タイトル | 小池邦人のプログラミング日記》2001/6/4<WWDC 2001のセッションを振り返る> | カテゴリー | Carbon/CF, 小池邦人のプログラミング日記 |
作成日 | 2001/6/5 10:58:34 | 作成者 | 新居雅行 |
今回は、5/21から5/25まで、アメリカのサンホセ市で開催されたApple社のWWDC 2001(Worldwide Developer Conference)でのセッションの印象について、簡単にまとめてみたいと思います。 今回のWWDCは、開催されたセッションの数が異常に多かったのが印象的でした。コンベンションセンターだけでは部屋が足らず、隣のシビックセンター(市民ホールのような施設)でも連日セッションが行われていました。また、例年ならば最終日の午後にはセッションが入らないスケジュールだったのですが、今年は最終日までフィードバックセッション(開発者とAppleの技術者が質疑応答を行う)等がぎっしりつまっていました。このスケジュールですと、一回もさぼらず(笑)毎日フルに聴講したとしても、全体の1/7から1/8のセッションしか聞くことができません。私は、Carbon Frameworkや2D Imaging関連のセッションを中心に聴講していたのですが、他にも聞きたいセッションがいくつかあり、かなり悔いが残りました。もし、Macintoshに関してより多くの情報を収集しなければいけない企業であれば、1人の参加では不十分で、複数のメンバーを参加させるべきでしょう。各人にターゲットとなるトピックスを分散させて、後で情報を交換するといった工夫が必要となります。 個々に見てみると、Mac OS Xで不確定要素が多い分野に関するセッションは、いつも満員だったようです。Mac OS Xのネットワーク、プリントアウト、I/Oなどのハードウェアにからんだセッションなどがその代表です。聞いた話では、受講者が部屋に入りきれなかったケースもあったそうです。それから、JavaとWebObjectsに関するセッションは、数も内容も大変充実していました。現実に、今回のWWDCには、これらのセッションを聞くためだけに参加しているデベロッパも数多くいたようです。中には「WebObjectsで単独アプリケーションを開発しよう」といったセッションもあり、テクノロジー的に勢いを感じました。逆に、QuickTimeやOpenGLについては技術的に成熟した感があり、それほど多くのセッションは用意されていませんでした。OpenGLセッションなどは、予定時間よりもかなり早く終了することが多々あったようです。私が参加したQuickTime関連のセッションは「QuickTime Overview」ひとつでした。QuickTimeは数年前までは花形セッションだったのですが、これはこれで単独カンファレンスが開催されるようになったことも影響しているかもしれません? それから、Mac OS 9関係のセッションはたったひとつだけでした(涙)。私は、あまり期待せずにこれを聴講したのですが、何を隠そう、現実的には一番収穫があったセッションとなってしまいました(笑)。 注目のCocoa Frameworkに関するセッションですが、たった3つしか用意されていないことが目を引きました。基調講演でも、「Cocoaを使えば、こんなに簡単にアプリケーションが開発できる」と言ったデモを行っていたのですが、その割にはセッションに力がこもっていないと言う印象です。Mac OS XではCocoaは確立された技術であり不確定要素は少ないと言う認識があるのか? それとも、現実的には、今までのMac OS 9アプリをCarbon化しているデベロッパが多いことから、まずはそちらに焦点を当てたのか?現状をどう見るかは人それぞれでしょう。確かに、私などもCocoaを心ゆくまで堪能してみたいのですが、Carbonの変化を追いかけるだけで手一杯で、そこまでゆとりが無いのが現実です。Carbon化によるMac OS 9からMac OS Xへの移行が一段落しているだろう来年は、Cocoaに関するセッションがWWDCの主役を張っていかもしれません。 続いて、私が集中的に参加したCarbon Frameworkに関するセッションの印象です。こちらはCocoaと違い、数も内容も充実していました。幾つかの新しいトピックスの発表もあり、いつになく集中して聞くことができました。まだ開発途中の技術なのですから、デベロッパーにちゃんと説明すべき話しが山ほどあるわけです。しかし、Carbonに関するセッションを聞けば聞くほど、Mac OS 9とMac OS X共通ソースコードでアプリを開発するのは止めた方が良いと思えてきたのが辛かったです(涙)。Appleからの主メッセージは「既存のアプリケーションをCarbon化してMac OS X Nativeにしろ!」なのですが、それに加え「Mac OS X向けにオプティマイズしろ」という強い主張も感じました。具体的には「Carbon Event Modelを採用しろ」「Sheet Windowを使え」「MLTEを使え」「Session Printに対応しろ」などなどです。こう言われると、こちらとしても「だったらMac OS Xをもっとオプティマイズしろ」と反論したくなるのですが(笑)Apple側もそれは良く理解しているようで、基調講演では「パフォーマンスの改善をMac OS X開発の最優先事項としている」と、Jobsも主張していました。まあ、気長に待つことにしましょう。 (続く) | |
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