タイトル小池邦人のプログラミング日記》2001/6/4<WWDC 2001のセッションを振り返る>(続き)カテゴリーCarbon/CF, 小池邦人のプログラミング日記
作成日2001/6/5 11:20:59作成者新居雅行
私は、AppleがCarbonとCocoaアプリケーションの「差異」をどう吸収するのかを、最も注目していました。例えば、ドラッグ&ドロップの仕組み、AppleScriptやApple Eventへの対応、フォントパネルやカラーピッカーなどの標準ダイアログ、クリエータとファイルタイプの問題、そしてメニューやコントロールなどのユーザインターフェースの違いなどなど、解決しなくてはいけない多くの問題があります。これらの問題については、Apple側も良く認識しているようで(当然だよなぁ)、CarbonとCocoaのAPIの差異を極力なくす方向で努力していると主張していました。それから、ようやくCarbonアプリからQuartzを使用する方法が明らかになりました。Appleの説明では、Quartzとはマーケッティング上の呼び名で、APIから見るとCore Graphicsと呼ぶのが正しいようです。残念ながら、CFMベースのCarbonアプリケーションからはCore Graphics APIを利用することはできません(裏技では可能なり)。しかし、もうすぐMetroWorks CodeWarriorでもMarch-Oベースのアプリが開発できるようになりますから、Core GraphicsがMac OS X Carbonアプリで日常的に利用される日も、すぐそこまで来ていると思われます。

セッションに関するTipsですが、関連するトピックスによっては、セッションで説明される内容より、終了後に行われるQ&Aの方が重要な場合があります。「僕の疑問はみんなの疑問」という事でしょうか(笑)。来年WWDCへの参加を予定されている方は、「セッションが終わってもQ&Aを聞き逃さない」と言う注意事項を、心の片隅にしまっておいてください。また、セッションで話された内容は、守秘義務のため公表してはいけない事になっています。しかし、Carbonについての大部分は、Universal Interfacesのヘッダーファイルに記載されている内容でして(笑)これに守秘義務を課す必要があるのか大いに疑問です。最後に、今回のCarbonのセッションに関連して、Appleのサイトにアップされた最新ドキュメントをいくつか紹介しておきます。

◇WWDC 2001の各セッションで紹介された参照URL集
 http://developer.apple.com/events/urls.html

◇Carbon Event Modelに関する最新のドキュメント
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/Carbon/oss/CarbonEventManager/carboneventmanager.html

◇Carbonアプリケーションのパフォーマンスチューニングについてのドキュメント
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/SystemOverview/Performance/Performance.pdf

◇Quartz 2D(Core Graphics API)に関する最新ドキュメント
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/CoreTechnologies/graphics/Quartz2D/quartz2d.html

◇MLTE(Multilingual Text Engine)に関する最新ドキュメント
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/Carbon/text/MultilingualTextEngine/multilingualtextengine.html

◇CarbonアプリからInterface Builderで作成したオブジェクトを使用する方法
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/Carbon/HumanInterfaceToolbox/InterfaceBuilderServices/interfacebuilderserv.html

◇Apple Helpに関する最新ドキュメント
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/Carbon/HumanInterfaceToolbox/AppleHelp/applehelp.html

今回のWWDCでは、Metrowerks CodeWarrior 7 Early Access(開発リリース)が参加者すべてにお土産として配布されました。そんなわけで、次回はもう一度だけNavigation Service 3.0の話しを中断し、Metrowerks社が単独で行ったセッションの内容と、CodeWarrior 7 Early Accessをで自作アプリケーションをMach-Oベースとしてコンパイル&リンクしてみた経験を、お話をしたいと思います。
[小池邦人/オッティモ]
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