タイトル	Browsing Mac OS X》Launch Serviceでのプログラム例	カテゴリー	ユーザインタフェース, Browsing Mac OS X
作成日	2001/4/24 16:54:33	作成者	新居雅行

Launch Servicesの利用方法の続きを説明しよう。前回は概要だけだったが今回は詳しく説明することにする。ヘッダファイルのLaunchServices.hについても並行して目を通していただきたい。まず、Launch ServicesにはいくつかAPIがあるが、それらを整理すると以下の3つのジャンルに分けることができる。もちろん、情報を取得したいという人もいるだろうけど、もっともよく使うのは、最後のファイルやURLをオープンするというカテゴリにあるAPIコールだろう。今�鵑呂海譴蕕鮖箸辰織汽鵐廛襯廛蹈哀薀爐魴悩椶垢襦�廛蹈哀薀爐亙矛任竜Ⅶ�房┐靴拭�

□Launch Serviceの初期化と終了
　LSInit、LSTerm

□ファイルやURLに関わる情報の取得
　LSCopyItemInfoForRef、LSCopyItemInfoForURL、
　LSCopyKindStringForRef、LSCopyKindStringForURL、
　LSGetApplicationForItem、LSGetApplicationForInfo、
　LSGetApplicationForURL、LSFindApplicationForInfo、
　LSCanRefAcceptItem、LSCanURLAcceptURL

□ファイルやURLをオープン
　LSOpenFSRef、LSOpenCFURLRef、
　LSOpenFromRefSpec、LSOpenFromURLSpec

ファイルやURLをオープンするAPIは4つあるが、それぞれ、開く対象をFSRefで指定するものとCFURL（Core FoundationのURL ServiceベースのURL）で指定するものに分けられる。また、それぞれ、単に1つのFSRefやCFURLを開くものと、アプリケーションと開く文書をそれぞれ別々に指定することができるものに分けられる。

まず、単に指定したFSRefを開くのがLSOpenFSRefである。指定したのがアプリケーションであればそのアプリケーションが開く。文書ファイルであれば、その文書ファイルに関連づけられたアプリケーションが開き、文書ファイルを開く。いわば、Finder上でダブルクリックした動作に等しいAPIだと言えるだろう。
サンプルプログラムではLaunchItem関数で、LSOpenFSRefを使っている。サブルーチンにするまでもないほどではあるが、いちおうLaunch ServicesのAPIコールが明確になるように、サブルーチンとしてみた。LSOpenFSRefは2つの引数をとるが、1つ目に開く対象のFSRefがあればよい。2つ目の引数は、実際に開いたアプリケーションへのFSRefが戻される。たとえば、文書ファイルを開くとその文書ファイルを開いたアプリケーションへの参照が得られる。ただし、その参照が不要な場合には、NULLを指定する。起動処理は非同期に行われる。起動処理に入り、呼び出し側ではすぐにLSOpenFSRefの次に実行が移る。起動するまで待つという動作をしたい場合には、以下で説明するLSOpenFromRefSpecというAPIコールを利用する。非同期での起動でも、起動したことを知らせると思われるNotifiyの仕組みがどうやらあるようだが、LaunchServices.hを見る限りではその使い方は詳しくは書いていない。
プログラムでは、TextEditを起動するように作ってみた。TextEdit自体をどうやって参照するかだが、当初はFindFolderやFSFindFolderを使って、Applicationsフォルダを参照して、そこからファイル名で指定をしようと考えた。しかし、FindFolderやFSFindFolderのいずれもアプリケーションフォルダへの参照を得ようとしてもエラーがでて得られなかった。そこで、フルパスを記述してそこからFSRefを得るFile ManagerのAPIの1つFSPathMakeRefを使って、TextEditへの参照を得た。なお、FSPathMakeRefの引数はUTF-8の文字列を指定しないといけないので注意が必要だ。TextEditだとアルファベットだけのパスなので、今回の例では気楽に利用できる。

次に、開くファイルとそれに使うアプリケーションを別々に指定するLSOpenFromRefSpecというAPIコールを使ってみた。実際の例が、LaunchDocumentWithApp関数に記載している。LSOpenFromRefSpecも引数は2つだけだが、1つ目にLSLaunchFSRefSpec構造体へのポインタを指定するようになっている。この構造体に、開くアプリケーションや、開く文書などいろいろなものを指定する。実際の指定方法は、LaunchDocumentWithApp関数のプログラムを参照してもらいたい。ここで、開く文書が複数ある場合にも対応している。そのときは、FSRefが連続して入っているメモリーブロックのポインタを指定し、いくつのFSRefがあるのかも構造体の別のメンバーに指定をする。このFSRefの連続したものは、FSRefの配列である。イメージ的には、1つのFSRefが80バイトであるので、その80バイトのメモリブロックがファイルの数だけ並んでいると思えばよい。たとえば、3つのファイルを開く用に指定していれば、240バイトのメモリ領域を確保しておき、その先頭のアドレスを指定すればいいということだ。
LSLaunchFSRefSpec構造体のlaunchFlagsというメンバには、LSLaunchFlagsという型で定義された値を指定するが、要は定義されている定数をそのままあるいは加算して指定すればそれでよい。これも、詳しくはLaunchServices.hを参照してもらいたい。たとえば、起動するけどすぐに背後に隠れるようにするという定義定数や、Info.plistの設定を無視するといった定義定数も見られる。なお、kLSLaunchDefaultsだと、非同期での起動で、起動するアプリケーションのinfo.plistファイルの設定に従うということになっている。起動するまで待つように処理したいのなら、たとえば、launchFlagsに0を設定することで、非同期のフラグを落として実行すればよい。
サンプルプログラムのmain関数側では、Navigation Servicesのファイル選択ダイアログボックスを表示し、開くファイルを指定して、そのファイルをTextEditで開くというようにプログラムを作っている。ファイル選択ダイアログボックスで、複数のファイルにも対応できるようになっている。NavChooseFileの引数指定は最低限しか指定していないので、タイトルバーもでてこないがそのあたりはお許し願いたい。FSRefの配列の入ったメモリブロックを構築するあたりが、C言語の複雑なところで、ポインタ処理と配列の連動をうまく組み込まないといけないところだ。

さらに、指定したURLを開くLSOpenCFURLRefというAPIコールを使ったのがOpenURLという関数だ。URLではファイルを指定してもいいが、一般にはWebサイトなどを指定することになるだろう。http://で始まるURLを指定すると、システム側で定義されているデフォルトのWebブラウザを使って、そのサイトを開くことができる。Mac OS 9.1まではInternetConfigのAPIを使っていたか、あるいはAppleEventを利用していたかもしれないが、InternetConfigのAPIはちょっと独特だったので思わずひるんでしまうところだった。だけども、Launch Servicesを使うと、簡単にURLをデフォルトのブラウザで開くことができる。LSOpenCFURLRefには引数が2つあるが、1つ目に開くURLを指定する。2つ目にはベースになるURLを指定するが、1つ目に絶対参照を指定するのなら2つ目はNULLでかまわない。CFURLは、CFURLCreateWithStringを使えばCFStringから簡単に変換できる。ここではCFSTRマクロを使ってCFStringを生成しているが、CやPascal文字列からCFStringを得るには、CFStrinCreateWithCStringやCFStringCreateWithPacalStringなどのAPIコールを使えばよいだろう。「NoCopy」の名前の付いたAPIコールもあるので、そのあたりの使い分けはCore Foundationのドキュメントを参照してもらいたい。

以上のように、単に別のアプリケーションや文書あるいはURLを開くだけなら、たいして難しいプログラムは必要はない。ただ、Launch ServicesがMac OS Xでしか利用できないので、Carbon対応アプリケーションでも、Mac OS XなのかMac OS 9までなのかで処理を分けないといけないだろう。Mac OS 9までの場合には、以前までに使われていたプログラムを使い、Mac OS Xに対応するときにその部分にLaunch Servicesをつかったもの書き足すという使い方もできるだろう。

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