すでにMac OS Xがリリースされ、もうそろそろ半年だし、Public Betaからは1年近くなる。その間積極的にMac OS Xを使って来て、そろそろこうした使い方よさそうだという線も見えてきた。もちろん、使い方は自由であるし、その意味では個人的な感想に過ぎないと思われるかも知れないが、それも1つのネタだと思って読んでいただければ幸いだし、議論のとっかかりになるのであればそれは望むところでもある。以前に、Finderでのフォルダのナビゲーションについての記事を書いたが、今回はDockにフォーカスしてみよう。
Dockになじめないという声もあるのだが、筆者は個人的にはDock自体は正解だと思っている。まず、アイコンが、そこそこ大きなサイズで並んでいるのが視覚的に優しく分かりやすいと感じる。もちろん、ちょっと優しくない（笑）デザインのアイコンもあるが、雑多で渾沌としている1要素だと思えばそれほど気にならない。そして、マウスでポイントしたときに、白抜きで文字が出るあたりも、なかなかいいと思う。最初から全部の項目に文字が出ていれば、Windowsみたいにけっこううるさい感じがするし、いっぱい並ぶことで結局文字は見えなくなる。ポイントしたものだけ文字が出るというのは、文字というものの特性にも合致したものだ。グラフィックスは全体をざっとみてさがすことができるが、文字はもちろんざっと見ることも可能だけど一般には1文字1文字を目で追うものである。だから、まとめて全部出ている必要は必ずしもないのである。
Dockにはいろいろな仕掛けがある。マウスでポイントしたものの周辺がどーんとでかくなる拡大機能や、あるいはDockをふだんは隠しておいて、マウスを画面下に持っていった時に出てくる自動表示と言ったところだ。設定はアップルメニューや、あるいはシステム環境設定のDockを使えばよい。他には、Dockのアプリケーションと文書の境界線をcontrol+クリックしても、Dock関連の設定を行うメニューが出てくる（さらにこの境界線をドラッグすると、Dockのサイズまで変更できる）。
◇Dock関連の設定を行う方法
拡大機能は当初から受けるデモとして使われていたが、製品版のMac OS Xでは「切」の状態で出荷されている。これによって見やすくなるということは少しくらいは期待できなくはないもの、半分以上は視覚的な愉しみで使われる機能だと入れるだろう。これは好みの問題だと思うが、筆者はやっぱり「切」で使うのがいいと思った。そこまで刺激を求めていないということだろうか。
自動表示は比較的使っている人がいるようだが、筆者は「切」で使っている。Dockは当初思ったよりも意外に邪魔にならないのだ。ただ、これは使っているアプリケーションによるだろう。アプリケーションでウインドウの最大化を行った時、ウインドウのサイズがDockにかからないようなサイズにするかあるいは、ウインドウの右下がDockに隠れてしまうかということで、Dockが邪魔かどうかの境目になる。Mac OS Xというよりも使っているアプリケーションに依存する問題なのである。筆者はあまり最大化とかをしない使い方をしていて、ウインドウの大きさを変更した時は、サイズボックスをドラッグするということが多い。だから、最大化の問題はあまり感じないのかもしれない。
ところで、Mac OS X 10.1になると、Dockの位置は左右下の任意の位置に移動できる。それはそれで歓迎できる機能だ。PowerBook G4を使っているせいか、やっぱり右に持っていきたいと常々思っていた。ただ、このとき、自動表示の機能をオンにしていた場合、Dockを使いたくなった時、Dockの本来の位置を覚えておかないとあっちこっちマウスを動かすことになる。まあ、個人の設定だからそれくらいは覚えているのが一般的だろうけど、急に人のマシンを使うことになった時には、たとえば左にあって非表示になっていたら戸惑うかも知れない。
Dockへの項目の登録は簡単だし、削除も簡単だ。Finderのウインドウからアイコンをドラッグ&ドロップすれば登録できるし、登録したアイコンをDockの外にドラッグすれば消すことができる。ただ、この手のドラッグ&ドロップ操作は知っていないと手も足も出ないだけに、ユーザインタフェース的な善し悪しの議論は難しい。ただ知ってしまうと快適だし、削除する時の蒸発するようなアニメーションはなかなか面白いし、分かりやすいという面がある。もちろん、Dockに登録した�▲廛螢院璽轡腑鵑�消えるわけでなくDockへの登録が消されるだけであることは知っておかないといけない。あと、起動しているアプリケーションのアイコンの場合は消すことはできるのだが、アイコンは終了するまでDockに残るため、アニメーションは見られない。
◇Dockから消す時のアニメーションも楽しませてくれる
アプリケーションの登録に関しては、常にFinderからのドラッグ&ドロップだけではない。起動してから、このアプリケーションはDockから使いたいと思った時には、Dock内のアイコンを少しの間クリックしたままにすれば、メニュー、いわゆるDocklingがポップアップする。そこにある「Dockに保存する」を選択すると、Dockに登録される。
また、起動しているアプリケーションで表示されるDocklingでは、基本的には開いているウインドウがメニュー項目として一覧される。そのウインドウ名の項目を選択すれば、そのウインドウをいきなりアクティブにすることができる。だからアプリケーションを呼び出して、いちいち「ウィンドウ」メニューから選択するなどのことをしなくても、要はMac OS Xで開いているウインドウはほぼすべてがDockから一発で呼び出せることになる。
◇DockにあるFinderのメニューはFinderで開いているウインドウの一覧になる
こうして便利なDocklingであるなのであるが、残念ながらデベロッパにとって使いやすい機能ではない。まず、開いているウインドウがDocklingのメニュー項目に自動的に設定される機能は、何もしなくても、Carbon、Java、Cocoaいずれのフレームワークを使っても実現できる。ところが、アプリケーションが独自にメニュー項目を入れたいと思っても、そのやり方が明確には公開されておらず恐らく多くの方がStepwise.comで公開された手法で実現しているだろう。それによるとCocoaでの組み込みはそれほど難しいものでもないようだが、CarbonやJavaでの組み込みがなされたところを見たことがない。iTunesはCarbonアプリケーションであるようだが、iTunesとは別に「iTunesコントロール」としてDockling専用コンポーネントが組み込まれることからもCarbonから利用は現状ではできないのかもしれない。情報公開も含めて10.1での進展を大いに願いたい部分でもある。
（続く）