タイトル森下克徳の崖っぷちからWebObjects》第20回〜MySQLでコミュニティサイトを作るv4/GPLって?カテゴリー開発情報, データベース, 崖っぷちからWebObjects
作成日2001/11/30 10:23:55作成者新居雅行
前回ダウンロードしていただいた、MySL3.23.44だが、実はつい最近3.23.45がリリースされている。そこで、こちらの方を再度ダウンロードして展開していただきたい。

◇MySQL
 http://www.mysql.com/

さあ、今回は展開されたところででてくるフォルダの中にある、ドキュメントをまずはちょっとひも解いてみよう。
たとえばWORDとかEXCELとかのソフトウェアを買ってきてインストールする場合は、インストーラを起動すると最初に使用許諾契約に同意を求められるが、それは利用するのにはそのような手続きを経てライセンス契約を結ぶ必要があるからである。もちろん今回MySQLのインストールでは、そのようなグラフィカルなインターフェイスでの「同意します・同意しません」画面は出てこないけれども、利用するにあたってはライセンス契約を守らなくてはならない。そこでまず、ドキュメントにあるライセンス契約に関してひも解いてみよう。

MySQLのライセンスの形式だが、ちょっとややこしいことになっているので、整理してみると次のようになる。
3.23.19-beta以降、現行のMySQLは、2種類のライセンス方法が平行して実施されている。一つは多くのオープンソースソフトウェアが利用している、GPLというライセンス方法で、3.23.19-beta以降に取り入れられたライセンス形式である。もう一つは、FPLといわれる、MySQL独自のライセンス形式で、これは以前からある方式である。個人的に利用する場合、どちらをとっても大差ないのであるが、自分が開発したシステムがMySQLに依存している場合、かつ、それを販売する場合になってくると、どちらのライセンス形式をとるかによって、話がかわってくるので注意が必要である。具体的にどうという前に、まずはそれぞれのライセンスについてちょっと見てみよう。

あ、まずはライセンスという言葉の意味だが、プログラムの著作権を持っている著作権者と、プログラムを受け取る利用者との間の利用に関する契約で、「著作権者」が「利用者」の利用方法に対して、何を許して何を許さないかを明示するもののことだ。

MySQLが利用している「GPL」は、GNU General Public Licenseの略語だ。詳細は以下のサイトで日本語にて読める。

◇GNU General Public License
 http://www.gnu.org/licenses/gpl.ja.html

で、これは、フリーなソフトウェアのためのライセンス契約書パッケージのようなものだと思えば
良い。たとえば、あなたがなにかソフトウェアを作って、「GPLの下に配布する」と宣言すれば、自分でややこしい契約案を法律書と首っ引きでつくらなくても済むわけだ。GPLは次のような性質を持っている。

GPLは利用に関する規定は定めておらず、利用者はどのようにでも(商用用途であったとしても)自由に(つまり無料で)利用できる。ただし、そのプログラムを複製、配布、変更する場合には、GPLの流儀に乗っ取って行う必要がある。さらにそれは、そのプログラムから派生したものに対しても適用される。

手に入れたプログラムを複製、配付する場合には、次の要項をみたしていれば、自由に(つまり無料で)複製配布できる。

(1)おおもとの著作権者を明示すること。
(2)著作権者は、プログラムの引き起こす結果に関して一切保証しないこと。
(3)配布される先の第三者にプログラムが手渡された瞬間、GPLライセンスによる契約が、著作権者とその第三者との間で発生することを明示すること。

GPLに基づいている場合なら、あなたがダウンロードしたMySQLを変更なく第三者に複製、配布する場合、それをお金を取って売りつけることもできる。また、あなたが第三者に対して、MySQLの動作を保証し、それによってサポート料などの対価を得るのも自由だ。ただしその場合でも、著作権者には一切の責は及ばないということは知っておこう。そしてこの場合もう一つ知っておかなくてはならないことは、GPLの場合、あなたが第三者に配付した時点で有料で譲り渡したとしても、その第三者は、さらに不特定多数にあなたから買ったものを無償で複製配布できる(GPLに基づいて)ということだ。

変更を加えることに関しては、次の用件を全て満たしている場合に限って、自由に(つまり特別の許諾を得ずにかつ無料で)行えることになっている。

(1)変更したファイルと変更した日付けを明示すること。
(2)変更したものを複製配布する場合、すべてをGPLの下に置くこと。
(3)適切な著作権表示をすること。なお、変更の結果派生したものの著作権者は、もとの著作権者プラス、変更部分に限って変更したあなたということになる。
(4)GPLであることを明示し、利用者がGPLの条項を参照できるようにしておくこと。

で、この場合、GPLから派生したものは派生した部分の著作権者があなただとしても、あなたにはその変更部分のライセンス方法を選択する余地はなく、有無をいわさずGPLになってしまうという点に注意が必要だ。

なお、ソースコードでなくバイナリとして配布する場合には、受け取った第三者がソースコードを要求した場合、郵送料程度の安価な負担で手に入れられる手段を講じなくてはならない。このことは、たとえばお客さんに依頼されてGPLなソフトウェアに手を入れてコンパイル後、バイナリを1000万円で売ったとしても、お客さんがそのソースコードを要求たら、ただ同然の値段でソースを渡さなくてはならないことを示している。さらのそのお客さんがGPLに基づいて無償でバイナリやソースを別の不特定多数に配布しても文句は言えない。ただこのようにいうと、変更したものは必ず公開が必要というように読めてしまうが、配布を伴わずに、変更したものを自分だけで利用
する場合にはソースを公開する義務はない。

以上の用件が許諾できない場合、複製や配布、変更、二次ライセンスは一切できないことになっている。おおまかにGPLは以上のような形である。それではFPLはというと、それは次号にまわそう。
[森下克徳]
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