タイトルMac OS XのJava 1.4対応は2002年5月にプレビューで8月に正式版(JavaOneレポート)カテゴリーJava, イベント
作成日2001/11/29 16:26:38作成者新居雅行
米国以外の国で初めてのJavaOneが2001年11月28〜30日の日程で、横浜で開催された。JavaOneは、Javaの開発者向けのセミナーを中心としたイベントである。米国で開催されるときには数万の参加者になり、開発者向けのイベントとしては最大級のものだ。96年から開催されているが、Javaがフォーカスするものは年とともに変化しているということも確かである。今現在は、Javaと言えばサーバソリューションと携帯電話である。基調講演でも、J-PhoneやKDDIの担当者が壇上に登場して、新しい携帯電話をアピールするなどが目立った。JavaOneのプラチナスポンサーの6社のうち半分が携帯電話会社であることが、趨勢を物語るだろう。その結果、Mac OS XなどのPC/デスクトップでの話題は全面には出ない結果とはなっているが、セミナーでも関連セッションも用意されており、Java2 Standard EditionベースのJavaも決してなくなったわけではない。

そのJavaOneでは、Mac OS Xに関するセッションも開催された。セッションの内容を示す前に、そこで示された新しい事実をまずはまとめておこう。まずは、Java VMの2002年のロードマップが示された。2002年1月には、Java Ver.1.3.1のアップデート1、5月にはVer.1.3.1アップデート2がリリースされる予定である。さらに、Java 1.4については2月にSunより正式版が公開される予定だが、2002年5月のWWDCではVer.1.4のプレリリース、8月にVer.1.4のGMがリリースされる予定となっている。
さらに、Mac OS XでのJavaの高速化技術についても説明があった。ポイントは、ハードウエアによるグラフィックスのアクセラレーションをSwingで利用できるようにしたことや、Swingのリソース利用をいくつかのアプリケーションで共有化するよな手法が組み込まれており、パフォーマンスの向上を図っているということである。

2001年11月29日にJavaOne内で開催されたセッション「Mac OS XにおけるJava技術:Java 2 Platform Standard Editionをめぐって」の内容は次のようなものであった。まず、Apple ComputerのAlan Samuel氏の話からセミナーは開始された。Mac OS Xの紹介として、UNIXのパワーと、Macのシンプルさを兼ね備えたとして、アピールした。強力なグラフィックス機能として、Quartz、OpenGL、QuickTimeそしてあらゆるフォントをサポートしていると紹介した。Unicodeサポートなどを日本語の文書で示した。そして、キラーアプリケーションを作成できる強力なフレームワークがあるとして、Java、BSD、Carbon、Cocoaの4つを示した(もはや、Classicは示されていない)。Cocoaについては、Objective-CとJavaでのプログラミングができることを紹介した。Javaは6年しか経過していないが、Mac OSの頃からサポートしている。そして、Mac OS Xは、Javaによるアプリケーション開発や利用のナンバーワンのデスクトップを目指す。現在の言語のマインドシェアは、VB, Cobol, C++, Javaの順になっているが、2005年ごろにはJavaは2番目になるだろうとした。そして、Java2 Platformを紹介して、MacがStandard Editionに対応することを示した。Mac OS XでのJava2 SEでは、SwingでAquaのルック&フィールを実現するとともに、Quartz 2Dを統合し、ダブルクリック可能なアプリケーションを作成可能である。また、スピーチやスペルチェック、QuickTimeといったコアのAPIを利用することができる。CocoaのSpelling ServiceをJavaBeansとして利用できることも紹介した。アプレットのサポートも、Internet Explorerで可能である。BorlandのVPによって、“…out-of-the box integration for the Java”と紹介もされている。
Mac OS X 10.1での新しい点としては、Appletタグによるアプレットのサポート、Aqua Swing Look & Feelの向上、Java Web StartやJSSEの統合、デバッグやプロファイリングの改良、パフォーマンスの向上、数多くのバグ修正となっている。
今後のロードマップが示されたが、それは最初に紹介した通りだ。さらにJava2 Pluginサポート、Java 3DやJava Advanced Imaging(JAI) APIについても検討している。さらに、Java2 ME, EEについても調査を行っている。

続いて、Steve Lewallen氏によりデモが行われた。最初に、FinderやDockなどのMac OS Xのルック&フィールを説明したが、これは、Macユーザではない人もいると思われるJavaOne向けの説明だろう。そして、UtilitiesフォルダにあるJava Web Startを紹介した。また、JBuilderを起動してAquaにルック&フィールを切り替えるなどのデモを行った。そして、JBuilderの使い勝手やNewsクライアントのアプリケーションをビルドするなどのデモを行った。Pure Javaのアプリケーションで、アプリケーションメニューで環境設定を利用するところも示された。ユーザインタフェースも、JBuilderのデザイナを使うところを示したが、ボタンをクリックすると、スピーチフレームワークを使って内容を読み上げることや、スペルチェッカ機能を組み込むことについてもデモ行われた。また、Swingの機能を使ってのドラッグ&ドロップが可能だが、ドラッグ中のオブジェクトが透明に表示されるといった機能が実現できていることも紹介された。そして、Java Web Startの機能を使い、Webページからワンクリックでアプリケーションが起動することが示された。

続いて、パフォーマンスの向上を行っていることについて解説が行われた。Shared Swingとして、アプリケーション間でのメディアデータの共有や起動時間の改良、そしてアクセラレートしたSwingといった方針が示された。シェアリングを行うことによって、2つのアプリケーションで使うメモリが30%減少するという結果が出ているという。そして、ハードウエアのアクセラレートを行っているSwingとしては業界初だとした。ハードウエアアクセラレーションにおり55%もの高速化が可能になったと紹介した。デモとしては、写真画像を回転させたり、切り替えたりといったアプリケーションを示した。
さらに開発環境についての解説が行われた。各種のツールや、WebObjects 5について紹介し、JBuilder 6が12月に出荷されることや、ADCメンバーはディスカウントされることも紹介した。また、CodeWarrior Pro7はJava 2をサポートし、RADツールを含むものがすでに出荷されている。Sunとは協力をしているとしてForte等の存在を示し、Install Anywhereについても紹介した。また、JBuilderと統合されたVM Gearなどのパフォーマンスツールについても紹介した。
最後に、Javaのさまざまな標準をサポートするとともに、Mac OS Xで享受できるメリットを並べて示し、Mac OS Xで開発し利用する理由を示した。Javaが最初から組み込まれていること、コアAPIを利用できる、Aquaに対応しハードウエア開く世良レートしたSwing、イエとの統合、マルチプロセッサに対応すること、VM共有の技術を理由として挙げた。

Appleによるセッションは以上の通りだが、JavaOneで開催されたさまざまなセッションは、やはりSun Microsystemsの担当者からのものが多く、Javaの技術面を紹介するものが中心となっている。もちろん、製品レベルでのメーカー担当者による紹介もあるのだが、やはりデスクトップでのJavaの盛り上がりが見られない中では、残念ながら多くの人を集めたセッションにはならなかった点は残念なところだ。Macintoshのプラットフォームでのデベロッパーに対しては、これまでさまざまな機会でJavaやMac OS Xをアピールしてきたが、JavaOneとなると、Macintosh環境とは関係のない開発者に対するアピールとなる。その意味では、Mac OS XのJavaというあまり知られていない世界を効果的に見せたセッションであったことは、今後につながるものとなるだろう。
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