タイトル | e-ラーニングやストリーミングなどをより効果的にできるコンテンツを開発・配信するLiShell(1) | カテゴリー | データベース, メディア制作, サービス |
作成日 | 2001/10/25 16:35:2 | 作成者 | 新居雅行 |
2001年10月25日、リクロスは「LiShell」(リシェルと発音)を発表し、e-ラーニングやインターネット放送などに対応した開発環境の提供およびホスティングサービスを開始した。TributeWorks社の開発ツールiShellをベースにしたサービスである。iShellはオーサリングツールとして知られているが、その機能をベースに、インターネットでのコンテンツ配信を効率的に行うような開発・配信のための仕組みを提供するのがLiShellである。LiShellのエディタでコンテンツを作り、それをサーバに登録する。そして、WindowsあるいはMac OSに対応したLiShell Playerをインストールしておけば、たとえばそのコンテンツをWebサイトからクリックしてダウンロードし、パソコン上で参照できる。ブラウザ内のコンテンツでないために、全画面表示などの機能も利用できる。一方、ムービーやサウンドなどの大きな素材は標準的なストリーミングの機能を使って配信するなど、単にコンテンツをダウンロードするのではなく、インターネットの今後の標準機能とうまくマッチした作りとなっている。また、コンテンツは、テンプレートと素材が別々のファイルになっており、その意味では効率の高い開発環境であるとも言える。テンプレートで使っているテキストファイルの内容を書き直すだけで、別のコンテンツが作れ、コンテンツ制作で開発ツールを駆使するという必要はない。また、ムービー担当、テキスト担当などと素材ごとに分業したワークフローも可能だろう。e-ラーニングのコンテンツ作成などでの需要を見込んでいる。さらに手軽にコンテンツ配信が可能なように、リクロス自身がホスティングサービスを提供する。以下はプレス発表の内容に合わせて、LiShellの詳細を紹介しよう。 まずは、代表取締役の奥田哲也氏からの話から始まった。リクロスは携帯電話販売を当初から行ってきたが、3年前から法人向け営業を強化し、電話からさまざまな情報端末を扱ってソリューション提供を行うという方向性を持つようになってきた。ブロードバンドの発展で、動画やサウンドが扱えるようになり、テレビと同じようなストーリー性を持ったコンテンツ作成が必要になる。その中で、自由度の高いツールが必要と考え開発したものがLiShellである。初年度はLiShell関連事業で8億円の売り上げを目指している。 続いて、トライブワークス・ジャパンのマイケル・S・パトリック氏からの話に移った。LiShellの開発元がTribeWorksで販売がリクロスとなっている。iShellをベースにし、リクロスからの要望を取り入れてLiShellとして作り上げた。新しく加わった機能をベースに、日本だけでなく世界に向けて販売したいとした。 続いてリクロスの取締役副社長の内田耕市氏より製品内容を含めた技術的な話が行われた。まずはデモから行われた。ムービーで講師が出てきて話を始めるとともに、黒板に書くようなテキストを並列に表示するようなe-ラーングアプリケーションが紹介された。つまり、ストリーミングに連動して、プレゼンテーション画面やテキストを画面に表示するという技術をLiShellによって実現する。同様なテクノロジーはすでにあるが、LiShellには優位性があるとした。まず、LiShellプレイヤというオリジナルアプリケーションを使っていることから、ブラウザでできないような全画面表示のようなことが可能である。全画面に提示することによって、コンテンツにより集中できるような演出も可能となる。また、音楽を時間軸として、それに連動して、画像やテキストがスクロールするようなデモも示したが、これも全画面を使った効果の高さを示すためのものである。また、LiShellはウインドウのデザインを自由にできるため、特殊な形状のウインドウで動画の広告なども可能となる。ストリーミングでムービーを見ると言うのは、現在はOS付属のプレイヤで新たなウインドウで表示するのが一般的だが、LiShellを使えば全画面を使った専用プレイヤーを作ることができ、同じムービーでも演出が可能となりより効果的に画面に提示することができる。デモとして癒し系のプレゼンテーションとして、静止画と音楽をシンクロさせるものも示された。 LiShellのコンテンツはプレイヤによりWindowsでもMacintoshでも表示できる。ストリーミングは、Windows MediaないしはQuickTimeといったデファクトスタンダードを利用しており、独自技術ではない。つまり、基本的には、MacとWindows向けにムービーは別々に用意するが、コンテンツは1つ用意することで、両方のプラットフォームに対応できるようになる。 開発ツールの効率の高さについて、説明が行われた(開発ツールは「エディタ」と呼んでいる)。コンテンツの素材はそれぞれ独立したムービーやテキストのファイルで用意されている。そのため、コンテンツの修正が容易であり、あるいはコンテンツの中身だけを差し換えるといったことも、たとえばディレクトリの入れ替えだけでできる。こうした修正をしたときにも再コンパイルなどは必要がない。実際に素材ファイルを入れ替えたり、リッチテキストの中身をWordで書き換えるといったデモも行われた。また、時間の流れについても、テキストデータで記載されており、タイミングの変更もメモ帳で変えるといった素材ファイルの変更をいくつか行った。もちろん、変更結果が即座に反映される。結果的にストリーミングの入ったコンテンツの修正が容易にできると説明した。 制作は簡単にできたとしても配信が難しいというのが現実問題として出てくる。ストリーミングはそれぞれサーバを用意しなければならない。結果的に、素材ごとに異なるサーバに登録しなけらばならなくなる。こうした点を解消するため、配信を容易にするサーバについても提供する。サーバにはローカルで開発したディレクトリをそのままにサーバにコピーするだけでメディアごとに必要なサーバ機能を使っての公開ができる。レイアウトについても、エディタで変更でき、即座にコンテンツに反映されることがデモで示された。実際のストリーミングを行っているサーバは別にあるのだが、利用者から見れば1つのディレクトリに素材を入れることで、あとは自動的に適切なサーバによって配信される。さらに、専用FTPソフトを開発しており、11月に完成予定で、これを利用すると簡単にコンテンツ更新ができるようにもなる。 続いて、e-ラーニングのデモを示しながら、LiShellのその他の利点を示した。画面に講師の顔が出ていることは最初は珍しがられたが、今ではもういらないという意見も増えている。最初の何分かだけは講師の顔を出しても、その後は顔は出さないでプレゼンテーション資料を大きくするといった作り方もできる。その場合でも、ムービーの音声だけは流れる…といったつくりもLiShellでは可能となる。また、ストリーミングでは一方通行になりがちであるが、「確認問題」として講義内容の確認テストをインタラクティブに自習できるようなつくりも可能であり、さらにサーバに結果を戻すようなことも可能となっている。つまり、学習の進捗管理と理解度管理といったことも実現できる。さらに高校数学のサンプルが示され、問題が最初に表示され、問題の選択肢が5つある場合、結果に対応したムービーやプレゼンテーションを5つ用意しておいて、それぞれで分岐させるといったことも可能となる。 (続く) | |
関連リンク | LiShell.com |