タイトルAppleのJava担当者にインタビュー:日本語システムでの問題は認識しているカテゴリーJava, Cocoa, 業界動向
作成日2001/11/29 20:58:42作成者新居雅行
2001年11月28日から開催されているJavaOneでのセッションに向けて、AppleのWorld Wide Relationsより何人かの担当者が来日しているが、DirectorのRichard Kerris氏と、Java Technology ManagerのAlan Samuel氏がインタビューに応じてくれた。Richard Kerris氏はUNIX/Java/Cocoa担当となっており、Alan Samuel氏はJavaOneでのセッションでプレゼンテーションも行っている。WWDCへ参加している人はお馴染みの顔かもしれない。

◇左がAlan Samuel氏、右がRichard Kerris氏
 

MDOnline新居雅行(以下、M):Mac OS XでJavaをサポートしたいちばん大きなメリットって何でしょうか?
Richard Kerris氏(以下、R):Javaだけでなく、CarbonやCocoaなどいろいろな開発の手法を用意したため、いろいろなタイプのデベロッパーを取り込むことができました。つまり、デベロッパーなら誰でもMac OS X向けの開発ができるような下地を提供できたと言うわけです。
M:Mac OS Xのデベロッパーの数は増えているのですか?
R:1年前にはまだなかった市場だけに今現在の数値はあまり意味はないでしょう。でも、数は毎月、急激に増えています。1年後は、Mac OS XでのCocoaやJavaのプログラマーはもっと増えているでしょうね。
M:Javaが開発者にとってメリットがあることは、今日のセッションでもお話がありましたけど、一般ユーザにとってもメリットがあることなんでしょうか?
Alan Samuel氏(以下、A):もちろんありますけど、一番のメリットは、Javaかどうかを気にしないで一般ユーザが使えるようになっている点がまず挙げられます。JavaのアプリケーションでもAquaですし、ダブルクリックで起動します。つまり、JavaでもMac OS Xの使いやすいというメリットが生きてくるわけです。また、Java Web Startのように、アプリケーションをサーバからダウンロードして実行するという仕組みが使えるのは、Javaの特徴だと言えますね。

――――ハードウエアアクセラレーションはオフだけど…
M:Javaという切り口ではCocoa-JavaとPure Javaがありますが、デベロッパはどちらのフレームワークを使うべきなのでしょうか。
A:それはデベロッパーのニーズ次第です。たとえば、クロスプラットフォーム対応を目指すならPure Java、一方Mac OS Xの機能をふんだんに使いたいとなるとCocoaということになりますね。
R:Cocoaは、新たに参入した開発者が新しいアプリケーションを作ろうとしたときでも、少人数のチームで開発することが可能ですね。RAD機能としても充実しているので、開発効率も高いのです。
M:今回のセッションでは、あまりCocoaは強調されませんでしたけど、やはりJavaOneというMacではないプラットフォームではない人たちに対してアピールする必要があるからですか?
A:もちろん、そうです。
M:WebObjectsはすべてがJavaで構築されていますが、同じようにCocoaのフレームワーク自体をJavaで書き直すことはしないのでしょうか?
R:ユーザの声を聞いて検討したいですね。強い要望があれば考えるというところでしょうか。
M:今日のセッションでは、Swingのハードウエアアクセラレーションをメリットとして強調されていましたけど、Mac OS X 10.1ではデフォルトではオフになっていますね。なぜですか?
A:実は、ハードウエアとソフトウエアを同じ1人のエンジニアが担当しているのです。それで、先にソフトの作業が進みそれがMac OS X 10.1に反映されたわけです。だから、ハードウエア側の開発ももちろんすすめていますが、Mac OS X 10.1のタイミングではデフォルトでオフにして出荷することに決めました。もちろん、デベロッパに対しては危険を承知で試してもらえるようにスイッチはつけておいたので、試していただいてかまいませんよ。
R:ハードウエアアクセラレーションの機能は、バグを直してアップデートするタイミングで、もとからオンになるようにするでしょう。きちんとテストをしてから提供するということです。
M:「プラグインのサポート」というのはどういうことを意味していますか?
A:これは、アプレットのプラグインです。Internet ExplorerではAPPLETタグでのアプレット利用には対応しましたけど、プラグインを利用したアプレットの実行に対応するということです。このとき、Java 1.3.1 Pluginに組み込まれているキャッシュなどの機能も組み込まれます。また、Netscape Navigatorでもプラグインを利用してのアプレット実行に対応します。もちろん、クライアントがWindowsでもMacintoshでも同じHTMLソースでアプレットが実行できるようになります。

――――日本語システム上での問題も解決する方向へ
M:SwingのアプリケーションをMac OS Xで実行すると、インプットメソッドが使われているときの問題がありますが、これは直るのでしょうか?
A:Mac OS X 10.1でかなり改善しましたし、この問題はしっかり認識しています。大丈夫です。(M注:話ぶりはもうすぐ直るという雰囲気だった)
M:Swingのコンポーネントの既定のフォント設定だと、日本語が文字化けし、メニューなどがきちんと表示されません。Windowsからやってきた人はびっくりしてしまいますけど、これはどうなんでしょうか?
A:そうした話は、ぜひともバグレポートとして寄せてください。
M:Java 2 Enterprise Editionの対応という点については?
R:調査中ということです。VMとしては対応していませんが、JBuilderのように、Java 2 EEベースのVMで稼働するようなプログラムを開発するツールも登場していますから、何もないわけではないですよ。
M:Java 2 Micro Editionの対応とは?
R:これはニーズがあるかどうかを調べているという程度ですね。動かすということについてはさして難しい話じゃないです。
M:もしかして、AppleがJava 2 MEベースのPDAを開発しているんじゃないかと思ってしまいます。
R:将来の製品については残念ながらお話はできません。
M:でも、iPodみたいなデバイスにJava 2 MEがのっかるとか考えれば、これは何かあるんじゃないかと思いますよね。
R:なかなかいい質問ですが、やはり答えられません。
M:来年はJava 1.4対応ということですが、もっと早く対応しろという声もあります。
A:Sun Microsystemsだって正式出荷は来年2月ですし、それはあくまで予定ですから。
M:Java 1.4は大きく変わるのでしょうか?
A:すでに、Sun Microsystemsから公表されているように、インプットメソッド関連の機能が増えるなど、機能的にも充実しますよ。
M:最後になりますが、MacでJavaということが、Mac以外のプラットフォームの人には理解してもらえない状況のような気がしますが?
R:それは、Macで使えるJavaということで、メリットは示すことができますよ。Javaという開発プラットフォームを開発者が利用でき、そうして作成した結果をMacのシンプルさで使いやすく利用できるということです。もちろん、こうしたメリットはこれからも強調していきますよ。

 
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