タイトルiBookのデザインが一新、XGAディスプレイやCD-RWを採用などカテゴリーiBook, Macintosh本体
作成日2001/5/2 15:58:34作成者新居雅行
2001年5月1日の米国で開催された記者会見は、新しくなったiBookの発表であった。今までの曲線的でカラフルなデザインを一新し、白っぽいなデザインとなった。また、スペックの向上に加えて軽量化も図られており、同じiBookという名前ながらきわめて大きな機能の変更が行われたと言えるだろう。また、価格競争力も付与されている。
新iBookは、500MHzのG3プロセッサを搭載し、256MBの2次キャッシュが搭載されている。システムおよびメモリのバスは66MHzだ。そして、内蔵ディスプレイは、XGA(1024×768ドット)サイズで12.1インチTFT液晶モニタと大型化された。ディスプレイコントローラはAGP 2x対応のRage Mobility 128を搭載している。メモリは64MBあるいは128MBが内蔵されているが、拡張スロットがあってPC100準拠で1.25インチまでの144ピンSO-DIMMを装着できる。32〜512MBまでのメモリを1つ増設できるので、最大搭載メモリは640MBということになる。USBを2ポート、FireWireを1ポート持っているが、別掲のTILの記事にもあるように、今回の新モデルは「Dual USB iBook」という呼称になっている。モデム端子に加え、100/10BASE-T対応のEthernetポート、そしてAirMacカードのスロットがある。AirMacカードは別売だ。RGBのビデオ出力も可能だ。64MBメモリでCD-ROMドライブタイプが158,000円、128MBでDVD-ROMタイプが178,000円、128MBでCD-RWタイプが188,000円となっている(AppleStore価格)。また、CD-RWとDVD-ROMの両方の機能が使えるComboDriveモデルは218,000円となっている。Mac OS 9.1が組み込まれているが、Mac OS XはiBookには含まれていない。iMovie2、iTunes、AppleWorks6、Palm Desktop、FAXstfも付属する。インターネット向けソフトとしては、Internet Explorer、Outlook Express、Netscape Communicator、PostPetが付属する。本体だけでインターネットや文書作成、あるいはスケジュール管理などの一連の作業ができるソフトウエアがセットになっている。
本体のデザインは、筆者は写真でしか見ていないが、写真を見る限りはメタリックな感じだ。ただし、材質はポリカーボーネートである。従来のiBookのデザインはiMacに類似点があったわけで、いわば「iつながり」であった。しかしながら、新しいiBookはPowerBook G4のデザインとの類似性があり、「Bookつながり」になった。従来のiBookは3.2kgだったが、新iBookは2.2kgと大幅に軽量化された。1年前のラインナップだと、PowerBook G3、iBookがそれぞれ2.8kg、3.0kgと3kg前後だったのが、現在はPowerBook G4が2.4kgとなり、2kg台前半に入ったことは、軽量化を望む声に応えたと言えるだろう。また、バッテリの利用時間は最長5時間となっているが、軽量化にともなってバッテリで使える時間が短くなるということがないように設計されている点も評価できるだろう。しかしながら、一方でバスのスピードが66MHzというのはパフォーマンスの点では少し不満な点であると言えるだろう。PCカードスロットはないのだが、これは今までのiBookでも存在しなかったものだけに大きな問題にはならないと思われる。
iBookは以前からWindowsパソコンとの価格競争力のある機種ではあったのだが、最近では、XGAタイプが軒並み20万円を切る価格で販売されるようになっており、SVGAタイプである旧iBookの魅力は薄れていた。しかしながら、新iBookはスペック的にも十分にWindowsノートパソコンと対抗できるようになっていると言えそうだ。たとえば、ヨドバシカメラのサイトではIBM ThinkPad iSeries 1200(1161-92J)が179,800円となっている。モバイルPentium III 700MHz、DVD-ROM、64MB、20GBというスペックだが、重さは2.8kgだ。コンパックのPresario 14XL443は169,800円、Celeron 700MHz、64MB、15GB、CD-RWドライブ、そして重さは2.9kgというところだ。もちろん、一部の機種だけからの判断はしづらいが、「Macintoshは高い」ということはiBookについては言えないだろう。いずれのマシンもディスプレイのサイズはiBookよりも大きいものの、軽さという点でiBookにかなりの魅力があることが分かる。
一方、重量が1.5kg前後の日本的サブノートについては、今回もラインナップには入らなかった。2.2kgが十分に軽量であると考えているのかどうかは不明ではあるが、CDドライブは不要で極限まで軽量なマシンを求めている声には応えていない。ただ、2.2kgは今までのMacintoshのことを考えれば、かなり軽い。この種のサブノートを待っていた人にとってはかなり悩ましい選択になるだろう。
PowerBook G4はデザイナをはじめとしたクリエイター向けなど、いわばプロ市場をねらったもので、G4という高速なプロセッサや、XGAよりも広い液晶ディスプレイを備える。しかしながら、iBookの倍くらいの価格設定となっている。その点からもiBookはかなり買い得感はあると言えそうだ。米国では教育市場にターゲットをかなり絞っているが、日本だと個人ユーザが中心的なターゲットになるだろう。AppleStoreに買いに来るような指名買いユーザも多いかもしれないが、価格的に見てもWindowsノートと並べて売っても十分に太刀打ちできるものだとも考えられる。Apple製品だけを特別なコーナーで売るという方式にもメリットがあるかもしれないが、新しいiBookはWindowsノートの一角にあっても十分に訴求する要素があると思うがどうだろうか。いずれにしても、このところは注目されたCubeに不良品騒ぎがあったり、戸惑う柄物デザインのiMacなどユーザ同士の一体感を味わえる環境ではなかった。新iBookは久しぶりに期待を一身に集めるのではないだろうか。
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