タイトル | 森下克徳の崖っぷちからWebObjects》第19回 MySQLでコミュニティサイトを作るv3 | カテゴリー | データベース, 崖っぷちからWebObjects |
作成日 | 2001/10/23 18:41:0 | 作成者 | 新居雅行 |
前回から今回までの間に、MySQLの世界ではちょっと大きな変化があった。それはまだ、すべてのユーザーに影響するほどのものではないが、将来に向かってMySQLの飛躍が見込まれる変化なのだ。 ここでちょっと、本家MySQLのWebサイトをのぞいてみよう。 ◇MySQL http://www.mysql.com/ すると、「MySQL 4.0 is here!」と感嘆符付きの見出しが目に入るだろう。2001年10月15日づけで、新しいバージョンがリリースされたのだ。MySQL4というのがその新しいバージョンで、今までのMySQL3から始まるバージョンとは大きな相違がある。 以前少しだけ紹介したが、もう1度MySQLのバージョンの付け方についておさらいしてみよう。MySQLの後は、「3.23.43」というように、3つの数字がついている。そしてこの後には、-alphaというように、サフィックスと呼ばれる表記がつけられているものもある。1番最初の数字が、ファイルシステムの変更など、MySQLの基本的な構成にかかわる変化を表している。今回この数字が3から4に変わったということは、前記したようにちょっと大きな変化だということが分かるというわけだ。 2ケタ目の数字は、その基本的な構成の中での、成長の度合いを表しているとでも言えばいいだろうか。この2ケタ目の数字が変化したら、基本的な構造を変えない範囲内で、何か機能が追加されたり、使い勝手が良くなったりしていると思えばよい。あまり目立たない部分で、前バージョンと多少非互換の変化がある場合もある。 3ケタ目の数字は、機能的な変化を表している数字ではない。2ケタ目の範囲内での熟成の度合いを表しているのである。たいていは新しい機能を追加すると、何か新しい不具合に見舞われるものだ。それは追加した機能そのものに関するものだったり、あるいは今までの機能とのあいだでの行き違いだったりする。そのような不具合や、あるいはセキュリティ上の問題などが発見された場合、少しずつ改善され、その都度3ケタ目の数字が大きくなって行くのだ。この成長は結構頻繁に行われる。MySQLサイトにあるドキュメントによると、1〜8週間ごとに更新されると言うことになっているが、これは定期的に更新されるというのではなく、その状況によってリリースされる時期はまちまちだ。記憶をたどると、2〜3日で新しくなったときもあったような 気がする。 このような仕組みだと、2ケタ目の数字が変わった直後は、どこかに不具合があるかも知れない。3ケタ目が少し大きな数字になると、それよりも安定していく。さらに上がるとほぼ問題は見つからないと言うわけだ。3ケタの数字の後につくalpha、beta、gammaという表記は、その成熟具合を示すものだ。 2ケタ目の新バージョンがリリースされた直後は、alphaとついている。普通のソフトウェアの感覚では、alpha版と言えばまだまだ荒削りというところだろう。しかしMySQLの場合、これが公開される前には充分なテストがくり返されていて、既知の不具合が含まれたまま公開されると言うことはないので、普通は致命的な不具合はないはずだ。それでも、公開後さまざまな環境で多くの人が利用すると、テスト段階では見つけられなかった不具合が見つかったり、やはりコマンドの変更をした方がよいと言う点が出て来たりするもので、alphaの段階とはそういう状態を示している。 alphaの段階で少なくとも一ヶ月程度不具合の報告がなく、かつコマンドなどの構成もかためられると、betaに置き換わる。そしてそのまま不具合が見つからずにしばらく経過すると、gammaだ。実はこのgammaは、多くの他のソフトウェアにおいては、リリースバージョンとして世に送り出される状態に相当する。MySQLでは、念には念を入れて、gammaとつけられているのだ。さらにそれからしばらく安定した状態が維持されると、最後にこれらの表記がなくなり、stableと呼ばれる安定版とされる。 現在この安定版は、MySQL3.23.43だ。MySQL4のシリーズが始まったとは言え、実はまだまだ3.23系列でもメンテナンスは続けられている。何か細かい不具合などが発見された場合などにはちゃんと対処されて、3ケタ目が一つ進んだバージョンがあらわれるのだ。多くのソフトウェアでは新しいバージョンがリリースされると、古いバージョンはもはや過去のものとして扱われることが多いが、MySQLでは、一つ前の系列までは面倒を見続けてくれるので、安心して使うことができるのである。 とまあ、バージョンについての解説は以上の通りだ。それで、今回使ってみるバージョンであるが、なんといっても初心者である私たちとしては、3.23.43を使ってみようと思う。4.0.0をダウンロードし、不具合を見つけてMySQLコミュニティに貢献するのもよいが、そもそも若葉マークの状態では、自分の間違いなのか不具合なのか(そもそもどこがどうやら・・・:-)わからないわけで、まずは3.23.43で、MySQLに触れてみようと言うことだ。 それではMySQLのサイトから、ダウンロードをしてみよう。最初に断っておくが、今回ダウンロードしたものは、MySQLの勉強用に使うつもりだ。本当なら、MySQL用のユーザやグループを用意するところだが、まずは普段Mac OS X (Server)を利用しているユーザで進めて行こう。なお、筆者の環境は現在Mac OS X Server 10.0.4で、しかもServerとしてはサポート外のPowerBookG3/266なので細かいところで違う点が出てくるかも知れないが、その点はご了解願いたい。 Mac OS Xでダウンロードするには、普通にInternet ExplorerでMySQLのソースをダウンロードすればよい。なお、MySQLのサイトでは、3.23.43をMac OS X Server 1.X用にコンパイルしたものと、Mac OS X 10.0.X用にコンパイルしたものを配布しているが、今回これは使わないつもりだ。 ◇MySQLのソース http://www.mysql.com/Downloads/MySQL-3.23/mysql-3.23.43.tar.gz ◇Mac OS X向けのMySQL http://www.mysql.com/downloads/mysql-3.23.html 次回は、ダウンロードしたところから解説しよう。 [森下克徳] | |
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