タイトル【WindowsオフィスでWebObjects】WebObjectsのどこに注目をしたかカテゴリーWindows, WebObjects
作成日2001/2/2 16:13:6作成者新居雅行
システム管理者の専任担当を置けないような小さな会社での情報システムをWeb化を、WebObjectsを使って行うという試みをお届けしているこのコーナーであるが、改めてWebObjectsについての説明を行い、どういう点に注目をしたかということを説明しておこう。

WebObjectsと言えば、どんなイメージを持つだろうか? AppleStoreや日本のTIL-Jがそうだとか、日産のサイトといったしっかり作り込まれたサイトを思い出す人がおおいだろう。単なるHTMLファイルによるページではなく、データベースの中身をWebページに表示するといったダイナミックなサイト作成でができるというのが大きなポイントである。そして、そのサイト構築においてはスクリプトはもちろんだが、以前はObjective-C、そして現在や今後はJavaにおいてプログラムを行うことができる。スクリプト言語ではない点でやや敷き居が高いと思いがちかもしれないが、スクリプトだから簡単で、Objective-CやJavaだから難しいということはほとんどないのは実際にWebアプリケーションを開発した経験がある人なら体感できるのではないだろうか。いずれにしても、データベースからWebページ、あるいは逆の流れの中では、細かくカスタマイズする必要が出てくる。そうしたプロセスをプログラミングによって賄えるというのがWebObjectsの重要な特徴である。さらには、そうしたプログラミングや、あるいはページ生成の設定においては、オブジェクト指向の特徴とうまく連動したツールが使えるという点も見逃せない。
だが、そうなると、多大な開発労力がかかるかと思うところだろう。また、注目されるサイトはやはりかなりの開発コストをかけている模様だ。実際、ビジネススケールも大きいので、そうした予算設定も可能だというところだ。
一方、WebObjectsでは違った方針でサイト構築に臨むことができる機能がある。その1つが「Direct to Web」といった機能だ。こちらは、データベースの内容を、「一気にWebから処理できるようにしましょう」と言った意味だと考えればよい。その意味では、ファイルメーカーProのWebコンパニオン的でもある。また、Direct to Webはとりあえずは作り付けの機能でデータベース利用ができるようになるが、ある程度のカスタマイズもできる。いずれにしても、「とりあえず利用できる」というのは、前回説明したような開発にコストと時間をかけられないような現場では、大きなメリットがあるわけだ。また、カスタマイズ機能によって、のちのち、ある程度はニーズに合わせていくということも可能になるのであれば、なお良いのである。
このDirect to Webの機能は、WebObjectsの1つの特殊な使い方だと思っても良いのかも知れない。一般的なデータベース利用をフレームワークとして提供しており、通常の開発とは違ったベクトルを持つ利用方法に対応していると言えばよいだろうか。次回以降、実際のところを見ていただくところになるが、ポイントを押さえていれば、ウィザード通りに作業するだけで、とりあえずAccessのデータベースはWebから読み書きができるのである。ファイルメーカーProみたいだと言うのはちょっとおかしな比喩かも知れないが、Accessから出発した場合にはWebObjectsとの組み合わせでのWebアプリケーション化ということが結果的には同じ目的で使える。ファイルメーカーProとの違いはカスタマイズのやり方が全然違うというところにあるだろう。ファイルメーカーProはデータベースを作り込むが、WebObjectsは手軽なカスタマイズ機能に加えてWebObjectsの開発機能を使った作り込みができるというわけだ。プログラミングが関わると当然、柔軟性は非常に高い。ただし、パッケージ化されたソリューションとしては、確かにファイルメーカーProの方が強い。

ちなみに、WebObjectsでは、上記の2つのパターン以外に、「Direct to Java」「Java Client」といった手法もある。おおまかに言えば、Javaをベースにクライアントアプリケーションを稼動させる。一般的なクライアント/サーバシステムではあるが、よくあるC/Sは、クライアントがサーバに接続するという雰囲気で、システム構築をすすめる。WebObjectsはむしろ、サーバ上で稼動するプログラムと、クライアントのプログラムを一体化した形式で開発をすることができる。そうした一連のシステムのユーザインタフェースがたまたまクライアントで稼動しているといったような雰囲気になると言えばよいだろうか。こちらはこちらで興味深いのではあるが、それはまた機会を改めて検討してみたい。

それから、WebObjectsを使った理由として、やや間接的になるが、次の点もある。今後、いろいろなシステムを開発する場合、その都度、あれこれと考える必要もあるのだが、ここでWebObjectsを修得してしまいたいということがあるのだ。つまり、WebObjectsの勉強を、やや無理矢理であるが始めてしまい、それなりにマスターしようというわけだ。今後、社内システムは大規模になるかもしれないし、社外に向けてのインターネットベースのサービスを構築する場合でも、開発は避けて通ることはできない。もっとも、後者の場合には社外の開発会社に依頼するという線もあるのだが、とにかく自社内に技術を保持するというのは重要なことだろう。その意味でも、あきらめずに新しい技術を勉強して取り入れるということもあって、あえてWebObjectsを選んでみたということもある。
WebObjectsは、日本では72,800円だが、ADC(Apple Developer Connection)のメンバーには$350で入手できる。これは開発向けバージョンで、50トランザクション/分という制限があるわけだが、小さな会社ではこれでも十分かもしれない。もちろん、英語版だが、日本で販売されているものも英語版と同様である。手元のマシンで開発しながら稼動するということも、状況によっては可能だろうから、意外に出費はかからないと思う。
WebObjectsを選んだ理由は、必ずしも他の会社などで適用できるとは限らない。こじつけに近い理由があるにしても、複雑な状況を考えて、そして自分の責任で判断するというところがポイントでもあると思う。いよいよ次回からインストールのところから始めたい。
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