タイトル森下克徳の崖っぷちからWebObjects》第15回〜新しいMac OS X Server 10.0の雑感カテゴリーMac OS X Server, 崖っぷちからWebObjects
作成日2001/5/22 23:34:37作成者新居雅行
いよいよ、Darwin系列の新しいMac OS X Server 10.0が本日から発売である。今回は、続いているセットアップのシリーズを中断して、新しいMac OS X Server 10.0について書いてみよう。

WebObjects的にいえば、今まではMac OS X Serverを買っただけではダメで、WebObjectsのパッケージを購入しなくては何もできなかったのが、新しいMac OS X Server 10.0では、無制限のWebObjects運用環境が価格を上乗せされることなくついてくるという、誠にありがたいサーバパッケージとなっている。WebObjectsの開発はできないけれども、運用環境を手に入れるために追加の支出をしなくて済むのは、本当に嬉しい。

で、ビンボーな私がもっとも気になるの価格だけど、10クライアント版は59,800円(税別)、Umlimitedクライアント版は98,000円(税別)ということになっている。ただしここで制限されているクライアント数は、Macintoshのファイル共有、Macintosh Manager、NetBootなどでのクライアントのことで、WWWやFTP、QuickTime Streamingなどのいわゆる通常のインターネット上でサービスを提供するサーバとしては、接続制限は行われていない。Sambaを使ったWindowsなファイル共有や、NFSを使ったUNIXなファイル共有もまた制限されない。Mailサーバとして利用する時にも制限されない。つまり、他のMacをLANでつなぐ場合の制限であって、Mac OS X Server自体にユーザを10人までしか登録できないというわけでは全くない。

これは、WebObjectsの運用環境についてもそうで、10クライアント版であっても、WebObjectsの運用環境としては無制限版として利用できるのである。学校やMacが大量にある会社などでなく、インターネットで各種サービスを稼動させたいという人は、10クライアント版で充分だろう。

実物はまだ手に入っていないので、これがどのようになるのか分からない部分もいくつかある。

Mailサーバは、sendmailやqmailという一般にインターネット上で良く使われているSMTPサーバとは違って、Apple独自のものらしい。現在私のところでは、sendmailにsmtpfeedをかませて、fmlを使ったメーリングリストを使っているのだけれど、このあたりの構築をどうして行ったら良いのかがちょっとまだ不明だ。

また、今日発売ということだが、直前にBINDは8.2.4にバージョンアップしたし、Apachは1.3.20が出た。CD-ROMをパッケージ化する手間を考えると、この部分はたぶん以前のものをつかったままになっているはずだが、これらのアップデートはどの程度のフォローになってくるのだろうか。Mac OS X Server 1.2では、ついぞそういった部分のアップデートがアップルから提供されることはなかった。自分で組み込むのもまた楽しいし、そのおかげでいろいろと勉強ができたわけであるが、できうれば、新しいMac OS X Server 10.0では、コンスタントにフォローしていただけるとうれしいのである。

Mac OS X Server 1.2からのアップデートに際しては、ユーザの情報などを継続できるツールが付属しているようだ。Mac OS X Server1.2では、BlueBoxとよばれるMacOS環境が付属していたが、Mac OS X Server 10.0では、いわゆるクラシック環境となるMac OS 9.1は、パッケージに付属しないようだ。ただし、別途購入すればクラシック環境の利用も不可能ではないらしい。まあ、サーバとして利用しているマシンでクラシックを稼動させてはたしてパフォーマンス的に間に合うのかという点がはなはだ疑問なんだけど、それは触ってみないと分からない。少なくともMac OS X Server 1.2ではかなり無理があったのだがどうだろうか。

ともかく、通信環境が飛躍的に向上して行くだろう今後、SOHOや小規模なNPOなどがインターネットを使ったサービスを提供したいというニーズも高まっていくだろう。普通の人がサーバ管理者を兼務しなくてはならないという場面が増えるとしたら、そ]のような人たちには、最適なパッケージだと言えるのではないだろうか。
[森下克徳]
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