまな手法やツールが乱立している。そのため、概観することにあまり意味はないかもしれない。手法やツールの成り立ちもさまざまなため横並び評価も難しい。しかしながら、業務向けのアプリケーションサーバとしては、Java2 EE(Enterprise Edition)ベースのものが主流となり、そのためのプログラム開発としては、VisualCafeやJBuilder、VisualAgeなどのツールがサーバ開発機能をここ数年積極的に強化してきた。これらは、まさにプログラム開発ツールであり、デベロッパーの道具であり、またエンジニアの領域である。ただし、これらJava2 EEベースの開発ツールとなると、Windows版が主体である。ただし、忘れてはいけないのはこの範疇にWebObjectsが入る。Java2 EEではないということで、ある意味でははじかれることも多いのであるが、WebObjectsは、Java2 EE相当のことができて、さらには開発ツールも一体化し、クロスプラットフォームなのである。Java2 EEとの比較は一概には言えないが、Java2 EEでも、データベースの中身をオブジェクト化するという線では、EOFと同様である。WebObjectsはやはり統合度の高いパッケージだと評価できるだろう。
一方、Webページ作成ツールからの流れとして、DreamweaverやGoLiveのように、ページ作成ツールに、データベースからのデータの取り出しを行うようなページ作成機能が加わった。基本的には、ASPやJSPなどのサーバサイドスクリプトをベースにしたもので、作成するのはやはりHTMLからの拡張となる。Windowsの世界では、FrontPageやVisual InterDevというツールが、Webページ作成とデータベース利用すなわちサーバサイドスクリプト開発を担うが、残念ながらこれらはMacintosh版はない。いずれにしても、このジャンルの製品は、デザイナでも手軽にデータベースを取り込んだWebアプリケーション開発が行えるという線を主なターゲットにしている。簡単なものならプログラムは必要ない。Webページ作成ソフトの今現在もっとも競争の激しいところであるが、Dreamweaver UltraDeveloper 4はやはりGoLive 5.0よりは進化している。対応しているアプリケーションサーバが豊富であること、そして、クライアントサイドではあるがJavaScriptのデバッグができる。また、実データを表示しながらのレイアウトや、データ入力ページを作成するためのフォームの自動入力などの特徴がDreamweaverにはあるということになる。
もちろん、アプリケーション開発では、PHP3やPerlなどを初めとしたオープンソース系の素材を使ったプログラムもあるだろう。多くはエディタを使って作成しているとは思われるが、GoLiveやDreamweaverもHTML編集という点で、他の要素を入れた部分に手をつけないという配慮などがあるため、ソースはエディタで書いても、サイト管理ではこうしたWebサイト作成ソフトを利用するということも多いだろう。

いずれにしても、Dreamweaver UltraDeveloperはある意味では、WebObjectsと用途の上で重なるところがある。これらの違いがどこにあるかを考えてみた。まず、Dreamweaverだけを使ったデータベース開発は、基本的には2階層モデルになる。もちろん、スクリプトレベルをいじれば中間ロジックをからめることができるが、それだとエディタで作るのと同じことになり、ソフトの本来の強みは発揮できない。そういう点を考えれば2階層モデルなのである。一方、WebObjectsのようなツールだと、プログラムをふんだんに書けるために3階層モデルでも構築はやりやすい。ただ、2階層がダメで、3階層がいいというわけではない。一般的なデータベースアプリケーションなら、データベース設計さえしっかりしていれば2階層でも十分に実用になることは多いものだ。そのあたりは適材適所と言えるだろう。だが、複雑なロジックが絡む場合には、バックエンドの開発体制としては、開発上での自由度が高い方がいいことは言うまでもない。
一方、ページデザインという線で言えば、やはりDreamweaverなどが強い面のは当然だ。Java2 EEのアプリケーションサーバを使う開発だと、開発とデザインは分離されるだろうからデザインツールを使うことになるだろう。だが、WebObjectsは統合化されているだけにそのメリットはあるものの、逆に言えば、進化するWebデザインツールの機能には追い付いていない。WebObjects Builderではオブジェクトの関連性を指定するなど特殊な機能が必要とされてはいるのは分かるのだが、デザイン部分だけをDreamweaverやGoLiveでできるような仕組みがあるともっと強くアピールすることができるだろう。
結局はこれらのツールやアプリケーションサーバは、実際に構築するものに合わせて選択し、その状況に合わせたワークフローを作るということが必要とされるという結論になるだろうか。Webアプリケーション作成にはまだまだ定石や定番は少ない。だからこそ、各社が力を入れているのである。また、こうしたWebアプリケーションは、デザインと開発の接点でもあり、あるいは入り交じる世界でもある。少なくとも開発者としては無視できない世界ではある。昔の開発だと、開発とデザインは別れていたかも知れないが、Webの世界ではそこがクロスオーバーする。開発者にとってWebデザインは別物とは思わない方がいいだろう。むしろ、状況に合わせた役割分担の中で自分の強みを発揮できるデベロッパになるべきではないだろうか。
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