タイトルMac OS X 10.1が2001年9月にリリース、欠けていた機能が概ね埋まり完成度を上げるカテゴリー周辺機器, ユーザインタフェース, Mac OS X
作成日2001/7/19 12:45:28作成者新居雅行
Mac OS Xのバージョンが2001年9月にVer.10.1となる。3月に発売されてから、10.0.1〜10.0.4まで小刻みにバージョンアップを繰り返し性能を向上させてきたが、発売後半年で比較的大きなバージョンアップを行うことになった。Macworldの基調講演ではフリーアップデートとしていたので、おそらくオンラインでのアップデートは無償で提供されてるものと思われる。また、$129のパッケージも10.1が含まれたものとなる。現在のMac OS X 10.0ユーザーに対しては$19.95でアップデートCD-ROMが提供される予定だ(日本での価格等については未定である)。

まず、Ver.10.1の大きな違いはパフォーマンスが向上したことである。アプリケーションの起動は、2〜3倍高速になるとしている。また、Finderのウインドウのサイズ変更でのレスポンスも良くなっている。また、Dockにウインドウをしまい込む時のアニメーション(ジニーエフェクト)を行わないようにできる模様だ。また、NVIDIA GeForce3カードのネイティブ機能を利用することでOpenGLも20%の高速化を実現している。
DVDのプレイヤソフトがやっと組み込まれる。また、DVD-Rドライブが必要になるなど動作環境は限られるが、DVDオーサリングツールのiDVD2がリリースされ、これはMac OS X 10.1が稼動環境となる。また、Mac OS 9でのDisc Burnerの機能も10.1で組み込まれる。Finderの操作だけでCD-RWドライブを利用して、ディスクの書き込みができるようになるということだ。いずれにしても、オーサリング関連機能をこれでやっとフルサポート(Mac OS 9と同等のサポート)ということになるだろう。
なお、iDVD2についても発表されているが、入手方法については明示されていない。現在のiDVDはSuperDrive搭載のPower Mac G4にバンドルされているだけである。既存のiDVDユーザは$19.95でアップデートできるとしている。iDVD2はサードパーティのDVD-Rドライブをサポートすることから、パフォーマンス上の問題はあるかもしれないが、Power Mac G4のSuperDrive搭載機以外での利用も視野に入っているのかも知れない。以下のニュースリリースから、対応ドライブのページへのリンクがある。しかしながら、今現在はAppleStore等でiDVD2は販売商品に含まれてはいない。

AppleScriptのサポートも強化されるとしているが、まずはきちんと動くというレベルを確保されていることは大きく期待をしたい。そして、PrintCenter、Internet Connect、TerminalでAppleScriptがサポートされるとしている。また、SOAPやXMLをサポートすることにより、インターネットを通じた別のマシンとのやりとりについても最近の手法が利用できる。相互接続性については未知ではあるが、他のOSが稼動しているシステムと、AppleScriptのシステムをSOAPベースで連動できるとすると、システム構築の幅が広がることは確かだろう。

ネットワーク関連では、AirMacによるネットワーク利用は10.0でも実現していたが、10.1ではセットアップアシスタントや、管理ユーティリティも対応する。AirMacにフル対応ということが言えるだろう。
そして、AppleShareクライアント機能がTCP/IPだけではなく、AppleTalkにも対応する。これは古いAppleShareサーバや、Windows NT ServerのMac向けサービスに対応するものである。また、Windowsネットワークのクライアント機能も組み込まれるので、WindowsサーバでMac向けのサービスを組み込まなくてもファイル共有ができる他、Sambaが稼動しているサーバに対して接続もできる。もともと、NFSも組み込まれているので、メジャーなファイル共有サーバに対しては標準でほとんどサポートするということになるだろう(対応していないのはNetWareくらいか)。
iDiskについては、アイコンがFinderのウインドウのツールバーにデフォルトで組み込まれる。また、接続プロトコルはWebDAVとなる(現在はAppleShare IPだと思われる)。WebDAVはHTTPプロトコルだけを使ってファイル共有のような作業が可能であるため、ファイアウォール内でも比較的利用しやすい。また、HTTPは継続セッションを要求しないために、必要なときにだけ接続するといった形式になり、接続のタイムアウトというのは発生しないため、より使い勝手が高まると言えるだろう。
Internet Explorerは5.1の模様だが正式版になるのかもしれない。Javaのサポートを完全に行うとしているが、アプレットの稼動が安定して行えるようになるのではないかと思われる。

Finderの使い勝手も向上している。コラム表示の場合、長いファイル名が表示しきれないという問題があったが、コラムの幅を変更できるようになったので、長いファイル名のあるフォルダはコラム幅を広げるということで対処できるようになった。また、アイコン表示のとき、長いファイル名は複数行に渡って名前を表示し、名前を省略しないでも表示できるようになっている。また、ファイルの拡張子を表示するかどうかといったオプションも増えているようだ。
システム環境設定のウインドウデザインも変更される。現在は単にアイコンが並ぶだけだが、機能別に分類されるため、使い勝手も良くなるだろう。最近使った項目の数の設定やフォントスムージングのオン/オフ、アプリケーションフォントの大きさ、サウンド出力ごとの設定が可能になるなど、設定範囲も広がっている。
AirMacの状態やディスプレイの設定といった機能はDock Lingに用意されていたが、10.1では、メニューバーの右側にアイコンが用意され、これらの設定を手軽に行えるようになった。また、サウンドの音量を変更するアイコンも追加される。
Dockのカスタマイズもできるようになり、画面の下だけでなく、右あるいは左にも置くことができるようになった。サードパーティーのユーティリティにあるような機能が標準機能になったと言えるだろう。

他には、プリンタの対応機種を増やすなど、周辺機器の対応も増えている。
パフォーマンスの向上がどの程度のものなのかは使ってみないと分からないが、パフォーマンス、そしてDVD再生といった明白に欠けていた機能がやっと揃った。「先進の」と形容されるOSではあるが、Mac OS 9にできてMac OS Xではできないことがあるというのでは説得力も低いだろう。しかしながら、10.1には明白な欠けた機能はもはや存在しないと言っていいかもしれない(ただし、携帯電話対応などサードパーティまかせの部分については対応待ちとなってしまうが…)。さらに、ユーザインタフェースの細かい点を改良するなど、使い込むユーザにとっての使い勝手を向上させる改良も目立ち、やはり大きな進化を感じさせるバージョンアップだ。早く手に入れたいと思ってしまう。

◇The world’s most advanced operating system gets better.
 http://www.apple.com/macosx/newversion/

◇アップル、次バージョンのMac OS Xをプレビュー
 http://www.apple.co.jp/news/2001/jul/19macosx.html

◇アップル、Macworld ExpoでMac OS X用のiDVD 2をプレビュー
 http://www.apple.co.jp/news/2001/jul/19idvd.html
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