タイトルエディロールの新製品はMac OS 8/9のみ対応だが、Mac OS X対応も近いか?カテゴリーMac OS X, 周辺機器
作成日2001/9/7 17:0:7作成者新居雅行
ローランドの関連会社で、コンピュータ音楽やあるいはサウンド関連周辺機器を手掛けるエディロールは、2001年9月6日に新製品に関する内覧会を開催した。その内容については、ニュースサイト等ですでに公開されている通りである。MDOnlineでは発行タイミングの都合で1日遅れてしまったので、違う角度から記事をお届けしよう。

◇エディロール,GM2搭載した「Studio Canvas」を発表
 http://www.zdnet.co.jp/macwire/0109/06/n_edirol.html

現在の音楽系周辺機器としては、USB接続によるMIDI音源やMIDIインタフェースに加え、USBを経由したサウンド入出力機能(オーディオインタフェース機能)もある。単に音を鳴らすのなら直接スピーカをつなぐくらいだが、やはりこうした装置を必要とするのは音楽制作や映像関連などいずれにしてもクリエイティブ分野のユーザであり、そうしたユーザに対するニーズに応える必要がある。今回の新製品発表で何度も出てきたこととして、サウンドのクオリティや遅延の少なさといったオーディオ部分の性能の高さを実現したという点である。
まず、」MIDI音源とオーディオを1つのパックにした「Studio Canvas SD-90」は注目の製品だ。こうしたMIDI+サウンドを実現したものはSC-D70などすでに存在しているが、これまでのSound Canvasとしていたシリーズを新たに「スタジオ」と名付けたように、スタジオワークを意識したクオリティの高いサウンドを、1台のボックスで実現してしまおうというものだ。SD-90はSC-8850などよりもMIDI音源のクオリティも高いもので、9万円台前半の予想価格となっており、2001年11月に発売予定となっている。なお、サウンドとMIDIの両方の編集機能を備えたSonarというアプリケーションをバンドルしたモデル「ソナー・デジタル・スタジオ」もあるが、Sonar自体はWindowsのみ対応となっている。MacintoshではASIO 2.0に対応した、Cubase VSTやLogic等での利用を推奨することになるが、ソフトウエアとのパッケージ製品については予定はない。
オーディオインタフェースの新製品「UA-5」はファンタム電源が供給可能なXLRマイク端子を始め、極めて多彩なオーディオ端子を備えている。オプティカルや通常の端子に加え、ギターの直接入力が可能なハイインピーダンスモードも備える。高性能なコンデンサマイクの価格も低下したため、そうした機器の接続の需要が高まっていることへの対応である。サンプリングも24ビット、96kHzに対応している。実勢価格は33000円前後と予想している。一方、アナログのピンジャックによる入出力だけの「UA-1A」モデル、オプティカルとコアキシャルのデジタル入出力だけの「UA-1D」モデルといった単機能のインタフェースも発表された。それぞれ、8000円、10000円の実勢価格が予想されている。さらに、PCIカードと組み合わせて使う8つの入出力を持つインタフェースの「AD-2496」(実勢価格は75000円を予想)も発表されている。
USBのMIDIインタフェースとしては、すでにアダプタ部分からMIDIケーブルが出ているタイプが発売されているが、アダプタ部分にMIDIコネクタがある「UM-1S」が発表された。価格は4000円前後と予想されている。また、8チャンネルのMIDI入出力を持つ「UM-880」(実勢価格は35000円を予想)も発表された。

いずれも、Macintosh対応はしているものの、今回の発表では、Mac OS 8/9のみである。サウンド関連についてはSound Managerを使うものにはすべて対応しているが、実際には音楽ソフトと利用することが多いと思われるので、ポイントとなるのはASIO対応であるかどうかという点になるだろう。いずれにしても、基本的な利用はOSのドライバを使うということになる。
Mac OS X対応については、現段階では言えないということであるが、近々、なんらかのアナウンスできればという話を会場で聞くことができた。Mac OS XではCore Audioとして、Real Time UNIXのテクノロジーを含めた高機能な基本システムは組み込まれている。しかしながら、肝心の周辺機器とのドライバに対応するものがほとんどない状態である。もちろん、対応アプリケーションは一部のサウンド系のものだけで、MIDIにいたってはほとんどない。たとえば、Mac OS XにはMIDIの入出力の基本的なフレームワークは存在するが、基本的なUSBのMIDIインタフェースに対応するドライバは含まれていない。オーディオについても、おそらく汎用的なドライバはまだ組み込まれていないものと思われる(Sound Stick等は利用できるが)。エディロールの一連の製品は、ハイエンドのプロフェッショナル向けというよりも、どちらかといえばアマチュアを中心にした市場の広い層を狙った製品であり、特殊な機能をソフトウエアで実現する以前に、手軽にパソコンに接続可能なところははずせないポイントだろう。そうなると、OSが用意する標準ドライバでの利用がまず第一歩となる。言い換えれば、AppleがMac OS Xの出荷状態で、エディロールのこれらの製品に関してなにもしないで基本的な利用ができることを想定するものと思われる。
その意味では、今回の新製品などをエディロールよりAppleに実際に提供し、OSによるサポートを実現するためのアピールはしているという話である。Appleで、これらエディロール製品を実際のテスト等に使って基本的な利用が可能なようになっていれば、エディロールとしてはしめたものだろう。もちろん、汎用MIDIドライバやサウンドドライバが稼動するのであれば、エディロール製品に限らず利用ができ、多くのユーザがMac OS Xでのサウンド利用が一気に広がることが可能性として考えられる。サウンドおよびMIDIシーケンスの統合ソフトLogicなどのEmagic製品も、Mac OS Xに対応して2001年9月に発売予定となっている。Logicなどのハイエンドソフトの場合には、サウンド、MIDIともにより高度な利用が必要になり、Mac OS Xのフレームワークとの兼ね合いをどうするのかといった話題にも興味があるところであるが、いずれにしても、MIDIやオーディオ関連に対するMac OS Xの進展は、もしかするとVer.10.1で動きが出そうな気配も感じられる。
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