タイトルWebObjectsの開発に必要な概念からツールの使い方までを丁寧に説明した書籍カテゴリー雑誌、書籍, WebObjects
作成日2001/10/31 16:58:58作成者新居雅行
オーム社から出版された「WebObjectsアプリケーション開発ガイド」は、WebObjectsによるWebアプリケーション開発についての解説を基本からしっかり説明した、学習に適した書籍だ。著者はGeorge Ruzek氏で、テクニカルラボの翻訳、価格は\5,700である。430ページあまりのボリュームだ。WebObjectsの開発効率の高さはAppleからのアピールをはじめ、いろいろなところで目にするところだろう。これの意味するところは、ある程度理解してしまえば、すらすらとアプリケーションが作成できるということである。しかしながら、ごくごく基本的なことや、理解してしまえば簡単なこと…といったものを説明するのは意外に難しいものである。WebObjectsを理解するもっとも基本的なところを非常に丁寧に説明した書籍が「WebObjectsアプリケーション開発ガイド」である。書籍は3部構成にな?ており、基礎、EOFについて、そして高度な話題と進む。基礎の部分では、WebObjectsが動作する仕組みに加えて、モデル作成やナビゲーションといった、データベースアクセスを行う基本的なことについて原理も含めて詳しく説明されている。EOFの使用方法の部分では、表示グループ(DisplayGroup)や検索、継承など、WebObjectsを特徴付けるEOFについての説明が行われている。ここでは概念の説明はもちろんだが、表示グループといった点にフォーカスするなど、理屈に終始するのではなく実際のアプリケーション構築に結びつく話題から入って行っており、その意味でも理解しやすい説明となっている。高度な話題では、さまざまなユーザインタフェースやコンポーネントの再利用、運用の方法などがまとめられている。Webアプリケーションを作成して、運用を行うまでのひととおり経験しなければならない話題が網羅されているのである。
実際に使用しているWebObjectsはWindows版である。解説の主体はVer.4.5ではあるが、Ver.5での違いについても解説は含まれている。基本的な概念はVer.4.5と現行バージョンのVer.5とは大きくは違っていないので、説明自体は決して古い内容ではない。また、実際の説明はWebObjects BuilderとEOModelerの説明がほとんどであるため、Windows版とMac OS X版では共通点の多い開発アプリケーションの説明が中心になっており、Mac OS Xで開発している人でも戸惑うところはほとんどないだろう。説明で利用している言語はJavaである。なお、HTMLベースのアプリケーション開発についてだけが説明されていて、Direct To Webなどの説明はないのであるが、この点についても現実的には問題はないだろう。
WebObjectsを使って開発をしたいが、どこから手をつけていいか分からない人にはお勧めできる書籍である。基本的な概念が丁寧に説明されているのが初心者にとってはありがたいところだろう。一方、ある程度の開発経験がある人にとっても、すべてのテーマについて詳細に知っているというわけでもないかもしれない。そういう人でも、知らなかったテーマを学習したり、あるいは改めて勉強をしなおすという意味でも十分に役に立つ書籍だと言えるだろう。
関連リンクWebObjectsアプリケーション開発ガイド