人前で説明をするときなどに、スクリーンに概要を示すテキストなどを出しながら、話をする…いわゆるプレゼンテーションであるが、もちろん、人によってはよくやっている場合もあるだろうし、全然やったことがないという人もいるかもしれない。いずれにしても、ノートパソコンは、プレゼンテーションのための必須のツールになっている。ほんの10年前は、OHPシート(OHPってOver Head Projectorのこと)なんかを使うのが当たり前だったのが懐かしいという気もする。(もっとも、そのさらに5年前はスライドだったけど、アンモニアで青く発色させるフィルムを作るのが学生の仕事だったりして、なんだかそのにおいだけ鮮明に覚えていたりもするが…。)いずれにしても、ノートパソコン、そしてプレゼンテーションソフトで、プレゼンが効率的に作成できるようになった。特に、コンピュータを使ったデモンストレーションと組み合わせるという場合には強いのだが、OHPシートに印刷しなくてもいいというのもまた手軽になったと感じさせるものである。その分、ぎりぎりまで準備をしなくなったというか、当日のプレゼンを行う直前までにできていればなんとかなるみたいなことにもなって、それはそれで良くないとも言えるのだが、楽になったことは素直に喜びたい。ノートパソコンとは言ってももちろん、MacintoshはPowerBookやiBookのことになるわけだが、いろいろな展開はあったものの、外部ディスプレイをつないでミラーリングを行い、プレゼンテーションを行うというのがいわば1つのスタイルとなっていると言えるだろうか。外部ディスプレイ端子の先には、プロジェクターなどがあって、その画面と、本体にある液晶ディスプレイに同じ画像を出すミラーリングが一つの手軽なやり方である。
さて、Mac OS Xも一般向けに販売され、実際にMac OS Xを使ってのプレゼンテーションを行うという機会も筆者の場合にも出てきた。そこでMac OS Xでプレゼンテーションをやる場合の操作などについてのポイントをまとめておこう。ただし、ここで実際にテストをしたのは、PowerBook G4(500MHz)と、一般的な外付け液晶ディスプレイ(VGA端子)の場合である。2000年モデルのPowerBookでもおおむね同様だったのであるが、すべての機種に渡ってチェックをしたわけではないので、その点もお含みいただきたい。そして、OSは、Mac OS X 10.0.4である。きっと、バージョンが上がれば、動作も違いが出てくる可能性もあるので、その点についても、心にとめておいていただきたい。
まず、プレゼンテーションとなるとやはり外部ディスプレイを接続することになるが、VGA端子が多くのノートパソコンに備わっているので、そこに接続をすることになる。ただ、一般のディスプレイならまだしも、プレゼンテーション用のプロジェクターだと勝手が違うというか、ちゃんとつないでいるのに映像が出ないなどのトラブルは時々経験する。いちおう、そういう状況では業者の人がついているはずだが、使用する機種とMac OS Xを使うことは、しっかり伝達しておこう。もっとも、Mac OS Xは保証しませんとあっさり言われたこともあるのだが…。だけど、業者の人は、いろいろな接続コネクタを持っているみたいなので、とにかくなんとかしてくれるようにお願いするしかないというところだ。 Mac OS 9の基本的なプレゼンの手順は、まずディスプレイを閉じてスリープにしてから、外部ディスプレイ端子にケーブルを接続し、そしてディスプレイを開いてスリープを解除する。すると、プロジェクターの画面が第2の画面となるので、必要ならミラーリングの設定を、コントロールバーを使って行うというものだ。ところが、Mac OS Xではこの手順は通用しない。スリープして接続して解除をしても、外部ディスプレイにMac OS Xの画面が出てくることはない。 いろいろやってみたのだが、外部ディスプレイに映像を出すには、再起動しかないようだ。つまり、最初から外部ディスプレイ端子にケーブルをつないだ状態で、Mac OS Xを起動するのである。そうすれば、液晶ディスプレイとそれに連続した領域として、外部ディスプレイ側を利用できるようになるのである。いずれにしても、ステージでセッティングをして、再起動をしないといけない。再起動からプレゼンテーションに持ち込めるようにきちんと準備をするのはもちろん、その時間も考慮して準備にかかる必要がある。
次に「調整」のタブをチェックしよう。このタブはメインスクリーン側のウインドウにだけある。ここでは、2つのスクリーンの位置関係などを設定できる。左右を入れ替えたり、上下に並べてみたりなどということができる。つまり、実際のスクリーンの並び状態に合わせて、画面領域を確保するようにできるのだ。スクリーンの位置関係を変更したいときには、青いボックスをドラッグすればよい。ドラッグ後、すぐに設定は反映されるのはMac OS 9のときと変わらない。ただ、いろいろ動かすと、しばらく操作できない状態になって待たされたこともあった。そうなった場合にはちょっと待ってみよう。 青いボックスにある白いバーは、メニューバーを示している。このメニューバーがある方がメインのスクリーンとなる。メニューバーをドラッグして、別のスクリーンに移動させると、そちらがメインになり、メニューバーやDockの出るディスプレイを切り替えることができる。
◇「ディスプレイ」の「調整」のタブの設定
「調整」タブには「ミラーリング開始」というチェックボックスがある。上記の図ではグレーになって設定ができないが、ミラーリングを行うには2つのスクリーンの解像度を同一にしなければならない。Mac OS 9ではミラーリングを行うと、強制的に解像度を揃えたが、Mac OS Xではそういうことはしないで、利用者が自分で設定を合わせてやらないといけない。ちなみに、ウインドウ上にいろいろ説明があるのはいいのだが、解像度を揃えないとミラーリングできないこともついでなら書いておけばいいのにと思ってしまう。
◇解像度を合わせるとミラーリングができる
Mac OS 9にあってMac OS Xにない機能としては、ディスプレイの設定のときに、ディスプレイに大きく「1」「2」などと番号を出す機能がある。まあ、それなりに便利なのだが、なくても大して差しつかえはない機能だと思う。また、解像度を設定するウインドウをメインスクリーンに集めるというメニュー項目が「モニタ」コントロールパネルにあったが、Mac OS Xでは相当する機能はない。これも、あったら使うかも知れないが、せいぜい2つのディスプレイくらいしか使わないのならさして便利な機能とも言えないかもしれない。いずれにしても、Mac OS Xではシンプルになったと言えるだろう。