タイトルAirMacが128ビット暗号化に対応、ベースステーションはEthernetを2ポート装備しブロードバンドISPに対応カテゴリーネットワーク管理, ネットワーク
作成日2001/11/14 18:10:19作成者新居雅行
AirMacがVer.2.0となり、ビット長の長い暗号化の対応や、いわゆる「ブロードバンド対応」を行った。AirMacは、Macintoshでワイアレスネットワークを構築するためのハードウエアとソフトウエアを総称するものである。1999年に出荷が開始された初期のiBookとともに登場し、その後はPowerBookシリーズはもちろん、Power Mac G4やiMacでも利用できるようになっている。転送速度が11Mbpsと、10BASE-T相当の転送速度を確保しながら、ケーブルがなくてもネットワーク接続ができるのが大きなメリットだ。今ではWindowsでも利用できるようになっているが、最初に一般ユーザが手の届く範囲で一連の製品を出荷したのはApple社である。Apple社から提供されているのは、AirMacカードという専用のスロットに接続するPCカードサイズのクライアント用アダプタと、AirMacベースステーションというワイアレスLANのハブに相当する中継機器である。ベースステーションからプロバイダに接続することができ、ワイアレスLAN内の複数のパソコンからインターネット接続を共有するといったことも可能だ。また、ベースステーションのデザインも、宇宙船を思わせるユニークなデザインであることも話題となった。また、AirMacカードを搭載可能な本体は単に接続できるだけでなくアンテナ機能をもとから組み込むなど、効果的にワイアレスLANを利用できる配慮も見のがせない。

今回のアップデートは、AirMacのクライアント用ソフトがVer.2.0になったことと、ベースステーションが新しくなったことだ。従来から販売されているAirMacカードを使っているユーザも、クライアントソフトウエアをVer.2.0にアップデートすることで、新しい機能が利用できるようになる。そのクライアントソフトウエアVer.2.0は、128ビットの暗号化に対応した。これまでは40ビットであったが、セキュリティをより強固にすべきだという声に応えたものだ。ただし、従来版のベースステーションとの接続では40ビットの暗号化にしか対応しない。また、ユーザ認証システムの1つであるRADIUS(Remote Authentication Dial-In User Service)のクライアントのサポートも追加された。従って、これまででは、ネットワークパスワードという共通利用パスワードでの認証しかできなかったのが、個人ごとに割り当てた認証情報をもとにして、ネットワーク接続の許可あるいは不許可の制御ができるようになったということである。また、Cisco社の製品で使われている認証システムのLEAP(Lightweight Extensible Authentication Protocol)対応のクライアント機能もサポートする。AirMacくらいアントソフトウエアのVer.2.0は、Mac OS 9.0.4およびMac OS X 10.1以降で利用でき、従来からのユーザはフリーでダウンロードできる。ソフトウエア・アップデートの機能を利用すると手軽にインターネットからインストールできる。Mac OS X版のソフトウエアの名称は「AirPort」となっている。なお、AOLとの接続の問題を解消したとしており、「America Online Extras for AirPort」というソフトウエアも英語版として配付が開始されている。AirMac Ver.2.0は、Knowledge BaseのページだとAirMacカードだけでなく、Lucent WaveLANないしはOrinoco PC Cardでも利用できると記載されている。

一方、新しくなったAirMacベースステーション(名称の変更がなく、バージョン番号も付けないのでややこしいが、以後は新版のベースステーションのことを示す)であるが、まずはEthernetポートが2つになったことが大きな変化だろう。これまで通り、56kbps対応のモデム端子もある。従って、モデムを通じた電話回線のダイアルアップ接続、Ethernet端子からのケーブルモデムやADSLモデムを通じたブロードバンドプロバイダへの接続もできるようになった(PPPoEやDHCP IDには以前からすでに対応済み)。ただし、相性の問題も可能性としてはあるので、絶対に全てのプロバイダに接続できるとは言えないものの、仕様の上からはほとんどプロバイダに対する接続には利用できるだろう(ただし、プロバイダによってはルータ付きモデムでの接続しかできない場合もあるので、その場合はベースステーションの一方のEthernetしか必要はない)。プロバイダ接続用のEthernetは10BASE-T、内部ネットワーク用のポートは100BASE-Tである。また、1つのベースステーションで50クライアントまでの接続ができるようになった。また、128ビットの暗号化にも対応している。ベースステーションの形状はほぼ同じだが、以前のややダークなカラーから、iBookのようなホワイトのカラーに変化している。

AirMacカードの価格は\12,800と従来と変わらないが、ベースステーションは\34,800円とわずかだが値下げをした。その他の仕様は従来と基本的には変わらず、基本的な規格もIEEE 802.11b対応のものである。新しいベースステーションは2001年12月上旬に出荷予定となる。なお、ファイアウォールの機能があることが説明されているが、これはNAT機能によるものと、ポートマッピングの機能を指しているようであり、この機能は従来のベースステーションでも利用できていたものだが、Ethernetの2つのポートに対してNATによりアクセスが制限されることを示しているものと思われる。
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