タイトル大津真=XはUNIXでサーバで》UNIX用ソフトウエアのインストール法(3)カテゴリーインターネット全般, UNIX, 大津真=XはUNIXでサーバで
作成日2001/8/24 18:1:48作成者新居雅行
実行結果を見て問題なさそうだったら、今度は「-n」オプションを付けずに「make install <return>」を実行します。ホームディレクトリの下のmyLocalディレクトリにインストールする場合、myLocalディレクトリは自動的に作成されるので、あらかじめ作っておく必要はありません。

% make install <return>
( cd ncftp ; make "CC=cc" "CFLAGS=-D_LARGEFILE64_SOURCE -g -O2 -Wno-format-y2k" )
Done making NcFTP.
〈中略〉
/Users/o2/myLocal/bin:
-rwxr-xr-x 1 o2 staff 209872 Aug 21 22:14 ncftp
-rwxr-xr-x 1 o2 staff 123312 Aug 21 22:14 ncftpbatch
-rwxr-xr-x 1 o2 staff 140332 Aug 21 22:14 ncftpbookmarks
-rwxr-xr-x 1 o2 staff 135624 Aug 21 22:14 ncftpget
-rwxr-xr-x 1 o2 staff 470052 Aug 21 22:14 ncftpls
-rwxr-xr-x 1 o2 staff 135624 Aug 21 22:14 ncftpput

Done installing NcFTP.

なお、デフォルトの「/usr/local」ディレクトリにインストールする場合にはroot権限が必要ですのでsudoコマンドを使用して

% sudo make install <return>

として下さい。

以上でインストールは完了です。次に、NcFTPを実行してみましょう。ホームディレクトリの下の「myLocal」をconfigureのprefixオプションでインストール先に指定した場合、「~/myLocal/bin/ncftp <return>」で起動できます。するとNcFTPのプロンプト「ncftp>」が表示されるので「help <return>」を入力すると使用可能なコマンドの一覧が表示されます。

% ~/myLocal/bin/ncftp <return>
NcFTP 3.0.3 (April 15, 2001) by Mike Gleason (ncftp@ncftp.com).
ncftp> help
Commands may be abbreviated. ‘help showall’ shows hidden and unsupported
commands. ‘help <command>’ gives a brief description of <command>.

ascii cat help lpage open quote site
bgget cd jobs lpwd page rename type
bgput chmod lcd lrename pdir rhelp umask
bgstart close lchmod lrm pls rm version
binary debug lls lrmdir put rmdir
bookmark dir lmkdir ls pwd set
bookmarks get lookup mkdir quit show

「help コマンド名 <return>」とするとNcFTPのコマンドの説明と、使用例が表示されます。

ncftp> help get
get: fetches files from the remote host.
Usage: get [-flags] file1 [file2...]
Flags:
-R : Recursive. Useful for fetching whole directories.
-z : Get the remote file X, and name it to Y.
-a : Get files using ASCII mode.
-A : Append entire remote file to the local file.
-f : Force overwrite (do not try to auto-resume transfers).
Examples:
get README
get README.*
get "**Name with stars and spaces in it**"
get -R new-files-directory
get -z WIN.INI ~/junk/windows-init-file

――――オンラインマニュアルを見るには
UNIXプログラムの多くはオンラインマニュアルが用意され「man コマンド名 <return>」で画面に表示できます。ただし、NcFTPの場合、単に「man ncftp <return>」とすると古い方のNcFTPのマニュアルが表示されてしまうので注意してください。
ホームディレクトリの下の「myLocal」をconfigureのprefixオプションでインストール先に指定した場合、~/myLocal/man/にマニュアルがインストールされます。そのため、manコマンドの「-m」オプションで、マニュアルのパスを指定して、

% man -m ~/myLocal/man/ ncftp <return>

とすることで、新たにインストールした方のNcFTPのマニュアルが表示されます。

――――コマンドパスを追加する
起動するのにいちいち「~/myLocal/bin/ncftp <return>」を実行するのは面倒ですね。また、単に「ncftp <return>」とするとMac OS Xに最初からインストールされている古い方のncftpが起動してしまいます。「ncftp <return>」で、新たにインストールした方のNcFTPが起動するようにするには環境変数PATHを設定します。コマンドインタプリタであるシェルは、環境変数PATHで指定されたディレクトリを順に検索してコマンドを探します。したがって「~/myLocal/bin」を環境変数PATHの最初にいれておけばいいわけです。
そのためには、シェル(tcsh)の起動スクリプトである「~/.tcsh」を開いて(なければ作成して)次のような行を加えておきます。

setenv PATH "${HOME}/myLocal/bin:${PATH}"

――――最後に
さて、NcFTPの場合はすんなりインストールできましたが、ものによっては「configureでこける」あるいは「makeでこける」といったことも少なくなりません。そんな場合も、あきらめずに、Internetを最大限に活用して、はやりのGoogleなどで検索したりBBSで訪ねてみると解決の糸口がつかめる場合もあることでしょう。ちなみに筆者は、MacOSX.com(http://www.macosx.ocm)のフォーラムなんぞをよくのぞいています。それでは次回まで、さよおなら。
[大津真]

[UNIX基礎知識]
■■シェル(Shell) ユーザとカーネル(UNIXの中心部分)の橋渡しをするプログラム。ユーザがTerminalで打ち込んだコマンドはシェルにより解釈されカーネルに伝えられる。シェルにはさまざまな種類があるがMac OS Xではtcshがデフォルトのシェルになっていて、Terminalのウィンドウを開いた段階でtcshが起動している。

■■ホームディレクトリ
文字通りユーザのホームとなるディレクトリ。Terminalのウインドウを開くと自動的にホームディレクトリに移動する。パスは「/Users/ユーザ名」。コマンドラインではチルダ「~」で指定できる。Finder上では「ホーム」ボタンをクリックして移動する。

■■環境変数
シェルの環境を設定する変数。ホームディレクトリを表す「HOME」、コマンドの検索パスを示す「PATH」などがある。printenvコマンドで一覧を表示できる

■■一般ユーザとスーパーユーザ
UNIXのユーザはスーパーユーザ(root)と一般ユーザに分けられる。スーパーユーザはその名の通りなんでもできるユーザ。システムにダメージを与える可能性があるコマンドは一般ユーザには実行できないようになっている。Mac OS Xの初期設定ではスーパーユーザとしてログインできないため、rootにしか許されないコマンドを実行するにはsudoコマンドを使用する。

■■lsコマンド
指定したディレクトリの一覧を表示する。引数を指定しない場合にはカレントディレクトリの内容が表示される。詳細を表示する「-l」、隠しファイルを表示する「-a」など多くのオプションが用意されている。

■■cdコマンド
ディレクトリを移動する。

■■mkdirコマンド
ディレクトリを作成する。

■■manコマンド
「man コマンド名 <return>」でUNIXコマンドのオンラインマニュアルを表示する。マニュアルはページャという種類のプログラムを使用して表示される。Spaceキー、Bキーで前後のページに移動できる。終了するにはQキーを押す。

■■sudoコマンド
root(スーパーユーザ)にしか許されていないコマンドを実行する。パスワードの入力が必要。

■■Terminal上で動作するエディタ
Terminal上で動作するエディタとして、emacs、vi、picoといったものがあらかじめインストールされている。いずれも日本語は通らない。初心者がマニュアルなしですぐに使い始められるのはpicoだが、emacsとviはUNIXのエディタの定番中の定番。特にviはほとんどのUNIXマシンにインストールされているので基本操作だけでもマスターしておくと便利。
関連リンク