【Carbon化シリーズ】として、2000年4月から7月にかけて、何本かの記事をお届けしました。本来はサンプルアプリケーションを完全にCarbon化するまでをレポートしようと考えていたのですが、Mac OS Xへの対応という点を考えた時、元からあるプログラムをこねくりまわしてCarbon対応したところで、あまり意味はないかと考え、このシリーズは継続させないことにしました。ご了承いただければと存じます。 このシリーズは、新居雅行の著書「Macintoshアプリケーションプログラミング」で紹介したアプリケーションソフトTextDrawをCarbon化に挑戦するという主旨で、その過程を通じてCarbon化対応アプリケーションソフト作成のさまざまな側面を紹介しようというのが狙いでした。しかしながら、既存のソースコードはそのままで動かないのはもちろんとしても、TextDrawのソースは少し古過ぎたようです。Mac OS 8/9のレベルではなく、執筆時期の関係で漢字Talk 7.5の時代のものだったのです。そのため、強引にCarbon化をして動かしたところで、ほとんど書き直すということになるかもしれません。その後のいろいろな調査で、おそらくそういうことになるのではないかということはかなり明確に分かってきました。ならば、1から作成した方が、明らかに素直な解決方法です。 その後、【小池邦人のプログラミング日記】のコーナーで、小池さんがCarbon化の手順を非常に分かりやすく説明されています。既存のソースをCarbon化するためのポイントはそちらを御覧いただければと存じます。TextDrawのCarbon化をまじめにやるとすると、そのアプリケーションだけでの特別な事情に対処する部分が多大にかかわってくることから、大局的な話題になりにくいということにもつながります。要は、細かすぎて約に立たない情報となることが想定されるというわけです。 ただ、Mac OS X Public Betaのリリース前までは、Carbonは移行のための途中の段階であるという認識が強かったかも知れませんが、現状ではCarbonアプリケーションも、「ネイティブアプリケーション」と呼ぶように、CarbonでもMac OS Xのメリットはそれなりに生かせるようになってきています。Carbon対応後、必ずしもCocoaに移行するとは限らないでしょうし、むしろそうなるとすると新しいソフトを作ることになるのが一般的ではないかと思います。Carbonは移行のためのフレームワークという位置付けではなくなっていることは、Carbon Event Managerの導入などを見ても十分に言えるかと思います。今後、長くCarbonでのプログラミングは続けられると想定されます。そうした事情も踏まえて、今後もCarbon環境でのプログラミングに必要な情報をお届けしたいと考えていますので、よろしくお願いします。 |