「うわ〜」新しいiMacを見て誰もがまずは口をつく。2001年2月のMacworld TokyoでiMacの製品ラインナップが変更され、CPUクロックが上がったりしたこともあるのだが、とにかくデザインにびっくりする。青地に白い斑点の「ブルーダルメシアン」、花がいっぱいちりばめられた「フラワーパワー」、なんだかピンと来ない。これは評価が難しい。で、こうした奇抜なデザインが過去にあったかを一生懸命思い出してみた。いずれにしても、絵柄がどっさり描かれているといったパソコンが正式に発売されたことがあるかどうかはどうも思い出せない(ベネトンモデルなんてのもあったけど…)。しかしながら、Macintosh Plusの時代から、SE/30の時代にかけて9インチディスプレイタイプのコンパクトMacintoshにペイントを施していた人たちもいたわけだ。大理石だとか、木目だとか、けっこう高い費用がかかるにもかかわらず、ペイントをしていたのを思い出す。だから、柄物にするのはそういう意味では、Macintoshの歴史の中には存在していたのだ。もちろん、自分でペイントする人もいた。 そうした絵柄のペイントをする心は、突き詰めればモニュメントにするということではないだろうか。極端な言い方をすれば、毎日それを拝むみたいな世界が近いような気がする。しかし、モニュメントはあちらこちらにあってはあまりありがたみがない。大理石ペイントは規格品だとしても、少なくとも自分のコミュニティでは「自分しか持っていないもの」として価値があるからこそ、ペイントするということに走るのではないだろうか。だから、特注のペイントと、今回の柄物モデルとはその意味では異質だ。 iMacは最初はとにかくびっくりしたデザインだったけど、なんだか今となっては地味に見える。これまで、5色にしてみたり、グラファイトだとか、白だとかとにかくカラーバリエーションが、マックのファンを飽きさせない方策だった。だけど、そろそろ色ネタはなくなってきた感もあった。そこでどうするかということで、こうした絵柄を持ち込むということに行ったのだろう。きっとアップル社内でも喧々諤々の議論があったとは思うが、Macを持つことがほかとちょっと違うのだよというある種の優越感を、ある意味では刺激するものだとも言える。 もっとも、そうなっても、好みの問題はある。他人とは違うという優越感は、CPUのクロック数だけでなく、デザインにも求めることができる。とは言え、単に違っているだけでなくその人の感性にマッチしないといけないのは言うまでもない。ただ、東京周辺はファッションなどがあまりカラフルではないという印象がある。筆者は大阪の出身だけど、大阪の方だとおばちゃんがすごいカラフルな格好をしていて、ちょっと笑わせてもらえるのだけど、東京よりもファッションの彩度は高いと感じるのである。もしかして、東京周辺では受けないけども、地方だと違うのかななどと勝手に考えてしまうけど、どんなものだろうか。ただ、その割には、ブルーダルメシアンなんて比較的地味にまとまっているとも思えてしまう。花柄だと女性向けだとかそういう単純な考え方は問題があるかとは思うけど、iMacを部屋の中で強いアクセントを持ったものとして存在してもらいたい向きにはそれはそれでいいのかもしれない。 Expoの会場で誰かと立ち話をすると、新しいiMacのデザインをなんて呼ぼうかなんて話になる。つまり、あだ名をつけたくなるのだ。ブルーダルメシアンのあだ名でいちばんそれらしいのは「カルピス」ってやつだ。ビンで売られている濃縮されたカルピスの包み紙にそれとなく雰囲気が合致する。一方、フラワーパワーは「百貨店の包装紙」ということで落ち着いた。みなさんは、どんなあだ名をつけられただろうか? もっとも、こうしてあだ名を考え始めたということは、それだけみんなに印象を与えたことでもあり、それはアップルの思うつぼなのかもしれない。 だけど、現実を考えれば、こうした柄物のデザインを買うときには、すごく勇気がいるだろう。だから、立ち上がりは緩やかだと思う。それをどこまで引っぱり上げるのかは、勇気を出して買った人の評価が大きいと思う。この種のデザインが受け入れられれるのかどうかを実験しているとしたら、それはそれで注目すべきことなのかもしれない。マシンのモデルチェンジが激しい昨今、だめだったらまた変えればいいという話もあったのかもしれないし。 じゃあ、もし、筆者がiMacを買うとしたらどの色を選ぶかということを考えてみた。何となく、無難にグラファイトを選んでしまいそうな気がするが、ドカンと一発フラワーパワーに手をだしてしまうかもしれないという気もしたりもする。でも、それってやっぱりウケ狙いだろうなぁ。 |